「アルミラージ」の版間の差分

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en:Al-Mi'raj (英語版)を大幅強化したので(oldid 1063484701)から訳出して反映. なお →‎起源: は削除判断 "皮膚病"en:Shope papilloma virusは米国産の病原菌で16世紀欧州角兎の解明可だが,13世紀アラブ角兎への適用は避けられている(Holliday web, Auer&Seipel Herrlich Wild p65-70)
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→‎ヨーロッパへの伝搬説: 削除した→‎起源: のいわばやり直し。"腫瘍"とかざっくりでなく"ショープ乳頭腫ウイルス"に言及した資料による記述。
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:(要約)島にはかつて恐ろしい竜が住み着いており、[放っておくと]島民たちの家屋や財産を破壊するので、そうならないよう餌用に毎日2頭の牡牛を供物にささげていた。イスカンダルは島が到着するや島民の訴えを聞き、ある奸計によって竜退治の手助けをおこなった。すなわち牡牛を2頭用意させ、その牛の毛皮をはいで[[硫黄]]と鉄[[鉤]]を詰め込ませた。竜がいざ牡牛を飲み込もうとすると発火し、鉤が体に突きささった。死んだ竜を島民たちは発見し、感謝の印としてイスカンダルに贈り物をした。それが[一本の]黒い角をもった黄色いノウサギであった<ref name="moor"/>。
 
上述した要約の底本や<ref name="moor"/>、他のカズヴィーニー宇宙誌の写本でも角兎について特定の獣名はみえず、アル=ミラージ等の名称は後世の書写士によって書き加えられたのではないか、との意見もあるのだが<ref name="wiedemann"/>、アル=ミラージ(al-miʿrāj)の名称は、19世紀の版本や訳書では確かに確認できる<ref name="ettinghausen"/><ref name="qazwini-ethe-tr"/>{{Refn|group="注"|{{仮リンク|ヘルマン・エテ|en|Carl Hermann Ethé}})によるドイツ訳ではelmiʿrâg′と表記<ref name="qazwini-ethe-tr"/>。エテの注記でアルミラージ(miʿrâg')については、つとに{{仮リンク|サミュエル・ボシャール|en|Samuel Bochart}}の『神聖動物誌 Hierozoïcon』(1663年)にて既にアルミラージ(miʿrâg')の解説がある('''mirag'''指摘表記<ref name="qazwini-ethe-notebochart"/>)があることをエテが注記している<ref name="bochartqazwini-ethe-note"/> 。フーベルト・ダウニヒト<!--Hubert Daunicht-->の研究(『[[フワーリズミー]]の世界地図における東洋』)にもカズウィーニーの異本からとられた意訳があるが、そこではMu'rāš (Muʿrāsh)[?]{{要検証|date=2021年12月}}と読まれている<ref name="daunicht"/>。}}。
 
イスカンダルが牛皮に詰めさせたのが"硫黄と鉄鉤"のみという部分は、異本ではより雑多な材料の配合となっており、[[ロジン]](植物樹脂)か[[ピッチ (樹脂)|ピッチ]]{{efn2|エテ訳では"[[:de:Fichtenharz|Fichtenharz]]"で<ref name="qazwini-ethe-tr"/>、直訳すると「(マツ科の)[[トウヒ属]]の樹脂」という意味になるが、じっさいは[[天然樹脂|植物樹脂]]の総称である。ダウニヒトの意訳では"[[:de:Pech (Stoff)|Pech]]"すなわちピッチであるが<ref name="daunicht"/>、ウィードマンの訳では[[タール]]({{lang-fr|{{linktext|goudron}}}})<ref name="wiedemann"/>}})、[[硫黄]]、[[石灰]]、[[ヒ素]]らの混合物に鉤を加えたものであった、と記述されている<ref name="qazwini-ethe-tr"/>。{{Refn|group="注"|参考までに該当箇所をエテ訳から重訳する:
:(訳出)竜の島(ジャジラト・アル=ティニン)。広大、かつ居住人口がおり山林ゆたかな島で、城は高い壁に囲まれる。あるとき巨大な竜が出現し、住民がイスカンダルに助けを求めてきた。羊やラクダは屠られ、毎日2頭の牡牛を竜のいる近くの場所に置いていく習わしとなっていた。竜は黒雲のごとくして現れ、目をまばゆい雷光のように閃かせ、口から火が放ち、2頭を食らってはねぐらに帰っていくのである。これを聞いたイスカンダルは、2頭の牡牛を用意せよと命じ、その皮を剥ぎ、中身としてロジン(植物樹脂)、硫黄、石灰、ヒ素を詰め、鉄製の[[鉤]]を(多数)その混合物に括りつけさせた。その(デコイの二頭の牛)を指定の場所に置かせると、竜が出てきて慣例通りそれらを呑み込みかえっていった。だが、その胃の中で火が発火、鉄鉤は消火器内に引っかかり、竜は死に果て亡した。人々は竜の死を喜び、イスカンダルに素晴らしい贈答品を与えた。その品々のなかにはアル=ミラージという[[ノウサギ]]に似た黄色い動物がおり、一本だけ黒い角が生えていた。この獣を一目みるとあらゆる野生動物は逃げ出すのだという<ref name="qazwini-ethe-tr"/>。
}}
 
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== イドリースィーの記述 ==
 
角兎については'''アラージ'''(ʿarāj{{efn2|元の典拠であるフランス訳{{lang|fr|a'radj}}という表記が使われる( {{仮リンク|ピエール・アメデ・ジョーベール|en|Pierre Amédée Jaubert|Jaubert|label=ジョーベール}}による)。}}、{{lang-ar|عرَاج}})という名称で[[イドリースィー]]の地理書『[[ルッジェーロの書|世界横断を望む者の慰みの書]]』(1154年頃)の稿本に記載されているが、竜が住む島はモスタシャイン[?](<!--Mustashiayn-->{{lang-ar|مستشيين }}{{efn2|フランス訳書では Mostachiin。}}といい、、西アフリカに在することになっている<ref name=idrisi-jaubert/>{{Verify source|date=2022年1月|title=アラビア語表記・カナ表記}}。この稿本によればイスカンダルこと「二つの角を持つ者({{仮リンク|ズー・ル・カルナイン|en|Dhu'l-Qarnayn}})」は、同様の作戦("油、硫黄、石灰、ヒ素"の混合物を皮に詰め、鉄鉤をつけさせた囮の牛)で竜を攻略、そして[[劇物]]は"はらわた([[消化器官]])の中で発火し、[怪物]は死に果てた"<!--"s'enflamma dans ses entrailles et il expira"--><ref name=idrisi-jaubert/><ref name=idrisi-jaubert/>。
 
近年の編訳本では、'''バクラージ''' (baqrāj{{efn2|フランス訳表記は bagrāğ (Hadj Sadokの訳)・}}、{{lang-ar|{{linktext|بقراج}}}})という名称が記される{{Verify source|date=2022年1月|title=アラビア語表記・カナ表記}}。やはり黄金のような山吹色の毛並みをした、一角兎のような獣であることに変わりはなく、現れるとあらゆる動物を退散させると伝えている。しかし、イスカンダルがこれを入手した事情が異なる。王はラーカー(Lāqā)という島を訪れ、そこで[[沈香]]を採取したが、はじめ香りを放たなかった。しかし島を離れるやその積荷は馥郁たる黒い香木となり、そのなかの厳選品で交易をして得た品々のなかにこの角兎があった<ref name=idrisi-hadi_sadok/>。
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=== 古典シリア語版 ===
イスラム教圏でこのイスカンダル竜退治伝説が知られるようになった源流は、7世紀に[[シリア語]]に起こされた『[[アレクサンドロス・ロマンス]]』(偽カリステネス)だとされる<ref name="ogden"/>{{efn2|シリア語版以外にこのエピソードが残っていないが、その祖本としてかつて古いギリシア語版(*δ本)が存在し、そこには竜退治物語が所収されていたとみなされる<ref name=nawotka/>。}}。同作においては、アレクサンドロスが<ref>シリア語の名前はローマ字表記すると Aleksandros であり、シリア語題名にみえる。また、{{harvp|Budge|1889|p=xx}}にもシリア語が記述される。</ref>、小ぶりの牛を生贄にさせるなど数日間のじらしをかけて竜を攻略し、ついに腹をすかせた竜のために大き目の牡牛を用意させ、身をそぎ、[[石膏]]、ピッチ([[瀝青]])、鉛、硫黄を詰めさせ、それを食らわせた。すると竜は頭をどっと地につけて、口をあんぐりと開けたので、その中に熱した真鍮の玉を放り込ませると、竜は息絶えた<ref name="ogden"/><ref name="budge"/>。
 
=== トルコ語の叙事詩 ===
 
後の時代に、[[オスマン帝国]]の詩人{{仮リンク|アフメディー|tr|Ahmedî}} (1413年没)が{{仮リンク|イスケンデルナーメ|tr|İskendernâme (Ahmedî)|label=『イスケンデルナーメ』}}を作詩した。これは『シャー・ナーメ』や、[[ニザーミー]]の{{仮リンク|イスカンダル・ナーメ|de|İIskandernāme|label=『イスカンダル・ナーメ』}}らペルシア文学を素材としたとされる。このアフメディーの詩においては、イスケンデル({{lang|tr|İskender}})が竜退治の際に鉤を武器とするが、状況は多少異なる。すなわち、千本の毒塗り鉤を牛牽き戦車にとりつけ、解毒剤を服用したのち竜に突進した。竜は頭部や口の周りに致命傷を受けた<ref name="bagci"/>。同様な戦略は、『シャー・ナーメ』の{{仮リンク|イスファンディヤール|en|Esfandiyār}}王子が使うと指摘されるが、王子は多数の剣を突き立てた馬牽き馬車を使って竜に立ち向かう<ref name="bagci"/>。
 
== ヨーロッパへの伝搬説 ==
角兎については古典ギリシア・ローマには言及が乏しく{{Refn|ただ上述したように遺失したギリシア語版アレクサンドロス・ロマンスにはあったと思われる。また、ローマのの寓話には「野兎と鹿(角を請い求める兎)」{{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=65}}([[ペリー・インデックス]]658({{仮リンク|ロムルス (寓話作家)|en|Romulus (fabulist)|label=ロムルス集}})が存在する。}}、中世ではカズウィーニのようなアラブの著作にしか記述がないので<ref>{{harvp|Auer|Seipel|2004|p=65|ps=: "Im Mittelalter lässt sich bislang nur ein einziges literarisches Beispiel feststellen : Al-Qazwini, ein persischer Kosmograph des 13. Jahrhunderts, schrieb von einem einhornigen, hasenähnlichen Tier.."}}</ref>、角兎の伝承はイスラム圏からヨーロッパに伝わったのではないかというのがひとつの仮説である<ref name="szalay"/>。
 
だが、近世の16世紀頃になってようやくヨーロッパでは角兎について文献で触れられようなり、その嚆矢はのフランスの作家[[ラブレー]]の"角ある野兎たち({{lang-fr|lièvres cornus}})"の記述だという{{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=69}}。一方、米国の野生の角兎は実在し{{仮リンク|ショープ乳頭腫ウイルス|en|Shope papilloma virus}}に感染した個体として[[獣医学]]的説明ができる([[ジャッカロープ]]を参照){{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=69}}。よって米国産のウイルスがなんらかのルートで16世紀のヨーロッパに移入され、角兎を発症させたと考えることは可能である<ref name="holliday"/>。ただ、ショープ乳頭腫の症例だと確立したのは20世紀であり{{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=69}}、16世紀にこのウイルスがどのような分布・効能だったかは不詳である{{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=65}}。だとしても、16-18世紀のヨーロッパの自然学界では変種として扱われていた[[レプス・コルヌトゥス]]("ツノノウサギ")の正体は、何らかの病状を発症した個体である可能性が高い<!--16. bis ins späte 18. Jahrhundert von der Zoologie anerkannte ''lepus cornatus'' sehr wahrscheinlich auf pathologisch gehörnte Individuen zurückgeht-->{{sfnp|Auer|Seipel|2004|p=68}}。
 
== 注釈 ==
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<ref name="daunicht">{{citation |last=Daunicht |first=Hubert K. |author-link=<!--Hubert K. Daunicht--> |title=Der Osten nach der Erdkarte al-Ḫuwārizmīs: Beiträge zur historischen Geographie und Geschichte Asiens '' |trans-title=The East in the al-Khwārizmī World Map: A Contribution to Historical Geography and Asian History |volume=2 |location=Bonn |publisher=s.n.<!--publisher not identified,-->|date=1968 |url=https://books.google.com/books?id=BXT5c7Rwv5AC&q=haken |pages=500–502}}. {{in lang|de}}</ref>
 
<ref name="ettinghausen">エッティングハウゼンによる版本解説({{harvp|Ettinghausen|2012|p=269}}; note 29)。ヴュステンフェルト編本({{harvp||Wüstenfeld ed.|1849|loc='''1''': 13}} )及びエテのドイツ訳本({{harvp|Ethé tr.|1868|p=230}})に拠る。{{仮リンク|ダミーリー|en|Al-Damiri}}「動物誌」のカイロ版本(へジュラ歴1319年)も参照している。</ref>
 
<ref name="ferdowsi-warner-tr">{{citation|ref={{SfnRef|Warner|Warner tr.|1912}}|last=Ferdowsi |first= |author-link=:en:Ferdowsi |others=Warner, Arthur George; Warner, Edmond Warner (trr.) |chapter=§27 How Sikandar reached the Land of the Narmpái, how he fought and was victorious, how he slew a Dragon, ascended a mountain, and was forewarned of his own Death |title= The Sháhnáma of Firdausí |volume=1 |location= |publisher=Kegan Paul, Trench, Trübner Co., Ltd. |date=1912 |chapter-url=https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.82412/page/n163/mode/2up |pages=150–153}}. [https://books.google.com/books?id=CixkKv_ywoMC&pg=PA147 Reprinted 2004], RouteledgeRoutledge.</ref>
 
<ref name="holliday">{{cite web|last=Holliday |first=Chuck |authorlink=<!--Chuck Holliday--> |title=Jackalope fans, take note: Your mythical beast really does exist! |work=Prof. Chuck Holliday's web page at the: Department of Biology |date=2003-04-11 |url=http://ww2.lafayette.edu/~hollidac/jackalope.html |access-date=2021-12-28 }}</ref>
 
<ref name=ibn-al-wardi-latin>{{citation |last=Ibn-al-Wardī |first=ʻUmar Ibn-Muẓaffar |author-link=:en:Ibn al-Wardi |chapter=2 |title=Fragmentum libri Margarita mirabilium: Prooemium, Caput II., III., IV. et V. continens, |volume=1 |location= |publisher=Oriental Department of the [[:en:University of Bonn|]] |date=1968 |url=https://books.google.com/books?id=WiU-AAAAcAAJ&pg=PA58&q=leporis |pages=57–58}}. {{in lang|la}}</ref>
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<ref name="qazwini-ethe-tr">エテによるドイツ訳 {{harvp|Ethé tr.|1868|pp=230–231}}</ref>
 
<ref name="szalay">{{citation|last=Szalay |first=Béla |author-link=<!--Béla Szalay--> |title=Polykerasie: Über vielhörnige Säugetiere, ihr Vorkommen in Zoologischen Gärten und ihre Literature |journal=Zoologische Garten: Zeitschrift für die gesamte Tiergärtnerei |volume-56 |date=1915 |url=https://books.google.com/books?id=6nsPAQAAMAAJ&q=hasen+geh%C3%B6rnte |page=248<!--216-282-->}} [[:file:File:Zoologische Garten; Zeitschrift für die gesamte Tiergärtnerei (IA zoologischegarte5619unse).pdf|commons file (pdf)]]</ref>
<ref name="walters">{{cite web |url=https://openn.library.upenn.edu/Data/0020/Data/WaltersManuscripts/html/W659/description.html |title=fol. 155b: Dragon of Tannīn Island and Horned Rab[b]it |work=Walters Ms. W.659, Turkish version of the Wonders of creation |publisher=The Digital Walters |last=Qazwini|first=Zakariya Ibn Muhammad|last2=ibn Muḥammad Shākir Rūzmah-ʾi Nāthānī |first2=Muḥammad (scribe)|location= |access-date=2021-12-28}}. Also [https://art.thewalters.org/detail/84067/dragon-of-tannin-island-and-horned-rabit/ description page]@Walters Museum</ref>
 
<ref name="walters">{{cite web |url=https://openn.library.upenn.edu/Data/0020/Data/WaltersManuscripts/html/W659/description.html |title=fol. 155b: Dragon of Tannīn Island and Horned Rab[b]it |work=Walters Ms. W.659, Turkish version of the Wonders of creation |publisher=The Digital Walters |last=Qazwini |first=Zakariya Ibn Muhammad |last2=ibn Muḥammad Shākir Rūzmah-ʾi Nāthānī |first2=Muḥammad (scribe) |location= |access-date=2021-12-28}}. Also [https://art.thewalters.org/detail/84067/dragon-of-tannin-island-and-horned-rabit/ description page]@Walters Museum</ref>
 
<ref name="wiedemann">{{cite web|last=Wiedemann |first=Michel |authorlink=<!--Michel Wiedemann--> |others=Claude Saint-Girons |title=Les lièvres cornus, une famille d'animaux fantastiques |date=28 March 2009 |url=http://symposium.over-blog.fr/article-29574343.html |access-date=2021-12-28 |lang=fr}}</ref>
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;参考文献
{{refbegin}}
* {{citation|last1=Auer |first1=Alfred |author1-link=<!--:de:Alfred Auer (Gartentechniker)--> |last2=Seipel |first2=‎Wilfried |author2-link=:de:‎Wilfried Seipel |title=Herrlich Wild: höfische Jagd in Tirolloccation=Wien |publisher=Kunsthistorisches Museum |date=2004 |url=https://books.google.com/books?id=uCITAQAAIAAJ&q=qazwini |isbn=<!--385497079X, -->9783854970798}}
 
* {{cite book|ref={{SfnRef|Ethé tr.|1868}}|last=al-Qazwīnī |first=Zakariyyā ibn Muḥammad ibn Maḥmūd <!--|translator-last=Hermann |translator-first=Hermann |translator-link=Hermann Ethé -->|others=[[:en:Hermann Ethé|Ethé, Hermann]] (tr.); [[:en:Heinrich Leberecht Fleischer|Fleischer, Heinrich Leberecht]] (notes) |title=Die Wunder der Schöpfung: Nach der Wüstenfeldschen Textausgabe, mit Benutzung und Beifügung der Reichhaltigen Anmerkungen und erbesserungen des Herrn Prof. Dr. Fleischer |volume=1 |place=Leipzig |publisher=Fues’s Verlag |year=1868 |url=https://books.google.com/books?id=qyc-AAAAcAAJ&pg=PA230 |pages=230–231}} {{in lang|de}}