カカウ

ドイツのサッカー選手

カカウ(Cacau)ことクラウデミール・ジェロニモ・バレット(Claudemir Jerônimo Barreto[2][3][4][5], 1981年3月27日 - )は、ブラジルサンパウロ州サント・アンドレ出身の元サッカー選手。元ドイツ代表。ポジションはフォワード

カカウ
2016年のカカウ
名前
本名 クラウデミール・ジェロニモ・バレット
Claudemir Jerônimo Barreto
愛称 カカウ(Cacau),
ヘルムート(Helmut)
ラテン文字 CACAU
基本情報
国籍 ドイツの旗 ドイツ
ブラジルの旗 ブラジル
生年月日 (1981-03-27) 1981年3月27日(43歳)
出身地 サント・アンドレ [1]
身長 179cm
体重 74kg
選手情報
ポジション FW
利き足 右足
ユース
1994-1997 ブラジルの旗 パルメイラス
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
1997-1999 ブラジルの旗 ナシオナル-SP
1999-2001 ドイツの旗 テュルク・ギュジュ 31 (7)
2001-2003 ドイツの旗 ニュルンベルク 44 (8)
2003-2014 ドイツの旗 シュトゥットガルト 263 (80)
2014-2015 日本の旗 セレッソ大阪 24 (7)
2016 ドイツの旗 シュトゥットガルトII 9 (3)
代表歴2
2009-2012 ドイツの旗 ドイツ 23 (6)
1. 国内リーグ戦に限る。2016年6月10日現在。
2. 2014年8月10日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

2009年2月にドイツ国籍を取得し同年5月の中国との親善試合でドイツ代表デビュー、2010年に2010 FIFAワールドカップに出場した[6]

経歴 編集

クラブ 編集

1994年から1997年にはSEパルメイラスの下部組織[7] に、その後はモギ・ダス・クルーゼスの下部組織[8] に在籍した。

ドイツで所属した最初のクラブは9部相当のリーグに所属する[9]SVテュルク・ギュジュ・ミュンヘンで、その後1.FCニュルンベルクのリザーブチームに移った。リザーブチームでの活躍が認められ、2001年11月18日のハンザ・ロストック戦でトップチームデビューすると、12月8日のバイヤー・レバークーゼン戦で初得点した。2001-02シーズンは17試合出場6得点で終えたが、2002-03シーズンは27試合に出場して2得点にとどまり、クラブはツヴァイテリーガ(2部)降格となった。2003年1月にVfBシュトゥットガルトへの移籍が内定し、同年夏に移籍した。2003-04シーズンはUEFAチャンピオンズリーグ4試合に出場した。2004-05シーズンはリーグ戦で12得点し、チーム2位の得点数を記録した。UEFAカップでは1回戦のウーイペシュトFC(ハンガリー)戦で2試合連続2得点を記録し、グループリーグ初戦のKSベベレン(ベルギー)戦でも2得点するなど、8試合すべてにフル出場して7得点を挙げた。2005-06シーズンは不本意なシーズンとなり、リーグ戦では4得点に終わったが、2006-07シーズンは鍵となる選手のひとりとなり、チーム2位の13得点を挙げてリーグ優勝に貢献した。特にバイエルン・ミュンヘン戦(2-0)での2得点、VfLボーフム戦(3-2)での決勝点など、シーズン終盤に重要な得点を挙げて大活躍した。このシーズンのDFBポカールでは6試合で5得点し、ボーフム(4-1)、ヘルタ・ベルリン(2-0)、VfLヴォルフスブルク(1-0)などを破って決勝に進出した。決勝の古巣1.FCニュルンベルク戦では20分に先制点を挙げたが、得点の11分後にレッドカードを受けて退場処分となり、延長戦の末に2-3で敗れて準優勝に終わった。カカウはアウェーでのニュルンベルクとのリーグ戦でも得点しているが、リーグ戦ではホーム&アウェーで2連敗しており、同クラブにはシーズン3回目の敗戦となった。2007-08シーズンはUEFAチャンピオンズリーグで5試合に出場し、11月27日のレンジャーズFC(スコットランド)戦(ホーム、3-2)で同点弾を決めた。リーグ戦では27試合に出場して9得点を挙げ、チームは6位でシーズンを終えた。2008-09シーズンは24得点を決めたFWマリオ・ゴメスのパートナーとしてチーム2位の7得点を決めた。特に、マルクス・バッベル監督就任後の活躍が著しかった。2009-10シーズン前半戦はクラブの低迷に合わせて2得点と沈黙したが、23節の1.FCケルン戦(5-1)で1試合4得点と爆発すると[10]、その試合から最終節までの12試合で11得点し、順位を7位まで上げてUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得した。2010年5月1日、クラブとの契約を2013年夏まで延長した[11]。2011-12シーズンは序盤から好調を続け、2011年8月6日のシャルケ04戦(3-0)ではヘディングシュートを決めて快勝に貢献した[12]。2014年5月3日、契約満了により2013-14シーズン限りでシュトゥットガルトを退団することが発表された[13]

8月11日、得点力不足を補い、成績不振のチームを救う存在として[14]セレッソ大阪に2015年6月までの契約で移籍した[15]。9月23日の名古屋グランパス戦でJリーグ初ゴールを決めるなど、個人としては12試合5ゴールと一定の成績を残したが[16]、チームとしては機能しておらず、J2降格。2015年6月9日、6月末日までの契約期間を前倒しして、セレッソ大阪との契約を打ち切った[17]

セレッソ退団後は、未所属の期間が続いたが、2016年2月に降格の危機にあるセカンドチームを助けたいという理由で、ドイツ3部に属するシュトゥットガルトのセカンドチームのシュトゥットガルトIIでプレー。同年10月に現役引退を発表した[18]

代表 編集

ブラジル生まれであるが、ブラジル代表に招集されることはなかった。1999年からのドイツ在住歴が8年を超え[19]、2009年2月にブラジルとの二重国籍という形でドイツ国籍を取得[20][21]。同年5月19日、ヨアヒム・レーヴ監督によってドイツ代表への招集が発表され[22]、5月29日の中国との親善試合(1-1)でマリオ・ゴメスとの交代で途中出場してドイツ代表初出場を果たした[23]。4日後のアラブ首長国連邦(UAE)戦(7-2)にはルーカス・ポドルスキに代わって後半開始から出場し、ハットトリック達成となったゴメスの得点をアシストした[24]。2010年5月13日、マルタとの親善試合(3-0)では代表初得点を含む2ゴールを挙げ[25]、クラブでの活躍などもあって2010 FIFAワールドカップに出場するドイツ代表メンバーに名を連ねた[26]。グループリーグ初戦のオーストラリア戦(4-0)に途中出場し、投入直後にホルガー・バトシュトゥバーのアシストから駄目押しとなる4点目を挙げた[27][28]。この試合の終盤には転倒がシミュレーションと判断されてイエローカードを受けた[29][30][31]。2戦目のセルビア戦(0-1)は70分にメスト・エジルに代わって途中出場し、3戦目のガーナ戦(1-0)は1トップで先発フル出場した。決勝トーナメント1回戦のイングランド戦(4-1)、準々決勝のアルゼンチン戦(4-0)、準決勝のスペイン戦(0-1)は出番がなかったが、3位決定戦のウルグアイ戦(3-2)には1トップとして先発出場して73分までプレーした。

UEFA EURO 2012予選では初戦のベルギー戦(アウェー、1-0)から第4戦のカザフスタン戦(アウェー、3-0)まで4試合連続で途中出場したが、予選中盤にはクラブでの不振から招集外となった。2011年8月には母国ブラジルとの親善試合に招集された[32]。すでに本大会出場を決めた後の予選最終戦・ベルギー戦(ホーム、3-1)で再び途中出場したが、予選では5試合出場(いずれも途中出場)無得点に終わった。2012年2月29日、フランスとの親善試合(1-2)でチーム唯一の得点を挙げ[33]UEFA EURO 2012本大会に向けてのドイツ代表暫定メンバー27人に選ばれたが[34]、5月28日に発表された23人の出場メンバーからは漏れた[35]

人物 編集

兄弟のヴラデミールもサッカー選手であり、パラナ・クルーベなどでプレーしている[36]

2009年初めにドイツ国籍を取得して以来、VfBシュトゥットガルトやドイツ代表ではヘルムート(Helmut)というニックネームで呼ばれている。シュトゥットガルトでチームメイトだったスイス代表リュドヴィク・マニャンが、ドイツ人としてのカカウは「ドイツ人らしい」名前を持つべきだとして名付けた[37]

カカウはクリスチャンである[38]

J1でさえフィジカルと戦術の面でブンデスリーガから3ではないにしても2クラス遅れているとKickerとのインタビューで語った[39]

個人成績 編集

国内大会個人成績
年度クラブ背番号リーグ リーグ戦 リーグ杯オープン杯 期間通算
出場得点 出場得点出場得点 出場得点
ドイツ リーグ戦 リーグ杯DFBポカール 期間通算
2000–01 テュルク・ギュジュ 9. ブンデス 31 7 - - 31 7
2001–02 ニュルンベルク 13 1. ブンデス 17 6 0 0 0 0 17 6
2002–03 27 2 2 0 0 0 29 2
2003–04 シュトゥットガルト 18 16 4 3 1 4 0 23 5
2004–05 32 12 3 2 8 7 43 21
2005–06 24 1 1 5 0 0 26 5
2006–07 32 13 6 5 0 0 38 18
2007–08 25 9 1 0 5 1 31 10
2008–09 25 7 1 1 6 0 32 8
2009–10 25 13 2 2 6 1 33 16
2010–11 27 8 2 2 7 1 36 11
2011–12 33 8 3 3 0 0 36 11
2012–13 5 1 2 0 4 0 11 1
2013–14 21 1 2 0 4 0 27 1
日本 リーグ戦 リーグ杯天皇杯 期間通算
2014 C大阪 33 J1 12 5 2 0 1 0 15 5
2015 18 J2 12 2 - - 12 2
ドイツ リーグ戦 リーグ杯DFBポカール 期間通算
2015–16 シュトゥットガルトⅡ 36 3. リーガ 9 3 - - 9 3
通算 ドイツ 1. ブンデス 309 85 28 21 44 10 381 205
ドイツ 3. リーガ 9 3 0 0 0 0 9 3
ドイツ 9. ブンデス 31 7 - - 31 7
日本 J1 12 5 2 0 1 0 15 5
日本 J2 12 2 - - 12 2
総通算 373 102 30 21 45 10 466 131

代表での得点 編集

# 日時 場所 相手 スコア 結果 大会
1. 2010年5月13日   アーヘン   マルタ 1–0 3–0 親善試合
2. 2010年5月13日   アーヘン   マルタ 2–0 3–0 親善試合
3. 2010年5月29日   ブダペスト   ハンガリー 3–0 3–0 親善試合
4. 2010年6月13日   ダーバン   オーストラリア 4–0 4–0 2010 FIFAワールドカップ
5. 2011年9月6日   グダニスク   ポーランド 2–2 2–2 親善試合
6. 2012年2月29日   ブレーメン   フランス 1–2 1–2 親善試合

タイトル 編集

クラブ 編集

VfBシュトゥットガルト

脚注 編集

  1. ^ "Ich will einfach nur spielen"” (German). Der Spiegel (2010年6月12日). 2010年6月17日閲覧。
  2. ^ Profil” (German). Cacau's official website. 2010年3月31日閲覧。
  3. ^ 18 Cacau” (German). VfB Stuttgart (2010年3月31日). 2010年3月31日閲覧。
  4. ^ Cacau” (German). Kicker. 2010年3月31日閲覧。
  5. ^ Player and corresponding CBF id”. CBF. 2010年3月31日閲覧。
  6. ^ 19 Cacau”. FIFA. 2010年6月13日閲覧。
  7. ^ Geschichte – Wie alles begann” (German). Cacau's official website. 2011年3月30日閲覧。
  8. ^ Geschichte – Schwierige Phase” (German). Cacau's official website. 2011年3月30日閲覧。
  9. ^ 絶好調カカウ、9部リーグから独代表のスタメン定着へ BIGLOBEニュース、2010年5月15日
  10. ^ FC Cologne 1–5 VfB Stuttgart”. ESPN (2010年2月20日). 2010年2月23日閲覧。
  11. ^ Cacau staying at VfB”. VfB Stuttgart (2010年5月1日). 2010年5月1日閲覧。
  12. ^ VfB Stuttgart 3–0 Schalke 04”. ESPN Soccernet (2011年8月6日). 2011年8月6日閲覧。
  13. ^ Tchau, salut und ade”. VfBシュトゥットガルト公式 (2014年5月3日). 2014年5月4日閲覧。
  14. ^ “C大阪 元独代表FWカカウ獲得へ 年俸3・4億円、救世主期待”. www.sponichi.co.jp. https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/08/06/kiji/K20140806008695970.html 2020年4月8日閲覧。 
  15. ^ カカウ選手と契約合意のお知らせ”. セレッソ大阪公式 (2014年8月11日). 2014年8月11日閲覧。
  16. ^ “カカウ”. data.j-league. https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=12172 2020年4月8日閲覧。 
  17. ^ カカウ選手との契約について”. セレッソ大阪公式 (2015年6月9日). 2015年6月9日閲覧。
  18. ^ 元C大阪カカウ引退「興味深いオファーがなかった」”. 日刊スポーツ (2016年10月11日). 2016年10月13日閲覧。
  19. ^ FIFA Status (2009 Edition): REGULATIONS GOVERNING THE APPLICATION OF THE STATUTES Article 17”. FIFA. 2009年8月24日閲覧。
  20. ^ Dual-Nationality for Cacau”. VfB Stuttgart (2009年2月3日). 2009年2月3日閲覧。
  21. ^ ブラジルからの帰化選手カカウ サウスアフリカ2010、2010年6月14日
  22. ^ Four newcomers for Asia-trip”. DFB (2009年5月19日). 2009年5月18日閲覧。
  23. ^ China trotzt dem DFB-Team” (German). Kicker (2009年5月29日). 2009年5月29日閲覧。
  24. ^ Gomez ist wieder da – Neuer überzeugt voll und ganz” (German). Kicker (2009年6月2日). 2009年7月17日閲覧。
  25. ^ ドイツ、カカウの活躍でマルタに勝利 uefa.com、2010年5月13日
  26. ^ 負傷者続出ドイツ、W杯メンバー決定 Goal.com、2010年6月2日
  27. ^ Lyon, Sam (2010年6月13日). “Germany 4–0 Australia”. BBC Sport. http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/world_cup_2010/matches/match_08/default.stm 2010年6月23日閲覧。 
  28. ^ ドイツ、オーストラリアに圧勝 Goal.com、2010年6月14日
  29. ^ Rage at the referees”. The Globe and Mail (2010年6月14日). 2010年6月28日閲覧。
  30. ^ “Germany vs Aust: As it happened”. TVNZ. Reuters. http://tvnz.co.nz/2010-fifa-world-cup-news/germany-vs-aust-happened-3585987 2010年10月18日閲覧。 
  31. ^ Fensom, Michael. “World Cup Matchday: Germany beats Australia, 4–0”. The Star-Ledger. 2010年10月18日閲覧。
  32. ^ Real Madrid's Mesut Ozil & Sami Khedira left out as Ilkay Gundogan included in Germany squad to face Brazil”. Goal.com (2011年8月4日). 2011年8月6日閲覧。
  33. ^ フランス、ドイツ下して無敗維持”. UEFA.com (2012年2月29日). 2012年6月12日閲覧。
  34. ^ レーブ監督、ドイツの暫定メンバーを発表”. UEFA.com (2012年5月7日). 2012年6月12日閲覧。
  35. ^ ドイツがEURO最終メンバーを発表”. UEFA.com (2012年5月28日). 2012年6月12日閲覧。
  36. ^ Wolfgang Frank testet Bundesligatauglichkeit von Cacaus Bruder” (German). SpVgg Unterhaching (2003年5月27日). 2009年5月12日閲覧。
  37. ^ Stuttgarts Stürmer Cacau wird bei der Nationalmannschaft Helmut genannt” (German). bild.de (2010年6月21日). 2010年8月14日閲覧。
  38. ^ Cacau: Football can set things in motion” (English). fifa.com (2013年12月2日). 2014年9月2日閲覧。
  39. ^ Cacau kickt bei Cerezo Osaka in Japans zweiter Liga”. web.archive.org (2014年12月4日). 2022年9月20日閲覧。

外部リンク 編集