アカマンボウ(赤翻車魚、学名:Lampris megalopsis、英名:opah)とは、アカマンボウ目アカマンボウ科 (Lampridae) に属する深海魚。別名、マンダイ。体型はマンボウ (Mola mola) に似るが、マンボウの仲間ではない。リュウグウノツカイに近縁の魚である。

アカマンボウ
アカマンボウ Lampris megalopsis
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アカマンボウ目
Lampridiformes
: アカマンボウ科 Lampridae
: アカマンボウ属 Lampris
: アカマンボウ Lampris megalopsis
学名
Lampris megalopsis
Underkoffler, Luers, Hyde and Craig, 2018[1]
和名
アカマンボウ
英名
opah
Bigeye Pacific Opah[1]

特徴 編集

全長2 m、体重270 kgほどにもなる大型魚である。体は円盤形で、左右から押しつぶされたように平たい。口は前に少し突き出ていて、歯がない。体はタチウオのように銀色で、白いまだら模様があり、小さくて剥げやすい鱗に覆われる。ひれと口元、目の周りは鮮やかな赤色で、胸びれ、背びれの前端部、腹びれが状に長く発達する。側線は胸びれの上で背中側に大きく曲がっている。

外見や生態は和名のとおりマンボウにも似ているが、分類上はまったく別の魚である。マンボウと違って尾びれをもち、胸びれが垂直ではなく水平に長く発達している。なお、ラテン語での目名、科名、属名は、「輝かしい」「明確な」という意味のギリシャ語 lampros に由来し、名のとおり鮮やかな外見の魚といえる。

世界中の熱帯温帯の海に広く分布し、外洋域の水深500 mまでの表層・中層に生息する。ただし人目に触れない環境に生息しているため、生態についてはほとんどが不明である。

マグロなどと同様に、胸びれと尾びれを使って泳ぎながら生活していると考えられている。食性は肉食性で、クラゲイカオキアミ、小魚などを捕食する。いっぽうで天敵アオザメホホジロザメといった外洋性の大型のサメである。

稚魚は細長く、リュウグウノツカイの稚魚に似ているが、背びれと腹びれが長く伸びないので区別される。やがて体が円盤状になり、成魚の姿へと変わってゆく。

2015年5月、アメリカ海洋大気庁の研究チームにより、アカマンボウには魚類で唯一、血液の温度を保つ機能があることが確認された。アカマンボウには、心臓えらの間に特殊な血管の絶縁網があり、心臓から送られた温かい血液が、えらが取り込んだ海水によって冷やされた血液を温めなおす体の作りをしている。これにより、アカマンボウは周辺の海水よりも5度ほど高い体温を保つことができるようになっており、深海でも活発な活動が可能とされる[2]。これは哺乳類鳥類とほぼ同じ体温維持の方法である[3]

食材 編集

味がよく、ハワイ沖縄などでは食用に珍重されている。とりわけ、沖縄ではお手頃価格の万能魚とされている。

アカマンボウは、専門的な漁として取られるというよりは、延縄などでマグロに混じって漁獲されることのほうが多い[4]

調理法は、腹側を刺身に、背側をムニエルなどの加熱調理用にする。

身の一部にマグロに似た赤身が取れる部位があり、味や食感もマグロに近いことから、「安価な回転寿司店などではマグロの代用魚として利用されている」とも言われている。 この説を前提に自らアカマンボウを捌いて赤身を食した生物ライターの平坂寛は、味について「十分代役を務められる」としつつ、食品偽装に対する消費者の厳しい目がある現状や、マグロ以上に漁獲が不安定で珍しいこと、一尾から採れる赤身の少なさ、加工しづらい形状などから、マグロの代用魚説は「眉唾」「都市伝説と思っておいた方がいい」と結論づけている。[5]

別名 編集

マンダイ、マンボウ、ヒャクマンダイ、キンタイ、金魚とも呼ばれている。

分類 編集

従来アカマンボウ科にはアカマンボウ Lampris guttatusと南半球に分布する全長1m程度の Lampris immaculatus(英名:southern opah)の1属2種のみが属するとされていた。しかし2018年にアカマンボウLampris guttatusは5種に分類され、アカマンボウ科は6種となった[1]。その結果従来アカマンボウとされていたLampris guttatusは北西太平洋のみに分布することが判明し、アカマンボウの学名はLampris megalopsisに変更された[6]

脚注 編集

関連項目 編集