「キャンバースラスト」の版間の差分

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(仕上げ。なお初版では、英語版を翻訳した上で記述を整理・変更している。)
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[[File:Camber thrust schematic (Japanese).svg|thumb|300px|タイヤは接地面で潰れて変形する。タイヤが傾いていると変形は左右対称ではなくなり、そのため復元力に横向きの成分が生じる。]]
'''キャンバースラスト'''({{Lang-en-short|camber thrust}})とは、回転する[[タイヤ]]が地面から受ける横方向の力のうち、タイヤの横方向への傾き({{仮リンク|キャンバー角|en|Camber angle}})と{{仮リンク|接地面 (タイヤ)|en|Contact patch|label=接地面}}の広がりに由来する成分を指す用語である<ref name="Foale">{{Cite book|title=Motorcycle Handling and Chassis Design|url=https://books.google.com/books?id=84hF-qoR5I8C&printsec=frontcover&dq=Motorcycle+Handling+and+Chassis+Design|edition=Second|last=Foale|first=Tony|year=2006|publisher=Tony Foale Designs|isbn=978-84-933286-3-4|pages=2–23 to 2-26}}</ref><ref name="Cossalter">{{Cite book|title=Motorcycle Dynamics|url=https://books.google.com/books?id=rJTQxITnkbgC&printsec=frontcover&dq=motorcycle+dynamics#PPA47,M1|edition=Second|last=Cossalter|first=Vittore|year=2006|publisher=Lulu.com|isbn=978-1-4303-0861-4|pages=47–48}}</ref><ref name="Wong">{{Cite book|url=https://books.google.com/books?id=LH8wd8im13AC&printsec=frontcover&dq=Theory+of+ground+vehicles+By+Jo+Yung+Wong|title=Theory of ground vehicles|last=Wong|first=Jo Yung|publisher=Wiley|pages=40–43|year=2008|edition=Second|isbn=978-0-470-17038-0}}</ref>。これに対して、ハンドル操作に対応するタイヤの向きの変化({{仮リンク|スリップ角|en|Slip angle}})に由来する成分を{{仮リンク|コーナリングフォース|en|Cornering force}}という。
 
右図のように、傾いて回転するタイヤの表面上のPが地面に落とす影は基本的に楕円軌道を描くが、そのPが地面に接触している間は摩擦によって直線軌道を取ることを強いれる。軌道のずれは傾きと同じ向きに生じる。これによりタイヤのトレッドやカーカスに生じたひずみが、傾きと同じ向きの力として車体に伝えられたのがキャンバースラストである<ref name="Cossalter" />。
 
キャンバースラストはキャンバー角の変化に追随してほぼ瞬時に定常値に達するため、コーナリングフォースで考えるような{{仮リンク|緩和長|en|Relaxation length}}は存在しない<ref name="Wong"/>。傾きが小さいときキャンバースラストはキャンバー角にほぼ比例し、その比例係数を'''キャンバー剛性'''という。キャンバー剛性はタイヤ自体の固さのほか、空気圧や鉛直荷重から影響を受ける<ref name="Cossalter" /><ref name="Wong"/><ref name="Pacejka">{{Cite book|title=Tyre and vehicle dynamics|last=Pacejka|first=Hans B.|author-link=Hans B. Pacejka|year=2006|edition=2nd|publisher=SAE International|pages=162|quote=For small angles, the camber thrust is approximated by the product of the camber stiffness and the camber angle.|isbn=978-0-7680-1702-1}}</ref>。[[ラジアルタイヤ|バイアスタイヤ]]は[[ラジアルタイヤ]]より強いキャンバースラストを生むことが分かっている<ref name="Wong"/>。正味のキャンバースラストはホイール中心よりも前方にはたらくため、タイヤの転がり方向を傾きと同じ側にずらすようなトルク('''キャンバートルク'''、ねじりトルク、ねじりモーメント)が発生する<ref name="Wong" />。このトルクについては、接地面の外側は内側とくらべて車軸までの半径が大きいことから移動量が大きくなるためだという説明もできる<ref name="Foale"/>。