ザ・ポーグスThe Pogues)は、イギリスロックバンド。イギリス生まれのアイルランド人ボーカリスト、シェイン・マガウアン(Shane MacGowan)を中心にロンドンで結成された。ケルティック・パンクパンク・ロックケルト音楽の要素を持ち込んだ音楽)の代表的存在とされ、イギリスで人気の高いクリスマス・ソング「ニューヨークの夢(Fairytale of New York)」等のヒット曲で知られる。

ザ・ポーグス
The Pogues
ザ・ポーグス(2004年12月21日)
基本情報
別名 ポーグ・マホーン
出身地 イングランドの旗 イングランド ロンドン
ジャンル ケルティック・パンク
フォーク・パンク
活動期間 1982年 - 1996年
2001年 - 2014年
レーベル スティッフ・レコード
アイランド・レコード
Pogue Mahone Records
Chameleon
公式サイト pogues.com
旧メンバー シェイン・マガウアン
スパイダー・ステイシー
ジェム・ファイナー
ダリル・ハント
アンドリュー・ランケン
ジェイムズ・ファーンリー
テリー・ウッズ
ケイト・オーリアダン
フィル・シェヴロン
ジョー・ストラマー
デヴィッド・クルター
ジェイムズ・マクナリー
ジェイミー・クラーク
シェイン・マガウアン

来歴 編集

ポーグ・マホーン時代 編集

1982年に結成。当時はポーグ・マホーン(Pogue Mahone、ゲール語で「俺のケツにキスしろ」を意味する[1])というバンド名だった。1984年初頭、自主制作によるファースト・シングル「Dark Streets of London」を発表。しかし、バンド名がBBCで問題とされ、同局では夜8時から12時まで以外の時間帯は放送禁止となったため[2]、バンドはザ・ポーグス(The Pogues)と改名。また、1984年の夏にはザ・クラッシュのツアーをサポートした[1]

デビュー - 解散 編集

1984年にはデビュー・アルバム『赤い薔薇を僕に』発表、全英89位に達した[3]。その後、フィル・シェヴロン(ギター)が加入し、バンドは7人編成となる。1985年にはエルヴィス・コステロがプロデュースを担当したセカンド・アルバム『ラム酒、愛、そして鞭の響き』を発表、全英13位に達する[3]

ケイト・オーリアダンが脱退すると、後任としてダリル・ハントが加入。また、元スティーライ・スパンのテリー・ウッズ(マンドリン他)も加わって、ザ・ポーグスは8人編成となる。そして、1987年ザ・ダブリナーズThe Dubliners)との連名で発表したシングル「アイリッシュ・ローバー(The Irish Rover)」(トラッド・ソングのカヴァー)は、全英8位というヒットを記録[4]。更に、カースティー・マッコール(Kirsty MacColl)がゲスト参加したクリスマス・ソング「ニューヨークの夢」は、発売当時に全英2位を記録[5]2005年に再発シングルが発売されてからは、2006年2007年2008年2009年2010年2011年にもクリスマス・シーズンに全英チャートで上位に達するほどのスタンダード・ナンバーとなった[5]

1988年、サード・アルバム『堕ちた天使』発表。全英アルバム・チャートのトップ10入りを果たす(最高3位)[3]。続く『ピース&ラヴ』(1989年)も全英5位のヒット作となり[3]

1990年のアルバム『ヘルズ・ディッチ』は、元ザ・クラッシュジョー・ストラマーがプロデュースを担当。また、1990年公開のアキ・カウリスマキ監督のイギリスを舞台にした映画『コントラクト・キラー』ではジョー・ストラマーがパブで演奏をするギタリスト役で出演して、ザ・ポーグスから提供された2曲を歌った。

しかし、1991年にシェイン・マガウアンが脱退。シェインはその後、ザ・ポープス(The Popes)で活動する。ジョー・ストラマーが短期間バンドに加わった後、スパイダー・ステイシーがメイン・ボーカルを担当する形で『ウェイティング・フォー・ハーブ』(1993年)発表。しかし、今度はジェイムズ・ファーンリーとテリー・ウッズが相次いで脱退、フィル・シェヴロンが病気でリタイアする等のトラブルが続く。ザ・ポーグスは3人の新メンバーを迎え、前身バンドの名前をそのままタイトルにした『ポーグ・マホーン』(1995年)を発表するが、同作はセールス的には成功せず、1996年に解散。

再結成 編集

2001年、全盛期の8人によってザ・ポーグスが再結成され、ライブ活動を再開。2005年発売のCD2枚組コンピレーション・アルバム『アルティメイト・ベスト』には、2001年のライブ音源も収録されている。2005年に、フジ・ロック・フェスティバルに出演。

メンバー 編集

  • スパイダー・ステイシー (Spider Stacy) – ボーカル、ティン・ホイッスル (1982年–1996年、2001年–2014年)
  • ジェム・ファイナー (Jem Finer) – バンジョー、マンドリン、サクソフォーン、ハーディガーディ、ギター、ボーカル (1982年–1996年、2001年–2014年)
  • ジェイムズ・ファーンリー (James Fearnley) – アコーディオン、マンドリン、ピアノ、ギター (1982年–1993年、2001年–2014年)
  • シェイン・マガウアン (Shane MacGowan) – ボーカル、ギター、バンジョー、バウロン (1982年–1991年、2001年–2014年)※2023年没
  • アンドリュー・ランケン (Andrew Ranken) – ドラム、パーカッション、ハーモニカ、ボーカル (1982年–1996年、2001年–2014年)
  • ダリル・ハント (Darryl Hunt) – ベース (1986年–1996年、2001年–2014年)
  • テリー・ウッズ (Terry Woods) – マンドリン、シターン、コンサーティーナ、ギター、ボーカル (1986年–1993年、2001年–2014年)
  • ケイト・オーリアダン (Cait O'Riordan) – ベース、ボーカル (1982年–1986年、2004年)
  • フィル・シェヴロン (Philip Chevron) – ギター、ボーカル (1985年–1994年、2001年–2013年) ※2013年没
  • ジョー・ストラマー (Joe Strummer) – ボーカル、ギター (1991年–1992年、1987年にフィル・シェヴロンに代わって米国ツアーに参加している) ※2002年没
  • デヴィッド・クルター (Dave Coulter) – マンドリン、ヴァイオリン、ウクレレ、パーカッション (1993年–1996年)
  • ジェイムズ・マクナリー (James McNally) – アコーディオン、ホイッスル、パーカッション (1993年–1996年)
  • ジェイミー・クラーク (Jamie Clarke) – ギター、ボーカル (1994年–1996年)

ディスコグラフィ 編集

スタジオ・アルバム 編集

  • 『赤い薔薇を僕に』 - Red Roses for Me (1984年)
  • 『ラム酒、愛、そして鞭の響き』 - Rum Sodomy & the Lash (1985年)
  • 『堕ちた天使』 - If I Should Fall from Grace with God (1988年)
  • 『ピース&ラヴ』 - Peace and Love (1989年)
  • 『ヘルズ・ディッチ』 - Hell's Ditch (1990年)
  • 『ウェイティング・フォー・ハーブ』 - Waiting for Herb (1993年)
  • 『ポーグ・マホーン』 - Pogue Mahone (1996年)

ライブ・アルバム 編集

  • Streams of Whiskey: Live in Leysin, Switzerland 1991 (2002年)
  • The Ultimate Collection Including Live at the Brixton Academy 2001 (2005年)
  • The Pogues in Paris: 30th Anniversary Concert at the Olympia (2012年)
  • The Pogues Live with Joe Strummer 1991 (2013年)

コンピレーション・アルバム 編集

  • 『ザ・ベスト・オブ・ザ・ポーグス』 - The Best of The Pogues (1991年)
  • Essential Pogues (1991年)
  • 『ザ・レスト・オブ・ザ・ベスト』 - The Rest of The Best (1992年)
  • 『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ポーグス』 - The Very Best Of The Pogues (2001年)
  • 『アルティメイト・ベスト』 - The Ultimate Collection (2005年)
  • Dirty Old Town: The Platinum Collection (2005年)
  • Just Look Them Straight In The Eye and Say....POGUE MAHONE!! (2008年)
  • The Very Best of The Pogues (2013年)
  • 『30:30 エッセンシャル・コレクション』 - 30:30: The Essential Collection (2013年)
  • Pogues 30 (2013年)

シングル 編集

  • "Dark Streets of London" (1984年)
  • "Boys from the County Hell" (1984年)
  • "A Pair of Brown Eyes" (1985年)
  • "Sally MacLennane" (1985年)
  • "Dirty Old Town" (1985年)
  • "Poguetry in Motion" (1986年)
  • "Haunted" (1986年)
  • "The Irish Rover" (1987年) ※ザ・ダブリナーズとの連名
  • "Fairytale of New York" (1987年) ※カースティー・マッコールとの連名
  • "If I Should Fall from Grace with God" (1988年)
  • "Fiesta" (1988年)
  • "Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah" (1989年)
  • "Misty Morning, Albert Bridge" (1989年)
  • "Summer in Siam" (1990年)
  • "Jack's Heroes" (1990年) ※ザ・ダブリナーズとの連名
  • "Sunny Side of the Street" (1991年)
  • "Rainy Night in Soho" (1991年)
  • "Fairytale of New York" (1991年) ※再発
  • "Honky Tonk Women" (1992年) ※ローリング・ストーンズのカヴァー
  • "Tuesday Morning" (1993年)
  • "Once Upon a Time" (1993年)
  • "Fairytale of New York" (2005年) ※再々発

受賞歴 編集

参照 編集

脚注 編集

外部リンク 編集