ケッパー: caper; 学名: Capparis spinosa)は、フウチョウボク科(かつてはフウチョウソウ科に分類された)の半蔓性の低木、またはこの植物のつぼみをピクルスにした食品。

ケッパー
ケッパーの木
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: アブラナ目 Brassicales
: フウチョウボク科 Capparaceae
: フウチョウボク属 Capparis
: トゲフウチョウボク C. spinosa
学名
Capparis spinosa L.[1]
和名
トゲフウチョウボク(棘風蝶木)
セイヨウフウチョウボク(西洋風蝶木)
英名
caper
ケッパーのピクルス

ケイパー、ケーパー、カープル(: câpre)とも呼ぶ。和名は、 トゲフウチョウボク(棘風蝶木)、セイヨウフウチョウボク(西洋風蝶木)。

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである[2]

特徴 編集

地中海沿岸からイラン高原アフガニスタン一帯に自生する常緑小低木。多年生の株を持ち、毎年多くの木質と草質の蔓を出す。葉は卵型の全葉であり、葉柄に2本の刺がある。花は単性でバラ色の4枚の花弁を持ち、3月から8月まで開花する。果実は卵形の漿果で稀にしかつかない。粘土質の丘陵地の岩場や壁面などに見られる。

フウチョウボクは地中海地方が起源だが、香辛料としてのケッパーの語源はペルシア語のکبر(kabar)、もしくはアラビア語のکبر(kabar)であり、後にギリシア語のkapparis、ラテン語のcapparisに転化したと言われている[3]。フランスの記録にケッパーが現れるのは15世紀頃からであり、16世紀の外科医アンブロワーズ・パレは食欲改善などのケッパーの薬効について著述している。人工栽培の試みが始まったのもこの頃のことである。現在の主な栽培地はフランスイタリアスペインなど。 

独特の風味と酸味を持つ。一般的に漬け、塩漬けにする[4]。 つぼみを開花よりもかなり早く収穫する。大きさや形で価値が変動し、丸く小さいものが商品価値が高いとされている。果実も収穫されつぼみと同様に酢漬けにされるが、多くは取れない貴重なものとしてつぼみより高い価値を持つ[5]

食用 編集

バター類に多く含まれるカプリン酸に由来する風味を持ち、料理の薬味サラダのつけ合わせに用いられ、特にスモークサーモンには、薄切りのタマネギとともに欠かせないものとされる。

刻んでバターと混ぜたものはモンペリエ・バターと呼ばれる。

フランス南東部・プロヴァンス地方においてはオリーブの実及びオイルにんにくアンチョビ等と共にタプナードとよばれるペーストの材料として使用される。

脚注 編集

  1. ^ Capparis spinosa in PlantList”. 2016年1月17日閲覧。
  2. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 503. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358522 
  3. ^ ギュイヨ 1987, pp. 156–158.
  4. ^ 「世界の食用植物文化図鑑」p191 バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント著 山本紀夫監訳 柊風舎 2010年1月20日第1刷
  5. ^ ギュイヨ 1987, p. 159.

参考文献 編集

  • リュシアン・ギュイヨ 著、池崎一郎、平山弓月、八木尚子 訳『香辛料の世界史』白水社、1987年。ISBN 4-560-05682-X 

外部リンク 編集