ティアック株式会社(英語社名:TEAC Corporation)は、日本音響機器メーカー計測機器や計測システム、計算機周辺機器の製造販売も行っている。

ティアック株式会社
TEAC CORPORATION
本社が入るビル
本社が入るビル
種類 株式会社
市場情報
東証スタンダード 6803
1970年4月1日上場
本社所在地 日本の旗 日本
206-8530
東京都多摩市落合1-47
設立 1953年8月26日
(東京テレビ音響株式会社)
業種 電気機器
法人番号 7013401005312
事業内容 オーディオ機器、PC周辺機器事業
代表者 代表取締役社長 英 裕治
資本金 35億円
発行済株式総数 2893万1000株
売上高 連結:145億8,900万円
(2021年3月末日現在)
営業利益 連結:5億800万円
(2021年3月末日現在)
経常利益 連結:3億4,200万円
(2021年3月末日現在)
純利益 連結:3億100万円
(2021年3月末日現在)
純資産 連結:18億4,400万円
(2021年3月末日現在)
総資産 連結:96億5,100万円
(2021年3月末日現在)
従業員数 連結:599人、単体:238人
(2021年3月末日現在)
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主 Gibson Holdings, Inc.(54.65%)
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(2.57%)(2019年3月31日現在[1]
主要子会社 ティアック マニュファクチャリング ソリューション株式会社
エソテリック株式会社
ティアック カスタマー ソリューションズ株式会社
外部リンク ティアック株式会社
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デノン(旧・日本コロムビア)やマランツCMC(旧・日本マランツ)、ヤマハミュージックジャパンヤマハ)、ラックスマンアキュフェーズ等と同様、デジタルオーディオ勃興期、Hi-Fiオーディオ衰退期を生き延びた数少ない日本の音響メーカの一つである。TEACブランドの他、民生用高級音響ブランドとしてエソテリックEsoteric)、業務用音響ブランドとしてタスカムTascam)も使用する。

沿革

 
2340、4チャンネル・オープンリール・テープレコーダー
 
CRC 90分オーディオ・カセット
 
オー・カセ
 
オートリバースカセットデッキ R-540

1953年、東京テレビ音響株式会社として東京都武蔵野市に創立(1962年よりティアックオーディオ株式会社)。1956年、東京電気音響株式会社を姉妹会社として設立(1962年よりティアック株式会社)。1964年、ティアックオーディオ株式会社とティアック株式会社が合併、現在のティアック株式会社となる[2]。その後計測部門等を分社化して現在に至る。

民生音響機器製品としてはテープデッキ、殊に往年のオープンリールテープレコーダ(Aシリーズ、Xシリーズ)に人気があり、スピーカーで有名な英国タンノイの代理店にもなっている。かつてはマグネフロート式のターンテーブルも人気があった。総じて「ごつい」機器を作るブランドイメージがあり、高級据置型コンパクトカセットデッキ(Aシリーズ、Cシリーズ、Zシリーズ、R-9000、V-8000/7000シリーズ等)や据置型DATデッキ、高級CDプレーヤーなど重量級の機器を多く生んだ。現在でも超弩級セパレート型CD/SACDプレーヤーPシリーズで気を吐いている。さらには海外生産ではあるものの、国内メーカーで唯一ドルビーNR(Bタイプ)[3]、ハイポジション録音・再生対応[4]のカセットデッキを2015年頃まで、CDプレーヤー一体型の据置型MDレコーダーを2021年3月頃までそれぞれ販売していた。現在では単品コンポーネント用の据置型CDレコーダー[5]なども販売し続けている[6]

ミキシングコンソールマルチトラックレコーダ等業務用音響機器も広く手掛け、個人ベースでも購入可能な程度に安価なオープンリール式マルチトラックレコーダ、ミキサ一体型カセットマルチトラックレコーダや放送用デジタルマルチトラックレコーダDTRSを開発した。現在ではデジタルオーディオワークステーション(DAW)もラインナップしている。

計測分野では磁気記録技術を応用したデータレコーダで名を売り、後には計算機を応用した計測システムも手掛けるようになった。

1961年にはIBMと技術援助契約を結び、計算機用MT記録装置を国産化。また磁気記録技術の応用としてフロッピーディスクドライブ製造の大手となり、光を応用した映像記録媒体であるレーザーディスクプレーヤを、黎明期に硝子盤メディアを使用することで他社に先鞭を打って商品化するなど、その流れでCD、DVD等の光ディスクドライブ製造の大手ともなった。以前より音響映像機器分野でパイオニアとの関連が深かったが、2005年12月光ディスクドライブの開発・製造でも同社と提携する交渉が進められている。[7]翌年の3月にはノート用光学ドライブの共同開発を合意した。[8]

2007年12月1日には本社が武蔵野市から多摩市多摩ニュータウン)に移転した。2012年1月20日にはオンキヨー株式会社(現在の法人〈3代目法人〉とは別法人。後のオンキヨーホームエンターテイメント〈現在経営破綻済〉)と資本・業務提携を締結した。オンキヨーはティアック株式の10%を取得して第2位株主となり、ティアックもオンキヨー株式の9.42%を取得。オンキヨーは、ティアックに取締役1名を派遣する[9]。開発・販売・物流の各面で両社の連携を図り、コスト削減を進める見込みである[10]

2013年3月29日、世界的に有名なギターメーカーである米国ギブソン社と資本・業務提携契約を締結することで合意した旨発表。ギブソン社は株式公開買付けを行い、5月9日付でティアックを子会社化した[11][12]。一方オンキヨーは、2014年6月に保有株式10%のうち1%を残して売却した[13]

2020年6月25日、EVO FUND傘下のGlobal Acoustic Partners LLCが、株式公開買付けによりギブソン社から保有全株式を取得、同日付でEVO FUNDに取得した全株式が譲渡され、同ファンドが親会社となった[14][15][16]。しかしEVO FUNDは当該株式を市場で売却することを想定しており、売却により同年7月7日付で親会社でなくなり「その他の関係会社」となっている[17]

2022年7月20日、(かつてオンキヨー〈2代目〉やパイオニアと資本提携していた)ティアックが米国プレミアム・オーディオ・カンパニー社(PAC)と代理店契約を締結したことを発表[18]。その後、2022年10月以降を目途にオンキヨー、およびパイオニアの各種ブランドの(日本市場向け)ドルビーアトモス対応高級AVアンプが投入される予定であることが明らかとなった。このほか、2021年までオンキヨーホームエンターテイメント(旧・オンキヨー&パイオニア)から発売されていた一部のオンキヨーブランド・パイオニアブランド・インテグラブランド等の各種AV製品の修理等のサポートもティアックが担当することとなった。

代表的な製品

音響機器

  • 高級オーディオ
    • スーパーオーディオCDプレーヤー
    • スーパーオーディオCDトランスポート
    • D/Aコンバーター(USB-DAC機能付きを含む)
    • ユニバーサル・プレーヤー
    • ユニバーサル・トランスポート
    • アンプ
    • マスタークロックジェネレーター
    • アイソレーション・トランス
    • スピーカー
    • アナログターンテーブル
    • ケーブル
    • オーディオコネクタ
    • シンクロナス・ドライブ・システム
    • CDサウンド・アップグレーダー
    • オーディオファニチャー
    • ハイエンドアクセサリー
  • ホームオーディオ・AV
    • ハイコンポーネントシステム
    • コンパクトコンポーネントシステム
    • ホームシアターサウンドシステム
    • プリメインアンプ
    • CDプレーヤー
    • CDレシーバー
    • DVDプレーヤー
    • AM/FMチューナー
    • iPod用サウンドシステム
    • カセットデッキ
    • CDレコーダー
    • CDシステム
    • MDデッキ
    • ICレコーダー/リニアPCMレコーダー
    • ターンテーブル付CDシステム
    • AM/FMラジオ
    • スピーカー
    • ヘッドホン
    • アクセサリー
    • オーディオプログラムタイマー

放送・制作・業務用音響機器

コンピュータ周辺機器

光ドライブ事業については2014年にアルメディオに事業譲渡[19]

情報機器

計測機器

テストメディア

  • テストメディア

医用機器

インフライトエンターテインメント機器

日本国内主要拠点・子会社

  • 国内主要拠点
    • 本社事業所
    • EMCセンター
    • 大阪営業所
    • 名古屋営業所
  • 子会社
    • エソテリック株式会社
    • ティアックマニュファクチャリングソリューションズ株式会社
      • 本社、青梅事業所
    • ティアックオンキヨーソリューションズ株式会社
    • ティアックカスタマーソリューションズ株式会社

海外販売拠点・生産拠点

  • 海外販売拠点
    • TEAC AMERICA,INC.
    • TEAC EUROPE GmbH.
    • TEAC UK LTD.
    • TEAC SALES & TRADING (ShenZhen) CO., LTD
  • 海外生産拠点
    • TEAC AUDIO(CHINA)Co., LTD.
    • DONGGUAN TEAC ELECTRONICS Co., LTD.

注釈

  1. ^ 有価証券報告書
  2. ^ 東京電気音響株式会社の英語名である Tokyo Electro- Acoustic Company を由来とする「TEAC」は、1960年代に入った頃には製品のロゴとして使われていた。
  3. ^ 2015年10月現在の時点において、ドルビーNR(Bタイプ)が搭載された新品で購入可能な機種はAD-RW900(既に生産・販売終了)のみこれに該当していた。ただし2013年以降に開発・製造・発売された機種(例・W-890RMKII(既に生産・販売終了)、およびAD-RW950CC-222MKIV(TASCAMブランド、既に生産・販売終了)等)にはドルビーNR用の半導体の製造・供給の終了、および近年の一般ユーザーにおけるドルビーNRに対する認知度・使用頻度の低さなどの理由のためドルビーNRが搭載されなくなった。ただし、2018年3月より販売を開始した同社の現行機種のW-1200(片面(ワンウェイ)録音・再生ダブルカセットデッキ)では同社が独自に開発したドルビーBタイプNR、および日本ビクター(現・JVCケンウッド)が開発したANRSとほぼ互換性のある再生専用のカスタムノイズリダクションが搭載されている。
  4. ^ メタルテープは2001年12月までに全て生産完了、2007年12月までに流通在庫分の製品が全て販売完了したため、再生時のみ対応となる。
  5. ^ 2021年4月現在では一般用のCD-890MKⅡ(TEACブランド)、および業務用のCD-RW900MKⅡ/CD-RW901MKⅡ/SS-CDR250N(各TASCAMブランド)がこれに該当。
  6. ^ なお、2022年7月現在、日本の音響機器メーカーとしては唯一、同社だけが製造・販売している本格単品オーディオコンポーネント用アナログカセットデッキには一定の需要があり、価格競争もほぼ発生しないので販売を継続すればそこそこ一定の利益は出るものの、2020年代から全世界で発生している長期的なコロナ禍からもたらされた半導体の供給不足などによる電子部品の調達が困難となる場合はやむを得ず生産終了・完全撤退になる可能性も決して少なくない。
  7. ^ パイオニアとティアック、光ドライブ共同開発で提携か - ITmedia ニュース
  8. ^ ティアック、パイオニアとノート用光学ドライブの共同開発で合意
  9. ^ オンキヨーとティアックが資本業務提携 AV Watch(2012年1月20日)
  10. ^ オンキヨーとティアック、資本業務提携の進捗報告 AV Watch(2012年10月31日)
  11. ^ 梅咲恵司(東洋経済 記者) (2013年3月29日). “ギター名門ギブソンの“仰天”TOB会見―買収先のティアック社長とロックで競演―”. 東洋経済オンライン. http://toyokeizai.net/articles/-/13491 2013年3月30日閲覧。 
  12. ^ ギブソン・ホールディングス・インクによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ(2013年5月1日)
  13. ^ 主要株主の異動に関するお知らせ(2014年6月10日)
  14. ^ Global Acoustic Partners LLCによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ(2020年6月24日)
  15. ^ (訂正)「Global Acoustic Partners LLC による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動について」の一部訂正について(2020年7月6日)
  16. ^ 親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ(2020年7月6日)
  17. ^ 親会社及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ(2020年7月14日)
  18. ^ ティアック、米Premium Audio Company LLCと代理店契約を締結。Klipsch、JAMO、ONKYO、INTEGRA、PIONEERのホームAV製品を2022年秋より日本市場にて順次販売開始。 - ティアック 2022年7月20日(同日閲覧)
  19. ^ 事業譲渡に伴うURL移転のお知らせ

その他

  • 元々TEACはAVマニア向けのブランドであるせいか、広告等が出ることは全くなかったが、2015年に入ってからテレビCMの放映を開始した。
  • 2016年3月期決算から従来の日本基準に替えて国際会計基準(IFRS)を任意適用している。

関連項目

外部リンク