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クユーサーや{{Efn2|name=qazwini-quote}}、異表記'''キーユーバーン'''({{Lang-ar-short|کیوبان}}, Kīyūbān)、'''キブーサーン'''({{Lang-ar-short|کبوثان}}, Kibūthān)は、イスラーム原典のひとつである[[ザカリーヤー・カズウィーニー|カズウィーニー]]の[[宇宙誌]]『{{仮リンク|被造物の驚異と万物の珍奇|en|ʿAjā'ib al-makhlūqāt wa gharā'ib al-mawjūdāt}}』に見られる<ref name=chaylan-daffner-kiyuban/>。
'''クユーター'''(Kuyootà)という表記は<ref name="Lane"/>、19世紀のイギリス人東洋学者{{仮リンク|エドワード・ウィリアム・レイン|en|Edward William Lane|label=エドワード・レイン}}によるもので、出典はレイン
'''クヤタ/クジャタ'''({{lang-es|Kuyata}}{{Efn2|スペイン語の場合、”ya"は「ヤ」とも「ジャ」とも発音される。後者のように発音することを[[ジェイスモ]]と称する。もちろんアラビア語の原文からすれば「ヤ」音であるべきである。}})というスペイン語表記は、現代作家[[ホルヘ・ルイス・ボルヘス|ボルヘス]]の『[[幻獣辞典]]』(1957年)にあるもので<ref name="borges0"/><ref>{{harvp|Borges|Guerrero|2005|pp=25, 164}}</ref>、レインよりの転載である<ref>ボルヘスの"Kuyata"の項の主な資料はレインであることが知られており、英訳"Bahamut"と"Quyata"の項の、Hurleyによる巻末注({{harvnb|Borges|2005}}, pp. 221, 234)で、Lane, ''Arabian Society''を資料とすると注釈される。</ref>。次いでクジャタ({{lang-en-short|Kujata}})という表記で『幻獣辞典』の旧英訳本(1969年)に現れ<ref name="borges1"/>、クヤタ({{lang-en-short|Quyata}})という表記に新英訳では訂正がおこなわれている<ref name="borges2"/>。
'''ラカブーナー''' [?]({{lang-fr-short|"Rakaboûnâ"}}、{{仮リンク|
==起源==
===4万本足===
4千の目、鼻、耳、口、舌、足であると、倍数の違った記載が、レインの要約にみられる<ref name="Lane"/>。出典があいまいだが、レインが典拠としている
4万本の角と足(アル=サラビー編){{Refn|<!--アル=サラビー編『諸預言者伝』-->{{仮リンク|アフマド・イブン・ムハンマド・アル=サラビー|en|Ahmad ibn Muhammad al-Tha'labi|label=アル=サラビー}}編{{仮リンク|諸預言者伝|en|Qisas Al-Anbiya|label=『諸預言者伝』}}{{sfnp|Brinner|2002|p=6}}。}}{{Efn2|Brinner英訳では4万本:"So God sent down from the heights of Paradise an ox with seventy thousand horns and forty thousand leg"だが、アル=サラビーで"7万本"となっている稿本もあるという<ref name=jawaideh-note-qisas/>。}}、または4万個の目、耳、口、舌(アル=キサーイー編){{Refn|<!--アル=キサーイー編『諸預言者伝』-->{{仮リンク|アリー・アル=キサーイー|en|Al-Kisa'i}}(804年没)編『諸預言者伝』<ref name=jawaideh-note-qisas/>}}を持つと、最古級の文献である2編の『諸預言者伝』に伝わっている<ref name=jawaideh-note-qisas>{{harvp|Jwaideh|1987|p=34}}、注 1、注2。</ref>。ただし、こちらには牛の名は見えない{{Efn2|そのかわり牛の下の巨魚に複数の名(本名、添え名、あだ名)が出ているのだが{{sfnp|Brinner|2002|p=6}}。}}。
===牡牛が担う宝石盤===
牡牛が支える岩盤はレインによれば "[[ルビー]]"であるが{{sfnp|Lane|1883|p=106}}{{Refn|group="注"|ペロン仏訳の
原典の多くは緑色の宝石だと明言しており、例えばカズウィーニによる当該箇所も「緑色の[[ジルコン|ヒヤシンス石]]」となっていることがドイツ訳で確認できる<ref name=ethe-hyacinth>"''Felsen aus grünem Hyacinth''"、エテによるカズウィーニーのドイツ訳、{{harvp|Ethé|1868|p=298}}。</ref><ref>英語では"green jacinth"。 シュトレックが担当した『イスラーム百科事典』「カズウィーニー」の項の文中、カズウィーニの宇宙誌の英文要約、{{harvp|Streck|1936|p=615}}。</ref>。他の文献の訳出例では、「緑の[[コランダム]]」(英訳)<ref name=yaqut-p34/>、「緑の[[エメラルド]]」(ラテン訳){{Efn2|[[対格]] {{lang-la-short|smaragdum viridem}}。イブン・アル=ワルディー『驚異の真珠』のラテン訳。}}{{sfnp|Ibn al-Wardi|1835|pp=36–37}}、「緑の岩」(英訳){{Efn2|"green rock"。アル=サラビー『諸預言者伝』英訳}}{{sfnp|Brinner|2002|p=7}}等がみられる。
===潮の満干===
巨牛の呼吸は、海の[[潮汐|潮の満干]]に作用すると伝わる<ref name=chaylan-daffner-wardi/>。最古級の文献(アル=サラビー編本)にもあるが、それによると牡牛は鼻を海洋に浸からせており、1日1度呼吸をするが、吐息で海面は上がり、吸息で海面は下がる(潮が引く)とする<ref name=talabi-p7/>。別の文献では1日2回呼吸とする<ref name=yaqut-p34/>{{Refn|group="注"|イブン・アル=ワルディーも牡牛の1日2度の呼吸が、海の流れと引きに関連するとしており、レインに脚注される<ref>{{harvp|Lane|1883|p=106、注1。}}</ref>。}}。
また、牛と魚は、大地から海に流れるすべて水量の飲み込んで、海の水位を保っていると伝えられる。しかし牛と魚はいったん満腹となると興奮しだし(イブン・アル=ワルディー)<ref>{{harvp|Chalyan-Daffner|2013|loc=pp. 215–216 and note 200}}: Ibn al-Wardī, Kharīdat al-ʿajāʾib, p. 15.</ref>、それは[[最後の審判]]の日の前兆だとされる(ヤークート)<ref name=yaqut-p34/>。
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