「東京グローブ座」の版間の差分

| 所在地= [[東京都]][[新宿区]][[百人町]]3-1-2

当時の[[中曽根康弘]]首相が提唱した国公有地の有効活用に向けて民間活力を導入したモデルケースとして{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=567}}、西戸山公務員宿舎跡地を再開発するためことになり<ref name="yomiuri19880303" />、[[1983年]]（昭和58年）12月、[[三菱地所]]など[[デベロッパー (開発業者)|デベロッパー]]56社の均等出資によって、新宿西戸山開発が設立され{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=567}}、社長には三菱地所の[[中田乙一]]会長が就任した{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/118/1020/11806211020010a.html 参議院会議録情報　第118回国会内閣委員会第10号]</ref>。

施設全体の設計監理は三菱地所ほか8社で構成される西戸山設計管理共同体が担当{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}、[[環境デザイン]]を[[磯崎新]]・泉真也に委嘱し、[[1985年]]（昭和60年）11月、[[都市計画 (都市計画法)|都市計画]]決定の告示を受け、翌年1月、国有財産売買契約がを締結、6月に建設に着手され工し{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}、[[1988年]]（昭和63年）3月竣工を迎えた{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=569}}。

新宿西戸山開発施設は高層部分と低層部分に分かれており、外観がシルバーグレーの高層部は25階建て3棟の[[集合住宅]]全576戸から成り{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}、ピンク系の低層部には[[ポストモダン]]を基調とした[[カルチャー]]施設、アネックス、広場が配され{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}、再開発が決まった時を設け、中曽根首相から「文化施設を」のツルの一声で劇場が整備さえられることが決定する<ref name="yomiuri19880303">「東京グローブ座が4月にオープン シェークスピア時代の劇場を想像的に復元」『読売新聞』夕刊 13頁 1988年3月3日</ref>、アネックス、広場も配された{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}。

文化・交流施設は「シェークスピア・グローブセンター」と名付けられ、[[カルチャーセンター|カルチャー教室]]のほか約700人収容の[[多目的ホール]]「東京グローブ座」が建設整備されることになった{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=569}}。このホールは17世紀初頭[[ロンドン]]に実在した[[シェークスピア]]劇の劇場「第二グローブ座」を模したもので、数少ない文献と遠景を描いた[[エッチング]]をもとに磯崎新アトリエが基本的な[[スケッチ]]を描き、当時の空間形式を抽象化して[[現代建築]]にあてはめる形で西戸山設計管理共同体が設計した{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=569}}。高さ十九メートル、円形の[[バルコニー]]風の二、三階席が[[舞台]]を囲む。舞台は一階客席に八メートル張り出し、門口十三メートル、奥行き十戸メートル、高さ十一メートルで[[迫り]]もある<ref name="yomiuri19880303" />。開場から[[2002年]]（平成14年）まで[[松下電器産業]]（現：パナソニック）が協賛していたことから、パナソニック・グローブ座の[[愛称]]も併用されていた。

=== 西戸山タワーホウムズ ===

住戸をコの字型に配し全周バルコニー形式にしたほか、[[中庭]]側の開放型廊下により2方向避難が可能であるなど安全性を高めた{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}。なお各住戸は都心永住型とし容易に間仕切りの変更ができるようにした{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}。これに加えて、2棟のアネックスには[[ワンルーム]]型住宅付属室85室を設けたほか{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}、。独自の雰囲気をもつ[[西欧]]風の四つの広場など、全敷地およそ7割が[[公開空地]]とされ約1万本の植栽も実施された{{Sfn|丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史|1993|p=568}}。、都心にありながら、不動産相場よりもずっと安い価格が大評判になり、十年間にわたる転売禁止など厳しい申し込み条件もあいまって、契約時は大きな話題となった<ref>「ホットゾーン 西戸山タワーホームズ 大東京を眼下に新しい住空間」『読売新聞』都民版 27頁 1988年4月14日</ref>。