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'''カエル電池'''({{Lang-en-short|frog battery}})とは、死んだ[[カエル]]の肉(生きたまま使う場合もある)を単電池として、それらを[[直列回路と並列回路|直列]]に接続して用いる[[電気化学]][[電池]]である。[[生物電池]]の一種。初期の電気学研究で道具として用いられたほか、それ自体が[[ガルヴァーニ電気|動物電気説]]の証明とされた。
 
電池としての動作原理は筋肉が損傷したときその中に発生する{{仮リンク|損傷電流|en|Current of injury|label=損傷電位}}によが動作原理であり、カエルの筋肉を切断したことで偶発的に電位差が得られたものだが、18世紀と19世紀にはそのことは十分に理解されていなかった。
 
「カエルこの方式の生物電池はどんな動物から適用作ることができる生物、「カエル電池」はそ一つの方式を代表していである。この方式の一般的な用語は「筋肉電堆 (muscular pile)」であるという
 
最初によく知られるようになったのは1845年に[[カルロ・マテウッチ]]が作ったカエル電池だが、それ以前にも作成例は見られる。マテウッチは他の動物からも電池を作っており、{{仮リンク|ジョヴァンニ・アルディーニ|en|Giovanni Aldini}}も牡牛の頭を電池にしている。
筋肉の内側表面と外側表面を接すると電池になる事実から、筋肉内部には定常的に内から外の向きに電流が流れているという誤った説が生まれた。現在の理解では、この電位差は細胞膜が傷つくと発生する負の電位(損傷電位、{{Lang|en|demarcation potential, injury potential}})によるものである<ref>Clarke & Jacyna, p.199<br />Hellman, p.32<br />Kipnis, pp.144-145</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=髙橋恭一|year=2016|title=電気生理学の草分け : Du Bois Reymondの実験|journal=人間環境学研究|volume=14|issue=18|pages=39-52|NAID=120005724048}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=竹中敏文|year=1985|title=生物と電気活動(<特集>新"電気と化学")|journal=化学教育|volume=33|issue=5|pages=388-390|DOI=10.20665/kagakukyouiku.33.5_388}}</ref>。
 
別の構造も可能である。たとえば、後肢全体を残しておいて[[坐骨神経]]を露出させ、一本の肢の神経を次の肢の足先に接続するようにする。カエルの体全体を使うこともできる。しかし腿の肉を処理して用い方が手間かかるものの性能よいため、ほとんどの実験者はそちらの方法を選んでいた<ref>Rutter, p.112</ref>。
 
== 歴史 ==
[[レオポルド・ノビーリ]]は1818年に後肢全体をつなげてカエル電池を作り、「カエル電堆 (frog pile)」と呼んだ。ノビーリはカエル電池を用いて動物電気を研究したが、その結果はヴォルタによって手ひどく批判された。ヴォルタは外部回路に使われている異種金属が真の電気の発生源だと主張した。彼によると、カエルは体液を電解液として提供しているに過ぎなかった<ref>Clarke & Jacyna, p.199<br />Clarke & O'Malley, p.186<br />Hellman, p.31</ref>。
 
最初に広く知られるようになったカエル電池は[[カルロ・マテウッチ]]が作ったものだった。この電池は1845年に[[マイケル・ファラデー]]の助力によって英国[[王立学会]]の[[フィロソフィカル・トランザクションズ|論文誌]]に発表され、後には{{仮リンク|ゴールデン・バード|en|Golden Bird}}が医学生向けに書いた物理の教科書『初歩自然哲学 (''Elements of Natural Philosophy'')』でも紹介された。マテウッチは半切りのカエル腿肉を12-14片用いていた。前述のようにマテウッチの電池は動作原理が正しく理解されていなかったが、[[ヨウ化カリウム]]の分解に用いるのに十分なほど強力だった。マテウッチはヴォルタのノビーリ批判への回答として、カエル電池をはじめとして可能な限り生物性の素材だけで電気回路を構成することで動物電気の存在を証明しようとした。マテウッチはまた真空、各種の気体、毒物がカエル電池にどう作用するか調べ、生体にとって有毒あるいは致死的であっても電池は影響を受けないと結論した<ref>Bird (1848), pp.344-345<br />Hellman, p.32<br />Matteucci (1845), pp.284-285</ref>。
 
電池部品に仕立て上げられた生物はカエルだけではない。ジョヴァンニ・アルディーニは1803年に屠殺されたばかりの雄牛の頭から電気が発生することを示した。雄牛の舌にカエル肢の検流器をつなげ、実験者が左右の手でカエル肢と牡牛の舌を握ると回路が完成して反応が見られた。いくつかの頭をつなぎ合わせすると反応は強まった。マテウッチも後の1840年代に「ウナギ電池、ハト電池、ウサギ電池」を作っている。また、一羽のハトの胸につけた傷を別の一羽に接続することで、生きているハトも電池にして見せた<ref name=Medico311/><ref>Bird (1848), p.341-342<br />Matteucci (1848), p.391</ref>。