スメルシロシア語: СМЕРШ, ラテン文字転写: SMERSH)とは、第二次世界大戦独ソ戦の最中の1943年4月19日に設立されたスターリン直属の防諜部隊の通称である。

Main Directorate of Counter-Intelligence "SMERSH"
Главное управление контрразведки СМЕРШ
СМЕРШ
組織の概要
設立年月日1943年4月14日
継承前組織
解散年月日1946年5月4日[1][2]
種類Military counter-intelligence
管轄Soviet Union newly liberated and newly occupied territories (World War II)
本部所在地Lubyanka (4th and 6th floors) Moscow, Soviet Union
標語Death to Spies!
上位組織State Defense Committee
上位組織State Defense Committee
スメルシの身分証

概要 編集

創設者はヴィクトル・アバクーモフ。正式な訳語は国防人民委員部防諜部。任務は脱走兵、ドイツ側に寝返った赤軍兵士、前線における敗北主義者の摘発。ソビエト連邦督戦隊である。

名の由来は『スパイに死を』Смерть шпионамDeath to the spies)を意味するロシア語の略称である。ラテン文字表記の SMERSH を英語読みしてスメルシュとも表記される。1943年に内務人民委員部(NKVD)(ラヴレンチー・ベリヤ)から独立した国家保安人民委員部(NKGB)(フセヴォロド・メルクーロフ)の No.2 であるヴィクトル・アバクーモフが指揮する軍から独立した野戦政治警察部隊(督戦部隊)である。各方面軍に配置された。アバクーモフは副国防人民委員を兼任し、直接スターリンに報告する権限を有していた。

スメルシは、ベルリンの戦い総統地下壕におけるヒトラーの自殺を確認し、彼の遺体の一部や所持品をモスクワに持ち帰った。これらは現在もモスクワに保管されている。また1945年8月のソ連軍の対日参戦のときに先陣を切って、満州に侵攻した部隊でもある。

スメルシは、軍内の防諜に従事した外、ソ連の占領地における不穏分子の摘発にも従事した。特にアバクーモフの命令により、ブダペストにおいてスウェーデンの外交官、ラウル・ワレンバーグが逮捕された。

1946年5月、NKGBはソ連国家保安省 (MGB) に昇格し、スメルシもMGBに編入された。内務人民委員部内務省 (MVD) と改名される。

フィクション 編集

  • 007シリーズ
本シリーズ小説版では戦後も存続し、西側諸国と007に対して数々の謀略を展開するが、映画版では国際犯罪組織スペクターに差し替えられている。なお、007シリーズにKGB(1954年発足)の名前が登場するのは、映画『007 私を愛したスパイ』(1977年)からである。また、1967年の『007 カジノロワイヤル』にも同名の組織が登場するが、ソ連とは全く関係の無い架空の組織である。
第4巻「ラスト・ワルツ」収録『アジア・エクスプレス』に名前が登場。ただし、表記は「スメルシュ」である。

脚注 編集

文献 編集

  • 20世紀の人物シリーズ編集委員会(編)、『ヒトラー最後の真実 KGB 秘密調書』、光文社、2001年、ISBN 4-334-96113-4

関連項目 編集