「電気推進 (船舶)」の版間の差分
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[[船舶]]における'''電気推進'''(でんきすいしん)とは、
== 歴史 ==
=== 19世紀 ===
電気推進方式の採用はまず[[潜水艦]]
また[[:en:Anthony Reckenzaun|アントニー・レッケンツァウン]]の設計によって1886年に竣工した小型艇「ヴォルタ」は、やはり蓄電池による電気推進機関を搭載しており、[[イギリス海峡]]の横断に成功し、これが水上船艇への電気推進導入の嚆矢となった。
[[蒸気タービン]]は高回転で性能が良くなる一方、推進器は低回転で効率が良くなることから[[減速機]]が必要となるが、20世紀初頭の技術では信頼性の高い減速歯車装置を実用化できなかったことから、電気推進装置によって減速装置とする[[ターボ・エレクトリック方式]]が広く用いられるようになった。また[[ディーゼルエンジン]]についても、面倒なクラッチ操作や捩り振動の対策を避けるため、直結駆動ではなく[[ディーゼル・エレクトリック方式]]を採用することもあった。その後、[[1920年代]]ごろより減速歯車装置の信頼性が向上して実用レベルに達したことから電気推進の採用例は減っていったが、[[第二次世界大戦]]勃発にともなって[[護衛駆逐艦]]や[[戦時標準船]]の量産が求められた際には、減速歯車装置の生産が追いつかず、ターボ・エレクトリック方式やディーゼル・エレクトリック方式に切り替えた艦も相当数が建造されている{{Sfn|阿部|2002}}。▼
さらに1898年に竣工した「[[ホランド (潜水艦)|ホランド]]」では水上航走用の原動機が搭載され、自己充電能力を備えた{{Sfn|阿部|2002}}。
第二次大戦後、水上戦闘艦への電気推進の採用は行われなくなっていったが、逆に潜水艦ではディーゼル・エレクトリック方式の採用が一般的になった。また[[機雷戦艦艇]]や補助艦艇では、低速・微音での航行能力が買われて電気推進とする例があったほか、商船でも、設計の自由度が買われての採用例もあった。その後、[[1980年代]]頃より、技術的には[[パワーエレクトロニクス]]の発達、用兵面では[[対潜戦#原潜の普及とパッシブ戦への移行_(1960〜1980年代)|対潜戦のパッシブ戦化]]に伴う静粛性の要請があって、水上戦闘艦でも電気推進が見直された。特にパワーエレクトロニクスの発達により、推進発電機と艦内給電用発電機を統合する[[統合電気推進]]方式の実現のめどがたち、艦内電子機器の発達による電力所要の増大に対応するためにこれを採用する例も登場している{{Sfn|阿部|2002}}{{Sfn|東郷|2015}}。▼
=== 20世紀 ===
エンジンの他、[[燃料電池]]の利用も研究されている<ref>{{Cite web|title=水素で船が動くんだって|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210727/k10013162781000.html|website=NHKニュース|accessdate=2021-07-29|last=日本放送協会}}</ref>。▼
[[蒸気タービン]]は高回転で効率が向上する一方で、推進器は低回転で効率が良いため、この両者を組み合わせて、効率良く推進器を駆動する場合には[[減速機]]が必要である。しかし、20世紀初頭の技術では、信頼性の高い減速歯車装置を実用化できなかったため、電気推進装置によって減速装置とする[[ターボ・エレクトリック方式]]が広く用いられるようになった。
また、[[ディーゼルエンジン]]を用いて推進器を駆動する場合も、面倒なクラッチ操作や捩り振動の対策を避けるために、直結駆動ではなく[[ディーゼル・エレクトリック方式]]を採用する事例もあった。
大型船舶では発電機を使用せずバッテリーのみを搭載した電動[[フェリー]]が実用化されており<ref>{{Cite web|title=BV、小型電動フェリー、船級登録10隻受注|url=https://www.jmd.co.jp/article.php?no=268232|website=日本海事新聞 電子版|accessdate=2021-07-13|language=ja-jp}}</ref>、リチウムイオン電池を使った電動[[タンカー]]の建造も予定されている<ref>{{Cite web|title=世界初の電動タンカー、川崎重工業などが受注|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64787810Y0A001C2916M00/|website=日本経済新聞|date=2020-10-08|accessdate=2021-07-13|language=ja}}</ref>。▼
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第2次世界大戦後、水上戦闘艦への電気推進は、採用されなくなっていった。逆に、潜水艦ではディーゼル・エレクトリック方式の採用が一般的になった。また[[機雷戦艦艇]]や補助艦艇では、低速・微音での航行能力が買われて電気推進を採用した例があった。さらに商船でも、設計の自由度が買われて電気推進が採用された例も見られた。
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=== 21世紀 ===
▲内燃機関のエンジン
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== 原理 ==
{{See also|電気車の速度制御}}
発電機と電動機の組み合わせに応じて、下記のように分類できる。
* 直流方式
* 交直併用方式
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=== 直流方式 ===
いわゆる[[分巻整流子電動機#速度制御・始動法|ワード・レオナード方式]]であり、[[整流子発電機|直流発電機]]を駆動し、その電力で[[直流整流子電動機]]を回転させる。直流発電機の励磁を調整することで発生電圧を変化させ、直流電動機の速度を制御
回路構成は簡易であり、最も初期から使われてきた方式だが、[[整流子]]の保守・点検に手間を要する
=== 交直併用方式 ===
直流方式の制約のほとんどが整流子の存在に由来する
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: 整流器として[[サイリスタ]]・コンバータを使用する方式。[[サイリスタ位相制御]]により、交直変換と同時に出力電圧も調整できるため、直流電動機の速度制御も行
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: 整流器として[[ダイオード]]を使用する方式。サイリスタ・レオナード方式と比して電圧・電流の波形歪みが少なく、高調波によるノイズ障害を軽減できる一方で、ダイオードには電圧調整機能が
=== 交流方式 ===
発電機・電動機
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: まず交流
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: 交流から、別の周波数・電圧の交流に直接変換する方式{{Sfn|立石|2002}}。出力周波数の最大値は入力周波数の1/3〜1/2程度であり、また力率が悪いなどの問題がある。
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: [[自己消弧素子|自己消弧]]能力を持つ高速半導体デバイスを使用し、電源電圧を直接[[パルス幅変調]](PWM)制御して、任意の電圧・周波数を出力する直接変換型電力変換装置。PWM方式では、電圧波形を細かく切り刻むことで高調波抑制用のリアクトルを小型化でき、また装置本体も大幅に効率化・小型化できると期待されている{{Sfn|立石|2002}}。
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== 外部リンク ==
* [http://osaka-mizubebar2012.seesaa.net/category/14537690-3.html 大阪水辺バル2012]
* [http://www.kidourashipyard.com/DENKI%20SUISINSEN.html 船舶・漁船・電気推進船 | 木戸浦造船 - 電気推進船について]▼
▲*[http://www.kidourashipyard.com/DENKI%20SUISINSEN.html 船舶・漁船・電気推進船 | 木戸浦造船 - 電気推進船について]
{{DEFAULTSORT:てんきすいしんせんはく}}
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