「実質金利」の版間の差分

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フィッシャー方程式 2022年9月9日 (金) 11:03‎ へ移動
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== フィッシャー方程式 ==
実質金利 = 名目金利 - インフレ率(期待インフレ率)をフィッシャー方程式という。詳細は[[フィッシャー方程式]]を参照。
{{main|フィッシャー方程式}}
まず、過去~現在([[:en:ex-ante|ex-ante]], 事前)に起きた現象は以下の関係性が成立する。
:{{pre|事前的実質金利 = 事前的名目金利 ー 事前的インフレ率}}
例えば、1年前に、自分が100万円の商品を購入する際の代金は銀行から名目金利5%で借り、その後1年間の物価の変動(インフレ率)が4%だったとする。借金を現在返済すると105万円を支払う必要があるが、100万円だった商品の価値は物価の変動に伴い104万円となっているため、実質的には差し引き1万円つまり1%の支払いですむ。上記の式で言えば 1% = 5% - 4% となる<ref name="keizainoshikumi" />。
 
そして、この関係性を現在~未来(ex-post, 事後)に置き換えると以下の式になる<ref name="tsuukai100" /><ref name="keizainoshikumi">野口旭 『「経済のしくみ」がすんなりわかる講座』 ナツメ社、2003年、144頁。</ref><ref>[http://diamond.jp/articles/-/10042 ようやく世界標準の政策を採った日本銀行 量的緩和は物価・景気にこうやって効く]ダイヤモンド・オンライン 2010年11月11日</ref><ref>[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/35376 高橋洋一「ニュースの深層」 純白の政策委員会が真っ黒に!? 黒田日銀の「オセロゲーム」に見る専門家とサラリーマンの違い] 現代ビジネス 2013年4月8日</ref>。この学問分野に大きく貢献したのは、アメリカの[[経済学者]]である[[アーヴィング・フィッシャー]]であり、この方程式は[[フィッシャー方程式]]と呼ばれる<ref name="keizainoshikumi" /><ref>フィッシャー方程式で算出された期待インフレ率が引き上げられた分だけ名目金利が上がることをフィッシャー効果と呼ぶ。</ref>。[[期待インフレ率]]({{lang-en-short|expected inflation rate}})は予想インフレ率とも和訳される。金利とは未来に支払う利子に対してつくものなので、同じようにインフレ率も未来のインフレ率を使用する必要があり、そのため過去のインフレ率では無く、期待インフレ率を使用する。
:{{pre|実質金利 = 名目金利 ー 期待インフレ率}}
=== フィッシャー方程式の厳密解 ===
金利差を取るのは近似であり、厳密には、倍率 = 1 + 変化率 とした時に、以下の関係性が成立している。
:{{pre|実質金利の倍率 = 名目金利の倍率 ÷ 期待インフレ率の倍率}}
冒頭の例も、105万円の返済は、1年前の価値に直すには 1.04 で割り、105万円 ÷ 1.04 = 100.96万円であり、つまり、本当の実質金利は0.96%である。
 
上記の式は、倍率 = 1 + 変化率 より、以下のように変形できる。
:{{pre|1 + 名目金利 = (1 + 実質金利) × (1 + 期待インフレ率)}}
そして、実質金利も期待インフレ率も 0 に近ければ、実質金利 × 期待インフレ率が 0 と近似できることより、式を展開して、実質金利 = 名目金利 ー 期待インフレ率 と近似できる。金利の引き算にした方が扱いやすいので、この近似が使われている。厳密解のまま引き算にしたい場合は、両辺の[[対数]]を取り、倍率の対数で扱えば割り算を引き算に変換できる。これらの導出方法の詳細は [[:en:Fisher equation]] を参照。
 
== 金融政策 ==