オオアカバナ

アカバナ科の種

オオアカバナ(学名:Epilobium hirsutum)は、アカバナ科アカバナ属多年草[3][4]

オオアカバナ
福島県会津地方 2018年7月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: フトモモ目 Myrtales
: アカバナ科 Onagraceae
: アカバナ属 Epilobium
: オオアカバナ
E. hirsutum
学名
Epilobium hirsutum L.[1]
シノニム
和名
オオアカバナ

特徴 編集

横に走る細長い地下茎があって、しばしば群生する。は直立してを多数分け、長い軟毛と短い腺毛が密生し、高さは1.5mに達し、ときに2mを超える。は茎の下部では対生し、上部では互生する。葉身は長楕円形から長楕円状披針形で、長さ4-12cm、幅0.5-2cm、先端は鋭形、縁にはとがった細鋸歯があり、基部は円形または浅心形で茎を抱き、葉柄はない。葉の両面に長い軟毛が生える。枝につく葉は茎につく葉と比べると小さく幅が狭い[3][4][5]

花期は6-8月。は茎上部の葉腋から単生する。花の基部に細長くつく花柄状のものは、のちに果実になる子房で長さ2-5cmになり、花柄とともに長毛と腺毛が生える。にも長毛と腺毛が生え、萼裂片は4個あり、裂片は披針形になり、長さ6-12mmになる。花冠は紫紅色、花弁は4個あり、円状倒卵形で長さ8-20mm、幅7-15mmになり、先端が2浅裂する。雄蕊は8個あり、そのうち4個が長い。花柱は長さ約10mmになり、柱頭は白色で4裂し、裂片は反り返る。果実は長さ3-10cmになる細長い円柱形の蒴果で直立し、多少毛が散生し、熟すると先端から裂開する。果柄は長さ5-20mmになる。種子は長さ0.8-1.2mmの長楕円状倒卵形で、先端は円形で、乳頭状突起が密生し、汚白色の冠毛状の長い毛(種髪)がつき、風によって飛ばされる[3][4]

分布と生育環境 編集

日本では、本州の中部地方以北に稀に分布し、湿った草原、川岸、谷間の湿地、休耕田などに生育する。地下に、横に走る地下茎があって、しばしば群生する[3][4]。世界では朝鮮半島中国大陸モンゴルネパールパキスタンアフガニスタンロシア、西南アジア、北アフリカヨーロッパの温帯に広く分布し、北アメリカ帰化している[4][5]

名前の由来 編集

種小名(種形容語)の hirsutum は、「粗毛ある」「多毛の」の意味[6]

保全状況評価 編集

(2017年、環境省)

類似の種 編集

類似の種にムクゲアカバナ(ススヤアカバナ)(学名:Epilobium parviflorum Schreb.[7])がある。柱頭が4裂し、茎や葉に毛が密生することでオオアカバナに似るが、比べて全体に小さく、花も小さい。日本では本州(中部地方以北)に帰化し、ユーラシア大陸の温帯に広く分布する[4]

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ オオアカバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ オオアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d 『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプタンツ(増補改訂新版)』p.236
  4. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 3』pp.264-265
  5. ^ a b Epilobium hirsutum,Flora of China.
  6. ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.1330
  7. ^ ススヤアカバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献 編集