ジキル&ハイド』(原題:Jekyll & Hyde)は、イギリスの作家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」(原題:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)をもとにしたブロードウェイミュージカルである。

概要 編集

レスリー・ブリカッス作詞脚本、フランク・ワイルドホーン作曲。

1990年5月にアメリカ、テキサス州ヒューストンのアリー劇場にて初演。その後7年の全米ツアーを経て1997年3月21日ブロードウェイ、プリマス劇場にてプレビュー公演が行われ、同年4月21日から2001年1月7日まで1543回上演。1997年度トニー賞の、最優秀ミュージカル脚本賞・最優秀ミュージカル主演男優賞・最優秀衣裳賞・最優秀照明賞部門にノミネートされた。

劇中のナンバー「時が来た(原題 This Is The Moment)」は、1992年のアルベールビル冬季オリンピックの公式テーマ曲にも選ばれている。

あらすじ 編集

19世紀後半のロンドン。若き医者であり科学者であるジキルは、老いて耄碌した父を元の父に戻したい一心で、人間の心に潜む善悪2つの別人格について研究をはじめた。完全な善意をもってすれば、完全なる悪意を消し去ることができるという持論の元、ジキルはある一つの薬を作り出す。

ジキルは有識者による理事会で、この薬を使った人体実験の承諾を得ようとする。ジキルの婚約者エマの父であるダンヴァース卿のとりなしもあったが、理事たちはこれを倫理に反し、神に対する冒涜であると却下。 失意のジキルを慰めようと、親友アターソンは夜の街へとジキルを連れ出す。そこで出会った娼婦ルーシーの心に触れてジキルはあるひらめきを得、彼女に何かあったときにはと名刺を渡して去った。

ある「ひらめき」。それは自らを実験台にすること。ジキルは薬を飲み、ジキルの悪意=ハイドが現れる。

薬によってジキルから変身したハイドは、夜な夜なルーシーの元に現れては強引に力尽くで屈服させるその一方で、侮辱した理事会のメンバーをその手にかけていく。

次第に薬なしでも現れるようになったハイド。ジキルは自分の記憶が曖昧になっていることと、連続殺人と、彼の元に現れたルーシーの怪我とを見て全てを察する。そしてジキルは全てを元にもとすべく実験室に篭った。親友と、彼を愛する婚約者の心配をよそに……。

主なミュージカルナンバー 編集

第1幕 編集

  • Lost in the Darkness-闇の中で / ジキル
  • Facade-嘘の仮面 / アンサンブル
  • Pursue the Truth-真実を追えば / ジキル&アターソン
  • Emma's Reasons-エマの言い分 / エマ
  • Take Me as I Am-ありのままの / ジキル&エマ
  • Letting Go-別れ / ダンヴァース&エマ
  • No One Knows Who I Am
  • (Good 'N' Evil)
  • bring On The Man-連れてきて / ルーシー
  • This Is the Moment-時が来た / ジキル
  • Alive-生きている / ハイド
  • Sympathy, Tenderness
  • Someone Like You-あんなひとが / ルーシー

第2幕 編集

  • Murder, Murder!-事件、事件 / アンサンブル
  • Once upon a Dream-あれは夢 / エマ
  • Obsession-狂気 / ジキル
  • In His Eyes-その目に / ルーシー&エマ
  • Dangerous Game-罪な遊戯 / ルーシー&ハイド
  • The Way Back
  • New Life-新たな生活 / ルーシー
  • Confrontation-対決 / ジキル&ハイド
  • Wedding Reception-結婚式 / エマ

主な海外公演 編集

  • オランダとベルギー/1997年9月26日 - 1998年1月10日
  • ドイツ/1999年2月19日 - 2001年6月30日
  • スペイン/2000年9月6日 - 2001年5月27日
  • オーストリア/2001年9月29日 - 2002年5月1日、2002年9月7日 - 2003年4月26日
  • オランダ/2002年8月10日 - 10月20日、2003年10月9日 - 2004年2月21日
  • ギリシャ/2002年12月13日 - 2003年3月7日
  • デンマーク/2003年4月10日 - 5月11日
  • 韓国/2004年7月24日 - 8月21日、12月24日 - 2005年2月14日、2006年1月21日 - 2月5日、6月24日 - 8月15日
  • スウェーデン/2007年11月9日 - 12月1日

日本公演 編集

公演記録 編集

  • 2001年
  • 2003年1月5日 - 31日 日生劇場
  • 2005年12月4日 - 28日 日生劇場
  • 2007年[2]
    • 4月5日 - 29日 日生劇場
    • 5月11日 - 13日 梅田芸術劇場 メインホール
    • 5月18日 - 27日 中日劇場
  • 2012年[3]
  • 2016年[4]
  • 2018年[5]
    • 3月3日 - 18日 東京国際フォーラムCホール
    • 3月24日・25日 愛知県芸術劇場 大ホール
    • 3月30日・4月1日 梅田芸術劇場メインホール
  • 2023年
    • 3月11日 - 28日 東京国際フォーラム ホールC
    • 4月8日・9日 愛知県芸術劇場 大ホール
    • 4月15日・16日 やまぎん県民ホール
    • 4月20日 - 23日 梅田芸術劇場 メインホール

配役 編集

  2001年 2003年 2005年 2007年 2012年 2016年 2018年 2023年
ヘンリー・ジキル
(エドワード・ハイド)
鹿賀丈史  石丸幹二  石丸幹二
柿澤勇人
ルーシー・ハリス マルシア マルシア[6]
香寿たつき
濱田めぐみ 笹本玲奈 笹本玲奈
真彩希帆
エマ・カルー 茂森あゆみ 知念里奈 鈴木蘭々 笹本玲奈 宮澤エマ Dream Ami
桜井玲香
アターソン 段田安則 池田成志 石川禅 戸井勝海 吉野圭吾 石川禅 田代万里生 石井一孝
上川一哉
ダンヴァース卿 浜畑賢吉 中嶋しゅう 今井清隆 福井貴一 栗原英雄

脚注 編集

  1. ^ 「ジキル&ハイド」のヘンリー・ジキルとエドワード・ハイドと「レ・ミゼラブル」のジャベールの役の演技に対して
  2. ^ 鹿賀丈史ファイナル!! 2007年『ジキル&ハイド』製作発表 : シアターフォーラム@nifty”. www.theater-forum.com. 2019年2月21日閲覧。
  3. ^ キャスト一新、ミュージカル『ジキル&ハイド』囲み会見&ゲネプロ | omoshii”. 演劇 & エンタメ系 WEBマガジン | omoshii - オモシィ. 2019年2月21日閲覧。
  4. ^ co.,ltd, NANO association. “最強のキャストで待望の再演。ミュージカル『ジキル&ハイド』2016年3月上演決定!”. エンタステージ. 2019年2月21日閲覧。
  5. ^ Inc, Natasha. “【会見レポート】「ジキル&ハイド」製作発表、石丸幹二「ハイドを演じるのが楽しい」”. ステージナタリー. 2019年2月21日閲覧。
  6. ^ 日生劇場公演のみ出演

外部リンク 編集