もう一人のマリオネット

もう一人のマリオネット』(もうひとりのマリオネット)は、さいとうちほによる日本漫画作品。

少女コミック』(小学館)にて1991年1号から連載されていた。単行本全8巻(絶版)、文庫本全4巻。

あらすじ 編集

『その日のバレエの発表会で納得できる踊りができたら、東京でバレエの勉強をさせて欲しい』

父親とそう約束していた萩野七生は、演目の「マリオネット」になりきる。父親は忙しい仕事の合間を縫って発表会に駆けつけるが、七生の踊りを見る直前に急死してしまう、最期に妻に「七生を東京に行かせてやれ」と言い遺して。

偶然七生の踊りを見ていた演出家神真之は、七生がバレエの才能よりも演劇の才能を秘めていると直感する。強引な手段で七生を上京・劇団に入団させ、新作「マリオネットII(ツー)」の主役に抜擢する。

神の庇護で贔屓されていると団員に思われ、溶け込めなかった七生だったが、自分なりに問題を解決していく。ライバル劇団の嫌がらせを受けながらも、七生入団後の公演は成功するかに思われたが、団員の裏切りで、急遽神が舞台に立つことになる。そして、神が隠していたある秘密“二重人格”が現れ始めてしまう。

登場人物 編集

※キャストはドラマCD版

萩野 七生(はぎの ななみ)
声 - 奥田ゆかり
高校1年生。バレエを趣味でなく真剣に学びたいと願っていた。神に強引に劇団に入団させられるが、芝居の面白さに目覚めていく。
神 真之(じん まさゆき)
声 - 山寺宏一
演出家。「劇団29世紀」を主宰する。1年半前まで劇団「木曜舎」の看板役者だったが、裏切る形で、神が木曜舎から独立して立ち上げた劇団二重人格
黒崎 建(くろさき たける)
神のもう一人の人格。粗野なところがあり、人との関わりに慣れておらず、人に触られることを嫌う。神の隠された双子らしい。
悠貴 みなみ(ゆうき みなみ)
声 - 小柳弘隆
劇団29世紀の経理や事務を一手に請け負う。神が二重人格であることを唯一知る。
天王寺 一(てんのうじ はじめ)
劇団29世紀のライバル劇団・木曜舎の脚本家・演出家。
冠 雪子(かん ゆきこ)
劇団29世紀の看板女優。一度は劇団を去ったことがあるが、再び戻ってくる。
近藤 大護(こんどう だいご)
劇団29世紀団員。若い神に代わり、団員たちをまとめるリーダー的存在。団員を裏切り、公演初日をすっぽかし、木曜舎へ移籍する。
久世(くぜ)
七生と同じ高校に通う。元々演劇ファンだったが、七生と知り合い、押しかけで29世紀の大道具作りに携わる。
涼木 美砂緒(すずき みさお)
木曜舎の団員。度々男の子に間違われるほどボーイッシュ。
島 陽子(しま ようこ)
29世紀団員。神が劇団の解散を告げ去った後も彼を信じ、待ち続けた。

書誌情報 編集

さいとうちほ 『もう一人のマリオネット』