アキグミ

グミ科グミ属の落葉低木

アキグミ(秋茱萸[3]学名: Elaeagnus umbellata または Elaeagnus umbellata var. umbellata)はグミ科グミ属の落葉低木。果実は食用となり、果実酒などに利用される。和名は秋に果実が熟すことから[3]。「あさつき」の異称がある[4]

アキグミ
アキグミの実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: グミ科 Elaeagnaceae
: グミ属 Elaeagnus
: アキグミ E. umbellata
変種 : アキグミ E. u. var. umbellata
学名
Elaeagnus umbellata Thunb. var. umbellata (1784)[1]
シノニム
和名
アキグミ(秋茱萸)
英名
Japanese silverberry

分布・生育地 編集

ヒマラヤ山脈カラコルムから中国台湾朝鮮半島日本にかけての東アジアに分布する[5]。日本では、北海道道央以南、本州四国九州沖縄などに広く分布する[5][3]。日当たりの良い河原や林道脇に群生することが多い[5]。痩せ地でも良く育つ[5]

北アメリカでは、各地で帰化しており、侵略的外来種と考えられることがある。

特徴 編集

低木落葉樹[5]、樹高は2 - 3メートル (m) 程度に成長する[3]。小枝は灰白色をしている[3]互生し、長さ4 - 8センチメートル (cm) の長楕円形状の披針形で白っぽい緑色、葉の裏と葉柄に銀白色の鱗片に覆われている[5][3]

花期は春(4 - 5月)[5]は葉の付け根に数個ずつ集まって咲き[5]、花色は咲き始めは白く、のち薄黄色へ移り変わっていく[3]花冠はなく、長さ5 - 7ミリメートル (mm) ある筒状のの先が4裂してる[3]雄蕊は4個、雌蕊は1個つく[3]

果期は秋(10 - 11月ごろ)[3]。朱色から赤色に熟す果実は直径6 - 8 mmほどある[3]。ほかのグミ類の果実が楕円形なのに対し、アキグミは球形に近い。実は生食できるが、タンニンを多く含むため強い渋みを感じさせる[5][3]

 
 
 
 
樹形 花と蕾

利用 編集

果実は生食もできるが渋みが強いため、果実酒などに利用する[5]。果実酒にすると、下痢止めなどの薬用になる[3]。また、実にトマトの7〜17倍のリコペンを含む。

窒素固定を行い痩せた土地にも生育すること、挿し木による増殖も可能なことから砂防治山の緑化工事などにも用いられる。庄内海岸では砂地の静砂用に植栽された[6]

脚注 編集

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeagnus umbellata Thunb. var. umbellata アキグミ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeagnus umbellata Thunb. var. subcoriacea (Nakai et Masam.) Masam. アキグミ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月5日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 41.
  4. ^ 『精選版日本国語大辞典』小学館
  5. ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 144.
  6. ^ 庄内海岸の国有林”. 林野庁東北森林管理局庄内森林管理署. 2022年4月25日閲覧。

参考文献 編集

  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、41頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、144頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目 編集