ハナレイ・ベイ」は、村上春樹短編小説。「東京奇譚集」と題した連作短編小説の1篇として『新潮』2005年4月号に掲載、2005年9月刊行の短編小説集『東京奇譚集』(新潮社)に収録された。ハワイカウアイ島ハナレイ湾を舞台に、10年前のサーフィン中の事故で一人息子を失ったシングルマザーが希望を見出す姿を描く。2009年11月刊行の著者自選短編小説集『めくらやなぎと眠る女』(新潮社)にも収録されている。

ハナレイ・ベイ
作者 村上春樹
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
シリーズ 東京奇譚集
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出新潮』2005年4月号
刊本情報
収録東京奇譚集
出版元 新潮社
出版年月日 2005年9月16日[1]
シリーズ情報
前作 偶然の旅人
次作 どこであれそれが見つかりそうな場所で
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吉田羊主演で映画化され、2018年10月に公開された[2]

英訳 編集

タイトル Hanalei Bay
翻訳 ジェイ・ルービン
初出 ガーディアン』2006年4月15日号
収録書籍 Blind Willow, Sleeping Woman』(クノップフ社、2006年7月)

各国語の翻訳の詳細は「めくらやなぎと眠る女 (短編小説集)#翻訳」および「東京奇譚集#翻訳」を参照のこと。

あらすじ 編集

サチの息子は19歳のときに、カウアイ島のハナレイ湾でサーフィン中に鮫に右脚を食いちぎられて死んだ。サチはホノルルの日本領事館からその知らせを受け、ハワイへ飛んだ。現地で火葬を済ませ、一週間ハナレイの町に滞在した。それ以来サチは毎年息子の命日の少し前にハナレイを訪れ、三週間ばかり滞在するようになった。それを10年以上続けている。

ある日、リフエ空港の帰りにサチはヒッチハイクをしている日本人の若者二人を拾う。

6日後、サチがハナレイのレストランでピアノを弾いていると、ヒッチハイクの二人組がやってきた。彼らは片脚の日本人のサーファーを二度見かけたという。「ビーチから俺たちのことをじって見てました。ディック・ブリュワーの赤いサーフボードを持って」

日本に帰る前の夜、サチは泣きながら思った。どうしてあの二人のろくでもないサーファーには息子の姿が見えて、自分には見えないのだろう? それはどう考えても不公平ではないか?

その後、サチは六本木の地下鉄駅近くのスターバックスで二人組の一人と出会った。彼は小柄な顔立ちのいい女の子と一緒だった。若者は「彼女とのあいだをぐっと発展させるための」いいアドバイスをサチに求めた。サチは、「女の子とうまくやる方法は三つしかない。ひとつ、相手の話を黙って聞いてやること。ふたつ、着ている洋服をほめること。三つ、できるだけおいしいものを食べさせること」[注 1]と答える。

登場人物 編集

書誌情報 編集

  • 東京奇譚集新潮社、2005年9月16日。ISBN 978-4-10-353418-1 
  • めくらやなぎと眠る女』新潮社、2009年11月27日。ISBN 978-4-10-353424-2 

翻訳 編集

映画 編集

ハナレイ・ベイ
Hanalei Bay
監督 松永大司
脚本 松永大司
原作 村上春樹「ハナレイ・ベイ」
製作 小川真司
出演者 吉田羊
佐野玲於
村上虹郎
佐藤魁
栗原類
Cy Kalama
Leilani Kahoano
Adam Kenner
Tatsuya Nishizaki
音楽 半野喜弘
主題歌 藤木大地愛の喜びは -Plaisir d'Amour-
編集 松永大司
制作会社 ギークサイト
製作会社 「ハナレイ・ベイ」製作委員会
配給 HIGH BROW CINEMA
公開 2018年10月19日
上映時間 97分
製作国   日本
言語 日本語
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吉田羊主演で映画化され、 LDHのレーベル・HIGH BROW CINEMAの配給により2018年10月19日に公開された[2][4]。村上春樹作品の日本での映画化は2010年の『ノルウェイの森』以来8年ぶりとなる[5]PG12指定

撮影は2017年の8月から9月にハワイ日本にて行われた[5]

キャスト 編集

スタッフ 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 村上はかつてホームページの中で、読者からのメールに対しサチの言葉とほぼ同様のことを述べている[3]

出典 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集