トップクォーク: top quark、記号:t)は、素粒子標準模型における第三世代のクォークである。

トップクォーク
トップクォークの関わる粒子衝突
組成 素粒子
粒子統計 フェルミ粒子
グループ クォーク
世代 第三世代
相互作用 強い相互作用
弱い相互作用
電磁相互作用
重力相互作用
反粒子 反トップクォーク(t)
理論化 小林誠益川敏英 (1973)
発見 CDFの共同実験 (1995)
記号 t
質量 172.0±2.2 GeV/c2[1]
平均寿命 5×10−25 s
崩壊粒子 ボトムクォーク (99.8%)
ストレンジクォーク (0.17%)
ダウンクォーク (0.007%)
電荷 +23 e
カラー 持つ
スピン 12
トップネス 1
弱アイソスピン LH: +12, RH: 0
弱超電荷 LH: +13, RH: +43
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概要 編集

トップクォークは、+2/3 の電荷を持ち、質量は170 GeV 前後と推定されている。他のクォークよりもはるかに大きく、原子とほぼ同じ質量である。また、ヒッグス粒子よりも重い。

1973年、小林誠益川敏英によって、K中間子CP対称性の破れを説明するために、第三世代の素粒子の存在が仮定された[2]。1977年、フェルミ国立加速器研究所E288実験によって、初めて第三世代に属するクォークであるボトムクォークが発見された。そこで、ボトムクォークと対になる同じ世代のクォークの存在が予測され、観測が期待された。そして、質量が非常に大きいため、存在が確実視されながらも観測できない状態が約20年が続いたのち、1994年に、トップクォークがフェルミ国立加速器研究所のCDF実験およびD0実験で発見された。この成果を受けて、小林誠と益川敏英は2008年にノーベル物理学賞を受賞した。

トップクォークは主に強い相互作用で他の粒子と相互作用するが、崩壊する場合は必ず弱い相互作用が関係し、ほぼ例外なく Wボソンボトムクォークに崩壊する。標準理論によればトップクォークの寿命は 1×10−25秒程度であり、強い相互作用が働く時間の 120 である。そのためトップクォークはハドロンを生成せずに崩壊することから、裸のクォークを観測するのに最も適している。

関連項目 編集

脚注 編集