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[[File:Cat piano 1883.jpg|thumb|upright=1.5|1883年の「自然」(''La Nature'') から]]
'''猫オルガン'''({{lang-de|Katzenklavier}}; {{lang-en|Cat organ}})とは一列に並べた猫の尻尾を引き延ばして鍵盤の下に固定する装置であり、その地声の高さによって並びの決まった猫は鍵盤が押されるたびに痛みで叫び声をあげて音色をなす。この猫オルガンが実際につくられたという公式の記録は残っておらず、あくまで文献のなかに現れてきた奇想の一種である。
 
== 歴史 ==
この楽器はフランスの著述家[[{{仮リンク|ジャン{{=}}バティスト・ヴェッケルラン]]|fr|Jean-Baptiste Weckerlin|en|Jean-Baptiste Weckerlin}}が書いた ''Musiciana, extraits d’ouvrages rare ou bizarre'' <!--(Musiciana, descriptions of rare or bizarre inventions)-->に登場する<ref>Weckerlin, Jean-Baptiste (1877). ''Musiciana, extraits d'ouvrages rares ou bizarres'', p.349. Paris: Garnier Freres. Cited in {{citation |url=https://books.google.com/books?id=diEVidYxO7cC&pg=PA195 |title=The Tiger In The House |first=Carl|last=Van Vechten|isbn=978-1-4179-6744-5 |date=2004-10-01 }}</ref>。
<blockquote>
スペイン王[[フェリペ2世 (スペイン王)|フェリペ2世]]がブリュッセルで父[[カール5世 (神聖ローマ皇帝)|カール5世]]を訪ねた1549年のことである。このときの二人はまたとなく珍しい行列を目にすることになり互いに喜び合った。まず先頭を行く巨大な雄牛は左右の角を燃え上がらせ、その間にもう一本小さな角を生やしていた。雄牛の後ろでは熊の毛皮を身につけた少年が耳と尾とを切り落とした馬にまたがっている。次にやって来たのは輝く衣に身をつつんだ大天使聖ミカエルで、手には天秤を持っていた。
</blockquote><blockquote>
[[ImageFile:katzenkavalier.jpg|rightthumb|250px|thumb|ショットの「自然魔術」(''Magia Naturalis'' ) から]]
きわめつけに奇妙であったのは、チャリオットから流れるこのうえないほど不思議な音楽である。車上には熊が載って[[オルガン]]を奏でているのだが、この楽器にはパイプのかわりに一匹ずつ頭を出した猫が閉じ込められていた。その尻尾は突き出され、[[ピアノ]]の[[弦 (楽器)|弦]]のように使うため固定されていた。鍵盤を叩けばそれに対応する尻尾が勢いよく引っ張られ、その度ごとに悲しげなミャオミャオという鳴き声がするのである。歴史家のフアン・クリストバル・カルヴィートが記すところでは、猫たちはこの[[オクターブ]]で音が出せるよう精確に並べられているということである…(半音単位でということなのだろう)<!--the cats were arranged properly to produce a succession of notes from the octave... (chromatically, I think).-->
</blockquote><blockquote>
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Schwäbisch Hall bei Hans Reinhard Laidigen/ A. 1662. S.120.)</ref>
</blockquote>
さらにドイツ人医師の[[ヨハン・クリスティアン・ライル]](1759–1813(1759–1813)も、物事に集中する能力を失った患者の治療を目的とした猫オルガンに言及している。強制的にこの装置を見せられ、聞かされたならば、否応なしに注意を傾けざるをえず、つまり患者は癒やされるであろうとライルは考えたのである (Richards, 1998)。
 
1869年12月のアメリカの雑誌「フォリオ」では、48匹もの猫を用いた鍵盤楽器「キャット・ハルモニオン」を用いた演奏会が[[シンシナティ]]で行われたと報じられている。コンサートは「[[オールド・ラング・サイン]]」([[蛍の光]]の原曲)で幕を開けるはずだったが、興奮状態に陥った猫たちがてんでばらばらに泣き叫んで伴奏を掻き消してしまい、大失敗に終わったという<ref>スチュアート・アイサコフ『ピアノの歴史』(河出書房新社)</ref>。
 
[[ImageFile:katzenkavalier 2.jpg|rightthumb|250px|thumb|ジャン=バティスト・ヴェッケルランの「音楽家」(''Musiciana'' )から]]
2010年に[[チャールズ皇太子]]が[[クラレンス・ハウス]]宮殿でガーデンパーティーを開いた際に、皇太子の持続可能な生活を提言する「スタート」プログラムに賛同した音楽家の[[ヘンリー・ダグ]]が鳴き声の出るおもちゃを使ってこの猫オルガンを再現した。このときは「[[虹の彼方に]]」の調べが演奏され、大いに好評を博している<ref>{{citation |url=http://www.bbc.co.uk/news/uk-11273342 |title=Prince Charles' laughter over 'cat organ' |publisher=[[BBC]] |date=11 September 2010}}</ref><ref>{{citation |url=http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1310898/Prince-Charles-interviewed-Daybreak-Adrian-Chiles-Christine-Bleakley.html |title=Please stop, one's sides are splitting! |author=Fay Schlesing |date=11 September 2010 |journal=[[Daily Mail]]}}</ref> 。また[[テリー・ジョーンズ]]は「モンティ・パイソン」で鼠オルガンを演奏している。
 
アニメ制作会社「The People's Republic Of Animation」も「猫ピアノ」(The Cat Piano) と題した作品を発表している。猫の街で人間がこの装置をつくるため誘拐事件を起こすというストーリーである。この短篇映画は複数の賞を受賞しており、ノミネートも数多い。[[アカデミー賞]]でも短編アニメーション部門のセミノミネート作品となった(ノミネートはされていない)。
 
== 脚注 ==
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* {{Cite journal |author=鈴木潔 |url=https://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011082 |title=アタナシウス・キルヒァーの情動説 |journal=言語文化 |volume=9 |issue=4 |year=2007 |publisher=同志社大学 |pages=697-720 }}
 
== 関連項目 ==
* [[サンプリング]]
* [[動物兵器]]
 
== 外部リンク ==
{{Commonscat}}
* [https://www.excite.co.jp/news/article/Pouch_59898/ エキサイトニュース - 一心不乱にネコのぬいぐるみを押し続けるおじさん、実は名曲を演奏中!?](2012年4月1日、[[エキサイトニュース]])
 
{{デフォルトソートDEFAULTSORT:ねこおるがん}}
[[Category:ネコの文化]]
[[Category:動物虐待]]