γ-ノナラクトン(ガンマノナラクトン、: γ-nonalactone)は、化学式C9H16O2で表される有機化合物の1種である。天然にはモモアンズなどの果実、ジャスミン油などに含まれる。

γ-ノナラクトン
γ-nonalactone[1]
識別情報
CAS登録番号 104-61-0
特性
化学式 C9H16O2
モル質量 156.23
外観 無色ないし淡黄色液体
匂い ココナッツ
沸点

243 ℃

への溶解度 不溶
溶解度 アルコール、油類に可溶
屈折率 (nD) 1.446–1.450
危険性
引火点 136 ℃
半数致死量 LD50 6.6 g/kg以上(ラット経口)
5 g/kg以上(ウサギ経皮)
関連する物質
関連物質 γ-オクタラクトン
γ-デカラクトン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造と旋光性 編集

γ-ノナラクトンは分子内に1つ不斉中心を持っており、S体のγ-ノナラクトンと、R体のγ-ノナラクトンが存在する。このうちS体は左旋性(−)であり[2]R体は右旋性(+)である[3]

用途 編集

γ-ノナラクトンはココナッツのような香りを持つが、希釈するとフルーツ、フローラル、ムスクのような香りとなる。ジャスミンなどのフローラル系やオリエンタル調の調合香料や、ココナッツ、バターキャラメルバニラ系といったフレーバーに広く用いられる。食品への使用量は11–55 ppmほどである。工業的にはヘプタナールから合成される[1]

出典 編集

  1. ^ a b 『合成香料 化学と商品知識』印藤元一著 2005年増補改訂 化学工業日報社 ISBN 4-87326-460-X
  2. ^ (S)-gamma-nonalactone (CAS登録番号 63357-97-1)
  3. ^ (R)-gamma-nonalactone (CAS登録番号 63357-96-0)