はぐろ (護衛艦)

海上自衛隊のイージスシステム搭載護衛艦。まや型護衛艦2番艦

はぐろローマ字JS Haguro, DDG-180)は海上自衛隊護衛艦まや型護衛艦の2番艦。艦名は山形県出羽三山の一つである羽黒山に因み、妙高型重巡洋艦4番艦「羽黒」に続き、日本の艦艇としては2代目。

はぐろ
就役後、佐世保に初入港する「はぐろ」
就役後、佐世保に初入港する「はぐろ」
基本情報
建造所 ジャパン マリンユナイテッド横浜事業所 磯子工場
運用者  海上自衛隊
艦種 ミサイル護衛艦(DDG)
級名 まや型護衛艦
建造費 約1,730億円
母港 佐世保
所属 第4護衛隊群第8護衛隊
艦歴
発注 2016年
起工 2018年1月23日
進水 2019年7月17日
就役 2021年3月19日
要目
基準排水量 8,200 トン
満載排水量 10,250 トン
全長 170 m
最大幅 21.0 m
深さ 12.0 m
吃水 6.2 m
機関 COGLAG方式
主機 LM2500IECガスタービンエンジン × 2基
電動機 × 2基
出力 69000PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
速力 約30 ノット
兵装 62口径5インチ単装砲 × 1門
高性能20mm機関砲CIWS)× 2基
90式/17式SSM 4連装発射筒 × 2基
Mk.41 VLS(64+32セル)
68式3連装短魚雷発射管 × 2基
搭載機 ヘリコプター × 1機[注釈 1]
C4ISTAR イージス武器システム
レーダー AN/SPY-1D(V) 多機能型
AN/SPQ-9B 対水上
Mk.99/SPG-62ミサイル誘導用 × 3基
ソナー AN/SQS-53C × 1基
MFTA 曳航式 × 1基
電子戦
対抗手段
NOLQ-2C ESM/ECM
Mk.137 デコイ発射機 × 4基
その他 曳航具4型 対魚雷デコイ
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本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはまや型護衛艦を参照されたい。

艦歴 編集

 
SM‐3ブロックⅠBを発射する「はぐろ」
(ハワイ沖、2022.11.19)
 
「はぐろ」ロゴマーク

「はぐろ」は中期防衛整備計画に基づく平成28年度計画8200トン型護衛艦1616号艦として、ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2018年1月23日に起工され、2019年7月17日に命名され進水[1]、艤装工事と海上公試、ロービジ化(低視認性化)を経た後、2021年3月19日に海上自衛隊に引き渡され[2][3]第4護衛隊群第8護衛隊に編入され、佐世保に配備された。建造費は約1,730億円[1]。海上自衛隊では8隻目となるイージス艦であり、本艦の就役により、安倍内閣が2013年12月に閣議決定した防衛大綱(25大綱)以来、目指していたイージス艦8隻体制が確立した[3]

2020年3月に就役した まやと同型で、他のイージス艦や航空自衛隊の早期警戒機などと敵ミサイルの位置情報を共有できる共同交戦能力(CEC)を備える[4]。従来のこんごう型あたご型のイージス艦よりも、まや型は高い防空能力を有しており、海自の艦隊防空の中核を担うこととなる[4]

「はぐろ」は、日米が共同開発した新型迎撃ミサイル「SM-3 block2A」を搭載する予定であり、迎撃できる高度はSM-3の倍の約1000キロメートル超となり、防衛範囲も倍増する。また、従来の対空ミサイルのSM-2よりも射程の長いSM-6も搭載される。SM-6は、低空を高速で飛来する巡航ミサイルなどに対処する迎撃ミサイルで、射程は300キロメートル以上とされる[3]

2021年6月23日から24日にかけて、関東南方海域において護衛艦「きりしま」、「まや」、補給艦「ときわ」とともに米海軍駆逐艦マスティン」と日米共同訓練を実施した[5]

2022年3月に終了した年次検査の際に後日装備となっていたAN/SPQ-9B対水上レーダーを搭載した。

同年8月8日から14日にかけて、ハワイ周辺海空域において、日米豪韓加ミサイル警戒演習(PACIFIC DRAGON 2022)を実施した。参加艦艇等は本艦の他、米海軍駆逐艦「フィッツジェラルド」、「ウィリアム・P・ローレンス」及びF/A-18F戦闘攻撃機オーストラリア海軍駆逐艦「シドニー」、韓国海軍駆逐艦「セジョン・デワン」、カナダ海軍フリゲートバンクーバー」が参加し、弾道ミサイル模擬標的等の追尾に係る情報共有等を訓練した[6]

同年11月19日、ハワイ州周辺において弾道ミサイル防衛機能確認のためSM-3発射試験を行い、大気圏外において標的に命中、迎撃に成功した[7]。なお、16日には僚艦「まや」が同発射試験を行い、護衛艦2隻が同時期にSM‐3発射試験を実施したのは初めてである。また、21日には実発射を伴わない追尾試験を実施し、「まや」の探知情報を使用して本艦がSM‐3ブロックⅡAを模擬発射。これにより両艦が連携して弾道ミサイルを迎撃する機能を確認した[8]

2023年6月19日、米海軍駆逐艦「ジョン・フィン」とともに、日本海において日米共同訓練を実施した。同年8月29日、東シナ海において米海軍駆逐艦「ベンフォールド」、韓国海軍駆逐艦「ユルゴク・イ・イ」と日米韓共同訓練(弾道ミサイル情報共有訓練を含む各種戦術訓練)を実施した[9]

歴代艦長 編集

歴代艦長(特記ない限り1等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
艤装員長
- 倉光啓介 2019.7.17 - 2021.3.18 防大41期 海上幕僚監部防衛部
運用支援課企画班長
はぐろ艦長
艦長
1 倉光啓介 2021.3.19 - 2021.8.22 防大41期 はぐろ艤装員長 舞鶴地方総監部防衛部
第3幕僚室長
2 佐藤 剛 2021.8.23 - 2023.3.21 あしがら艦長 海上幕僚監部防衛部防衛課勤務
兼 海上幕僚監部防衛部装備体系課勤務
3 富松智洋 2023.3.22 - 防大36期 海上幕僚監部総務部総務課勤務
→2023.1.16 護衛艦隊司令部勤務

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 常時搭載機なし

出典 編集

関連項目 編集