ジャガー・ランドローバー・インジニウムエンジン

インジニウムエンジンIngenium engine)は、インドタタ自動車の子会社である、イギリスジャガー・ランドローバーガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンの系列である。

概要 編集

ジャガー・ランドローバーが、フォード・モーターグループの高級車部門「プレミア・オートモーティブ・グループ」(PAG)から離脱したことに伴い、自社開発で完全新設計したエンジンである。

燃費・環境性能の大幅向上と高性能を両立させており、軽量化と高効率化を極限まで追求。ディーゼル微粒子除去装置(DPF)や尿素SCRシステムが採用され、「Euro 6」だけではなく日本のポスト新長期規制もクリアできるだけの排ガス性能を持つ。また、徹底的に内部摩擦を抑えるように設計され、振動抑制のためツイン・バランサーシャフトを採用している。また燃料噴射装置のインジェクターを切り離し、噴射ポンプのドライブ・スプロケットを0.5 mmの楕円形とすることで静粛性も向上している。この結果、163 PS仕様の燃費は75 mpg(約26.5 km/リットル)という驚異的な数値となった。

近年流行のコモンアーキテクチャーの思想も取り入れられている。1シリンダーあたり500 ccの基本構造をもとにガソリン・ディーゼル両種に対応可能なモジュラー設計となっており、直列3気筒直列4気筒直列5気筒直列6気筒に拡張可能である。

2015年にディーゼルが、2017年にガソリンが製造開始[1]。PAGグループ所属時代に搭載されていたフォードグループの「エコブースト」および「デュラトルク」エンジンは2015年以降、本機に置き換えられる[2]

バリエーション 編集

エンジン型式 総排気量
cc
ボア×ストローク
mm
最高出力
kW(PS)/rpm
最大トルク
Nm/rpm
販売期間 搭載モデル
AJ200
ガソリン
1,999 83x92.3 147(200) 320 2016- ジャガー・XE
ランドローバー・ディスカバリースポーツ
180(250)/5,500 365/1,200 - 4,500 2016– ジャガー・XE
ジャガー・XF
ジャガー・XJ
ジャガー・Eペイス
ジャガー・Fペイス
221(300)/1500 400/1500 2017- ジャガー・Fタイプ
ジャガー・Eペイス
ランドローバー・ディスカバリー
AJ300 2,996 400(294) 550 2019- レンジローバー・スポーツ
AJ200D
ディーゼル
1,999 110(150)/4,000 380/1,750 - 2,500 2015- ランドローバー・ディスカバリースポーツ
レンジローバー・イヴォーク
ジャガー・Eペイス
120(163)/4,000 380/1,750 - 2,500 2015- ジャガー・XE
ジャガー・Fペイス
ランドローバー・ディスカバリースポーツ
130(180)/4,000 430/1,750 - 2,500 2015- ジャガー・XE
ジャガー・Eペイス
ジャガー・Fペイス
レンジローバー・イヴォーク
レンジローバー・ヴェラール
180(240)/4,000 500/1,500 2015- ジャガー・XE
ジャガー・XF
ジャガー・Eペイス
ジャガー・Fペイス
ランドローバー・ディスカバリー
レンジローバー・ヴェラール

参考文献 編集

  1. ^ Jaguar Land Rover Japan Media Centre”. pr.jlrj.jp. 2019年11月28日閲覧。
  2. ^ ジャガー・ランドローバー、「インジニウム」4気筒ガソリンエンジンを新開発|【業界先取り】自動車ニュース2019国産車から輸入車まで【オートックワン】”. オートックワン. 2019年5月26日閲覧。