アンソニー・バス

アメリカの野球選手 (1987 - )

アンソニー・エドワード・バスAnthony Edward Bass1987年11月1日 - )は、アメリカ合衆国ミシガン州ウェイン郡トレントン英語版出身のプロ野球選手投手)。右投右打。フリーエージェント(FA)。愛称はT-フィッシュT-Fish[2]

アンソニー・バス
Anthony Bass
マイアミ・マーリンズ時代
(2021年4月20日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ミシガン州ウェイン郡トレントン英語版
生年月日 (1987-11-01) 1987年11月1日(36歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
195 lb =約88.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2008年 MLBドラフト5巡目
初出場 MLB / 2011年6月13日
NPB / 2016年3月30日
年俸 $3,000,000(2022年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

NPBでの登録名はアンソニー・バース[3]。本来の発音は伸ばさない「バス」だが、同じく登録名を「バース」にして日本で成功した、同姓のランディ・バースにあやかってこの登録名にされた。

経歴 編集

プロ入りとパドレス時代 編集

2008年MLBドラフト5巡目(全体165位)でサンディエゴ・パドレスから指名され、プロ入り。

 
サンディエゴ・パドレス時代
(2011年7月15日)

2011年6月13日のコロラド・ロッキーズ戦で先発し、メジャーデビューを果たした。

2012年は先発ローテーションに入り、6月20日のテキサス・レンジャーズ戦でダルビッシュ有から2点適時打を放つなど打撃でも活躍したが、その試合を最後に肩を痛めて約2ヶ月半離脱した[4]

アストロズ時代 編集

2013年12月11日に金銭トレードで、ヒューストン・アストロズへ移籍した。交換要員は後日発表となり、パトリック・シュスター英語版に決定した[5]

 
ヒューストン・アストロズ時代
(2014年7月2日)

2014年11月20日に40人枠外となり[6]、12月6日にFAとなった。

レンジャーズ時代 編集

2014年12月11日にレンジャーズとマイナー契約を結んだ[2]

2015年4月5日にメジャー契約を結び、開幕をメジャーで迎える事となった[7]。この年は自己最多の33試合に登板、通算100試合登板を達成した。投球内容は、2年ぶりに0勝に終わったが、防御率を3年ぶりの5.00未満となる4.50まで引き下げた。WHIPも、同様に3年ぶりの1.40未満となる1.34とした。

日本ハム時代 編集

2015年11月16日にトム・ウィルヘルムセンジェームズ・ジョーンズ、後日発表のパトリック・キブルハンとのトレードで、レオネス・マーティンと共にシアトル・マリナーズへ移籍した[8]が、2016年1月7日に自由契約となった[2]。その翌日の1月8日に北海道日本ハムファイターズと契約合意に至ったことが発表された。背番号は52[9]

開幕一軍入りを果たし、3月30日の対オリックス・バファローズ戦で初登板初先発(3回途中5失点で敗戦投手)。3・4月こそ5試合に先発して1勝4敗、防御率も5点台と振るわなかったが、5月半ばにリリーフに配置転換されてからは安定した投球を見せるようになり、以降は谷間の先発、ロングリリーフ、セットアッパーと役割を選ばないユーティリティ性で重宝された。シーズン終了まで一度も一軍から離脱せず、37試合に登板(うち14試合は先発)して8勝(8敗)6ホールドを記録し、日本ハムの優勝に貢献した。広島東洋カープと対戦した日本シリーズでは、5試合にリリーフ登板して3勝を挙げ、防御率も0.00。日本シリーズで同一選手が3勝以上を挙げたのは1964年ジョー・スタンカ以来52年ぶり9人目で、すべて救援で記録したのは史上初だった[10]。更に第6戦では打席にも立ちリードを広げる適時安打を放つおまけ付きであった。オフの11月15日に退団することが発表され[11]、12月2日、自由契約公示された[12]

レンジャーズ復帰 編集

2017年2月11日に古巣のレンジャーズとマイナー契約を結び、同年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[13]。レギュラーシーズンの開幕はAAA級ラウンドロック・エクスプレスで迎えたが、4月20日に昇格して2015年以来となるMLB復帰を果たした。8月31日にミゲル・ゴンザレスの加入に伴ってDFAとなり[14]、9月3日にマイナー契約に切り替わった[2]

カブス時代 編集

2017年12月20日にシカゴ・カブスとマイナー契約を結んだ。

2018年の開幕は傘下のAAA級アイオワ・カブスで迎え、6月11日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[15]。8月12日に40人外枠となった(AAA級アイオワに所属)[2]。オフに自由契約となった。

レッズ傘下時代 編集

2018年12月26日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結んだ。

2019年開幕前の3月25日に一旦自由契約となるが、28日にマイナー契約で再契約した[2]。開幕から傘下のAAA級ルイビル・バッツでプレーしていたが、5月21日に自ら選んで契約を途中で放棄する「オプトアウト」を行使した[16]

マリナーズ時代 編集

2019年5月21日にシアトル・マリナーズとメジャー契約を結んだ[17]

ブルージェイズ時代 編集

 
トロント・ブルージェイズ時代
(2020年7月27日)

2019年10月29日にウェイバー公示を経てトロント・ブルージェイズへ移籍した[18]

2020年COVID-19の影響で60試合の短縮シーズンとなる。抑えのケン・ジャイルズトミー・ジョン手術で離脱後は抑えに抜擢され、ラファエル・ドリスと共に勝ちパターンで起用され活躍。オフの10月28日にFAとなった[19]

マーリンズ時代 編集

2021年1月28日にマイアミ・マーリンズと2年総額500万ドルの契約を結んだ[20]。自身初となる複数年契約だった[21]

ブルージェイズ復帰 編集

2022年8月2日にジョーダン・グロシャンズとのトレードで、ザック・ポップと共に古巣のブルージェイズへ移籍した[22]

2023年6月9日に後述の理由でプライドウィーケンドを前にしてDFAとなった(詳細)。6月15日にFAとなった[23]

投球スタイル 編集

MLBでは主にリリーバーとして、最速99.7mph[24](約160.5km/h)NPBでの最速155km/h・平均球速93mph(約149km/h)の速球系(フォーシームカットボールツーシーム)と、平均85mph(約137km/h)のスライダー、平均84mph(約135km/h)のチェンジアップを使用していた。Pitch f/x上では2015年に130km/h前後のカーブを2球投げている。
投球の割合は、フォーシームを基本とした速球系が約6割、スライダーが約3割、チェンジアップが約1割を占めている。MLBでの通算奪三振率が6.05と低く、主にゴロで打ち取る投球スタイル。スライダーの空振り率は2013年以前は20%前後と高かったが、2014年以降は14%前後に落ちている[25][26]

人物 編集

2023年4月17日に家族でユナイテッド航空に搭乗した際、客室乗務員から自身の幼児が散らかした後始末を妊婦の妻に強いたことを自身のツイッターにてクレームを行い、物議を醸した[27]。5月29日には自身のインスタグラムで反LGBTの一環としてアンハイザー・ブッシュへの不買運動英語版の投稿をシェアし炎上[28]。5月30日に謝罪した[29]。6月9日に成績が主な要因としているが、プライドウィーケンドを前にしてDFAとなった[30]。尚、同日のプライドウィーケンドでの始球式ではバスが捕手を務める予定だったが、チームメイトのケビン・ゴーズマンとLGBTを支持しているゴーズマンの妻が務めた[30]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2011 SD 27 3 0 0 0 2 0 0 4 1.000 198 48.1 41 3 21 1 1 24 1 0 9 9 1.68 1.28
2012 24 15 1 0 1 2 8 1 1 .200 411 97.0 89 10 39 3 1 80 5 1 59 51 4.73 1.32
2013 24 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 193 42.0 51 4 20 4 0 31 5 0 26 25 5.36 1.69
2014 HOU 21 0 0 0 0 1 1 2 4 .500 119 27.0 32 6 7 1 2 7 2 0 20 19 6.33 1.44
2015 TEX 33 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 272 64.0 66 5 20 1 1 45 1 0 33 32 4.50 1.34
2016 日本ハム 37 14 0 0 0 8 8 0 6 .500 452 103.2 102 7 47 4 4 71 2 0 48 42 3.65 1.44
2017 TEX 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 31 5.2 14 1 0 0 0 1 1 0 9 9 14.29 2.47
2018 CHC 16 0 0 0 0 0 0 0 3 .--- 62 15.1 18 1 3 0 0 14 2 0 6 5 2.93 1.37
2019 SEA 44 0 0 0 0 2 4 5 6 .333 189 48.0 30 5 17 2 1 43 6 0 20 19 3.56 0.98
2020 TOR 26 0 0 0 0 2 3 7 4 .400 100 25.2 17 2 9 2 0 21 0 0 13 10 3.51 1.01
2021 MIA 70 1 0 0 0 3 9 0 19 .250 260 61.1 55 11 24 6 3 58 0 0 33 26 3.82 1.29
2022 45 0 0 0 0 2 3 0 16 .400 173 44.2 32 1 10 0 0 45 1 0 10 7 1.41 0.94
TOR 28 0 0 0 0 2 0 0 7 1.000 102 25.2 19 5 10 1 0 28 1 0 5 5 1.75 1.13
'22計 73 0 0 0 0 4 3 0 23 .571 275 70.1 51 6 20 1 0 73 2 0 15 12 1.54 1.01
2023 22 0 0 0 0 0 0 0 1 88 20.0 19 3 9 2 0 19 1 0 12 11 4.95 1.40
MLB:12年 382 19 1 0 1 16 28 15 65 .364 2198 524.2 483 57 189 23 9 416 26 1 255 228 3.91 1.28
NPB:1年 37 14 0 0 0 8 8 0 6 .500 452 103.2 102 7 47 4 4 71 2 0 48 42 3.65 1.44
  • 2023年度シーズン終了時

表彰 編集

NPB

背番号 編集

  • 45(2011年 - 2014年、2018年)
  • 63(2015年)
  • 52(2016年、2019年 - 2023年)
  • 60(2017年)

脚注 編集

  1. ^ Anthony Bass Contract Details, Salaries, & Earnings” (English). Spotrac. 2022年10月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f MLB公式プロフィール参照。2018年8月13日閲覧。
  3. ^ ハムに最速159キロ“投げるバース”栗山監督「優勝請負人」
  4. ^ Corey Brock (2012年6月20日). “Bass exits start with right shoulder inflammation” (英語). MLB.com. http://m.padres.mlb.com/news/article/33657938 2015年11月17日閲覧。 
  5. ^ “Astros acquire Bass from San Diego” (英語). Astros Press Release. MLB.com. (2013年12月11日). http://m.astros.mlb.com/news/article/64594424 2015年11月17日閲覧。 
  6. ^ “Astros add Torreyes, Velasquez to 40-man roster” (英語). Astros Press Release. MLB.com. (2014年11月21日). http://m.astros.mlb.com/news/article/102022430/astros-add-torreyes-velasquez-to-40-man-roster 2015年4月12日閲覧。 
  7. ^ T.R. Sullivan (2015年4月5日). “Rangers set roster with all-righty bullpen” (英語). MLB.com. http://m.rangers.mlb.com/news/article/116473012/rangers-set-roster-with-all-righty-bullpen 2015年4月12日閲覧。 
  8. ^ Greg Johns (2015年11月16日). “Mariners acquire Martin from Rangers” (英語). MLB.com. 2015年11月17日閲覧。
  9. ^ アンソニー・バース投手と契約合意北海道日本ハムファイターズ公式サイト 2016年1月8日配信
  10. ^ バース シリーズ史上初3勝すべて救援「アドレナリンで投げきった」 スポーツニッポン、2016年10月30日配信。
  11. ^ アンソニー・バース投手退団のお知らせ”. 北海道日本ハムファイターズ (2016年11月15日). 2016年11月15日閲覧。
  12. ^ 自由契約選手2016年度公示”. NPB.jp 日本野球機構 (2016年12月2日). 2016年12月3日閲覧。
  13. ^ Oliver Macklin (2017年2月11日). “Rangers sign Bass to Minor League contract” (英語). MLB.com. 2017年2月11日閲覧。
  14. ^ Scott Merkin (2017年8月31日). “Gonzalez traded to Rangers for Minor Leaguer” (英語). MLB.com. 2017年9月2日閲覧。
  15. ^ Carrie Muskat (2018年6月11日). “Maddon downplays early-season set vs. Crew” (英語). MLB.com. 2018年6月12日閲覧。
  16. ^ Anthony Bass: Let go by Cincinnati” (英語). CBS Sports (2019年5月21日). 2019年5月22日閲覧。
  17. ^ Greg Johns (2019年5月21日). “Gordon, Healy to IL in Mariners roster shuffle” (英語). MLB.com. 2019年5月22日閲覧。
  18. ^ Keegan Matheson (2019年10月29日). “Blue Jays claim Anthony Bass off waivers” (英語). MLB.com. 2019年10月30日閲覧。
  19. ^ 147 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2020年10月28日). 2022年3月2日閲覧。
  20. ^ Marlins Sign Anthony Bass” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年1月28日閲覧。
  21. ^ 元ハム右腕、メジャーで初の複数年契約を勝ち取った理由 「日本での成功で自信増大」”. Full-Count (2021年2月3日). 2022年3月2日閲覧。
  22. ^ Blue Jays Acquire Bass And Pop” (英語). MLB.com. 2022年8月3日閲覧。
  23. ^ Blue Jays Roster & Staff Transaction” (英語). MLB.com (2023年6月15日). 2023年6月20日閲覧。
  24. ^ 2015年7月20日 ロッキーズ戦で計測
  25. ^ Player Card: Anthony Bass”. Brooks Baseball. Baseball Prospectus. 2015年11月17日閲覧。
  26. ^ Anthony Bass Pitch Data”. The Baseball Cube. 2016年5月20日閲覧。
  27. ^ Woodyat, Amy (2023年4月18日). “Toronto Blue Jays pitcher claims flight attendant ‘made’ his pregnant wife clean up after their child, fueling heated Twitter debate”. CNN. https://www.cnn.com/2023/04/19/sport/anthony-bass-blue-jays-airplane-intl-spt/index.html 
  28. ^ Keegan Matheson (2023年6月9日). “Bass, Atkins address anti-LGBTQ2S+ video shared by reliever” (英語). MLB.com. 2023年6月12日閲覧。
  29. ^ Keegan Matheson (2023年5月31日). “Bass apologizes for anti-LGBTQ2S posts” (英語). MLB.com. 2023年6月12日閲覧。
  30. ^ a b Keegan Matheson (2023年6月10日). “Anthony Bass designated for assignment” (英語). MLB.com. 2023年6月12日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集