「定量PCR」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目:
'''定量PCR'''(ていりょうピーシーアール、[[英語|英]]:Quantitative polymerase chain reaction, 略称:Q-PCR)はその産物を迅速に定量できる[[ポリメラーゼ連鎖反応]](PCR)の改良型である。これは[[DNA]]、[[相補DNA]]または[[リボ核酸]](RNA)の増幅が行われる前の総量を間接的に測る方法である。そして通常は目的の遺伝子配列が存在するかどうか、何コピー存在するのかを確かめる目的で利用される。3種類の方法があり、これらは難易度と詳細が異なる。他のPCR同様、DNA試料は[[DNAポリメラーゼ]]と温度変化によって増幅される。
 
[[アガロースゲル電気泳動]]、SYBRグリーン(二重鎖DNA[[染色 (生物学)|染色]])、蛍光プローブのうちのどれかがよく利用される方法である。後者2つは[[リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応]]を使いリアルタイムに分析が可能である。
7行目:
 
#未知の試料と既知の試料を濃度の判明している近いサイズのDNA断片と共に用意する。
#それぞれの試料の反応を同じ条件で同じ時間だけ(できれば同じ[[プライマー]]を用い、または少なくとも同じ位の[[ポリメラーゼ連鎖反応|アニーリング]]温度で)行う。
#アガロースゲル電気泳動でPCR産物を分離する。
#既知と未知の試料の相対的な量を測る事で未知の試料を定量する。
16行目:
SYBRグリーンの利用はゲル電気泳動法よりも正確で、リアルタイムに結果が出る。DNA結合色素は新たに合成された二重鎖DNAへ結合し、緑の蛍光を増加させる。これを測ることで最初の濃度を計測する。しかしながらSYBRグリーンは目的の配列以外にも結合するため結果が混乱する可能性がある。
 
#二重鎖DNA結合蛍光色素を加えてPCRを行う。
#PCRを行なうと同時に蛍光の強さを計測する。色素は二重鎖DNAと結合した際にのみ蛍光を発する。標準の(蛍光色素を加えない)試料と比較することで二重鎖DNAの濃度が定量される。
*[http://www.premierbiosoft.com/molecular_beacons/index.html SYBRグリーン・プライマーデザイン用ソフトウェア]
25行目:
通常はプローブはRNAを基にし、蛍光レポーターとその隣りにクエンチャー(励起エネルギー吸収剤)を入れる。クエンチャーの近くのレポーターは蛍光が抑制される。従って蛍光がみられるのはプローブが分解した時のみである。この過程は使用する[[DNAポリメラーゼ]]の5'→3'[[ヌクレアーゼ|エキソヌクレアーゼ]]活性による。
 
#プローブを加えてPCRを行う。
#反応を開始してDNAが1本鎖化するとプローブがその相補配列(すなわちその鋳型DNA)へ結合する。
#ポリメラーゼが働く温度になると、それはプライマーの結合した1本鎖DNAに相補鎖を作る。DNAの合成がプローブの位置に達すると、プローブはエキソヌクレアーゼ活性によって「上書き」される。結果、元あったプローブはバラバラになり個々の[[ヌクレオチド]]となる。すると蛍光レポーターはクエンチャーと分離するので、蛍光を発する。