イシコリドメ

日本神話に登場する神

伊斯許理度売命いしこりどめのみこと日本神話に登場する女神作鏡連かがみづくりのむらじらの祖神、天糠戸あめのぬかどの子とされている。『古事記』では伊斯許理度売命、『日本書紀』では石凝姥命または石凝戸辺いしこりとべと表記されている。

伊斯許理度売命

神祇 天津神
全名 伊斯許理度売命
別名 石凝姥命、石凝戸辺
神格 鏡作
天糠戸
神社 鏡作坐天照御魂神社鏡作伊多神社
関連氏族 鏡作部遠祖[1]、鏡作上祖[2]、作鏡遠祖[3]、鏡作祖[4]、作鏡連等之祖[5]
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神話での記述 編集

岩戸隠れの際に八咫鏡を作った。ちなみに日前神宮・國懸神宮和歌山市)には八咫鏡に先立って鋳造された鏡である日像鏡ひがたのかがみ日矛鏡ひぼこのかがみがある。日像鏡は日前神宮の神体、日矛鏡は國懸神宮の神体となっている。

天孫降臨に際して天児屋あめのこやね太玉ふとだま天宇受売あめのうずめ玉祖たまのおや伊斯許理度売命五伴緒神いつとものおのかみ邇邇芸ににぎに随伴している。

『日本書紀』などには天糠戸命の子とある。天糠戸命の出自は記紀などには記されていないが、『大倭神社註進状』の裏書の「鏡作神社三座条」によれば大山祇命の子とされる[6]佐伯有清は、天糠戸命の父神を神産巣日命と推定している[6]

解説 編集

神名の名義について、「コリ」を凝固、「ド」を呪的な行為につける接尾語、「メ」を女性と解して、「石を切って鋳型を作り溶鉄を流し固まらせて鏡を鋳造する老女」の意と見る説がある[7]

鋳物の神・金属加工の神として信仰されている。鞴神社(大阪府大阪市天王寺区)、中山神社(岡山県津山市)、鏡作坐天照御魂神社(奈良県磯城郡)、岩山神社(岡山県新見市)などに祀られる。

脚注 編集

  1. ^ 『日本書紀』 巻第一 神代上第七段 一書第三
  2. ^ 『日本書紀』 巻第二 神代下第九段 一書第一
  3. ^ 『古語拾遺』 神代段
  4. ^ 『先代旧事本紀』 巻第二 神祇本紀
  5. ^ 『古事記』 上巻
  6. ^ a b 佐伯有清「「家牒」についての一考察」『北海道大学人文科学論集』第19巻、北海道大学教養部人文科学論集編集委員会、1983年3月、1-14頁、hdl:2115/34366ISSN 03856038NAID 120000947089 
  7. ^ 西宮一民「付録 神名の釈義」『新潮日本古典集成 古事記』新潮社、2014年、366頁。

関連項目 編集