キャッスルマン病(キャッスルマンびょう、: Castleman's disease)は、非常に稀なリンパ増殖性疾患である。

Castleman's disease, hyaline vascular type 病理組織像

1956年アメリカの病理医ベンジャミン・キャッスルマン英語版(Benjamin Castleman)医師が初めて原因不明の病気として報告したことから、キャッスルマン病と名付けられた。

概要 編集

病態である腫大したリンパ節からインターロイキンIL-6)というサイトカインが過剰に生成される。それらが健常な血球と結び付き、異常な免疫血球に変化。正常な細胞を攻撃することで生体内で様々な炎症を引き起こす。

日本では1500人程度しか患者が報告されていない。現在アクテムラなどの分子標的治療薬の有効性が認められている。

症状 編集

慢性的なリンパ節腫大。血液検査においては、CRP上昇、免疫グロブリン上昇などが顕著に見られる。 その他に貧血、発熱、食欲不振、体重減少、発疹などが報告されているが症状には個人差がある。

検査 編集

血液検査リンパ節の一部摘出による組織検査が主。

診断 編集

造血系の病理は病理部が担当しない大学が多く、血液内科での診察が主となる場合が多い。

症状が様々で個人差も大きいため、正確な診断や治療に至らず、診断までに数年を要するケースが目立つ。

  • 正常な血球が変化し、充分な栄養を運べなくなる為、体重が減少。栄養失調同様の状態となる。
  • アトピー性皮膚炎と同様の症状の発疹が出る。また、リンパ球浸潤性痒疹も出る。
  • 激しい寝汗で枕等がひどく濡れる症状もあり、血液検査結果やそれらの症状から白血病骨髄腫などと混同されることも多く、生体病理検査による鑑別が不可避である。

原因 編集

はっきりとした原因は現在特定されていない。

治療 編集

1つのリンパ節が腫れるHV/限局型と複数のリンパ節が腫れるPC・MCD/多発型に分けられ、前者の場合、その部位の切除で治療するとされる。後者の場合、現代医学で治療方法は解明されていないが、ステロイド系抗炎症薬免疫抑制剤を用いて、対症療法で症状を抑えていく。

治療薬として、治験後2008年にアクテムラが世界初の薬として中外製薬から発表されているが、その投与治療は副作用報告や使用成績調査が随時更新されている。

アクテムラ 編集

プレドニン 編集

合併症 など 編集

薬剤副作用による免疫力低下での肺炎など。詳しくは中外製薬アクテムラの公式ページを参照。

備考 編集

日本では2018年春より指定難病に追加される予定である[1]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ “キャッスルマン病、指定難病に 来春から助成へ 厚労省”. 産経新聞. (2017年11月13日). http://www.sankei.com/life/news/171113/lif1711130033-n1.html 2017年11月13日閲覧。 

外部リンク 編集