ジェリー・"バッバ"・ワトソン英語: Gerry "Bubba"[1] Watson、別表記 ババ・ワトソンなど[2][3]1978年11月5日 - )はアメリカフロリダ州出身のプロゴルファーレフティ(左打ち)ゴルファーで、「飛ばし屋」でもある[4]。PGAツアー2年目の2007年は、ドライバーの平均飛距離が315.2ヤードでトップ、ボールの時速は194マイル(=約312キロ)にも達するなど記録を残し、ツアーメンバーの中でも350ヤード以上飛ばせる数少ないプレーヤーの一人である[5][6]

 バッバ・ワトソン 
Bubba Watson
基本情報
名前 バッバ・ワトソン
生年月日 (1978-11-05) 1978年11月5日(45歳)
身長 191cm
体重 82kg
出身地 フロリダ州バグダッド
経歴
プロ転向 2003年
現在のツアー LIVゴルフ
メジャー選手権最高成績
(優勝: 2)
マスターズ 優勝: 2012, 2014
PGA選手権 2位: 2010
全米オープン T5: 2007
全英オープン T23: 2012
成績
優勝回数 通算15勝
PGA:12勝、その他:3勝
世界ランク最高位 2位
2015年2月26日現在
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2012年4月のマスターズ・トーナメントではルイ・ウェストヘーゼンをプレーオフの末破り、メジャー初勝利をあげた。2013年はツアー未勝利に終わったが、2014年のマスターズでは新鋭ジョーダン・スピースらを退けて2度目の優勝を遂げ、世界ゴルフランキングで3位にランクインした。

生い立ちとアマチュア時代の経歴 編集

1978年、フロリダ州バグダッド生まれ。フロリダ州ミルトン高校のゴルフ部のメンバーであったが、この部には後のPGAツアーメンバーであるヒース・スローカムブー・ウィークリーらも在籍していた[7]。高校卒業後進学したアラバマ州フォークナー・ステート・コミュニティ・カレッジでは短大の全米代表としてプレイした。その後2000年と2001年はジョージア大学に在籍し、2000年にはジョージア大学のチーム「ジョージア・ブルドッグス」をサウスイースタン・カンファレンスの決勝戦まで導いた。

プロ経歴 編集

2003年にプロ転向し、2005年までの間はネイションワイドツアーに参加した。2005年のネイションワイドツアー賞金ランキングで21位になり、2006年からのPGAツアー出場権を獲得。ルーキーイヤーの獲得賞金総額は1,019,264ドルで賞金ランキングでは90位であったが、ドライバーの平均飛距離は319.6ヤードでトップであった。なお、ワトソンのPGAツアーでの最長飛距離は2010年ソニー・オープンで記録した416ヤードで、プロ転向後ではネイションワイドツアー時に422ヤードの記録がある。

2007年、オークモントカントリークラブで開催された全米オープンでは初日70打、2日目71打と好スタートを切ったが、首位と1打差、最終組でスタートした3日目と最終日4日目は74打とスコアを伸ばせず、最終順位は5位タイであった。

2010年6月、コネチカット州クロムウェルで開催されたトラベラーズ選手権でPGAツアーでの初勝利を飾った。コーリー・ペイビン、スコット・バープランクとのプレーオフを制したワトソンは、勝利した後妻アンジーと抱き合い涙を流して喜んだ[8]

2010年8月にウィスリングストレイツで開催された全米プロゴルフ選手権では、マルティン・カイマーにプレーオフの末敗れ、初メジャータイトルを逃した。なお同選手権では、最終ホールまで2位以下に1打差をつけて単独首位であったダスティン・ジョンソンが最終ホールにおいてバンカーでソール(クラブを地面に付けること)してペナルティを受け、優勝はおろかプレーオフ進出を逃す出来事があった。3ホール制のプレーオフで1ホール目はワトソンが、2ホール目はカイマーがバーディーで勝つイーブンの状態であったが、迎えた3ホール目でのワトソンの第2打がウォーター・ハザードに入り、結果カイマーがメジャー初勝利をあげた[9]

 
2011年プレジデンツカップに出場したワトソン。

2011年1月30日、ワトソンはファーマーズ・インシュランス・オープンフィル・ミケルソンに競り勝ち、PGA通算2勝目をあげた[10]。また2011年5月1日チューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオリンズでは2011年シーズンの2勝目、PGA通算では3勝目となる勝利をあげた[11]。このプレーオフでは、1ホール目は両者ともバーディーであったが、2ホール目にもバーディーを決めたワトソンがウェブ・シンプソンに競り勝った。

2011年7月、スポンサーとの契約の関係で出場したアルストム・オープン・ド・フランスでは、第1ラウンドの後欧州ツアーではもうプレイしないと示唆した上[12]、第2ラウンド後に大会の警備や運営体制に不満をもらしたことで批判を浴びた[13]

なお2011年1月のヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズでチャリティとして開催されたロング・ドライブ・コンテストに、ダスティン・ジョンソンやロバート・ガリガスらと共に参加している。結果は400ヤード以上飛ばしたジェイミー・サドルフスキーに次いで370ヤードを記録し、2位であった。

2012年、マスターズ・トーナメントにて、初日から69、71、70、68のスコア278(-10)で回ってルイ・ウェストヘーゼンとのプレーオフとなり、2ホール目でウェストヘーゼンを退け、ツアー4勝目をメジャートーナメント初優勝で飾った[14]

2014年4月13日、マスターズで最終日首位タイスタートして、5バーディ、2ボギーの69で廻り、通算8アンダーで2位グループに3打差をつけて2年ぶり2回目のマスターズ優勝を果たした。「1度目はラッキーで勝てたが、今回はしっかりと準備をした結果、勝つことができた。2度もグリーンジャケットを着られて本当に幸せに思う」とコメント。

2018年2月19日、米国男子ツアー「ジェネシス・オープン(旧ノーザン・トラスト・オープン)」を後続に2打差をつけて優勝、ツアー10勝目を決めた。

私生活 編集

ワトソンの妻アンジーは身長193cmの元バスケットボール選手である[15]。 また、ワトソンの父ジェリーは、2010年10月15日喉頭がんで他界している[16]

2011年、PGAツアーメンバーであるリッキー・ファウラーベン・クレインハンター・メイハンらと共にバンド「Golf Boys」を組み、楽曲「Oh Oh Oh」の動画がYouTube上に公開されている。ベン・クレインと保険会社ファーマーズ・インシュランス社のチャリティ活動の一環であり、ファーマーズ社は動画の閲覧数10万回毎に1000ドルを寄付する[17]

プロ勝利数 (15勝) 編集

PGAツアー勝利数 (12勝) 編集

Legend
Major championships (2)
World Golf Championships (2)
Other PGA Tour events (8)
No. 日付 トーナメント名 スコア 打差数 2位(タイ) 優勝賞金
1 2010年6月27日 トラベラーズ選手権 -14 (65-68-67-66=266) プレーオフ   コーリー・ペイビン  スコット・バープランク
2 2011年1月30日 ファーマーズ・インシュランス・オープン -16 (71-65-69-67=272) 1打差   フィル・ミケルソン
3 2011年5月1日 チューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオリンズ -15 (66-68-70-69=273) プレーオフ   ウェブ・シンプソン
4 2012年4月8日 マスターズ・トーナメント -10 (69-71-70-68=278) プレーオフ   ルイ・ウェストヘーゼン
5 2014年2月16日 ノーザン・トラスト・オープン -15 (70-71-64-64=269) 2打差   ダスティン・ジョンソン
6 2014年4月13日 マスターズ・トーナメント -8 (69-68-74-69=280) 3打差   ヨナス・ブリクスト   ジョーダン・スピース 1,620,000
7 2014年11月9日 HSBCチャンピオンズ −11 (71-67-69-70=277) プレーオフ   ティム・クラーク 1,400,000
8 2015年6月28日 トラベラーズ選手権 -16 (62-67-68-67=264) プレーオフ   ポール・ケーシー
9 2016年2月21日 ノーザン・トラスト・オープン (2) 269 1打差   ジェイソン・コクラック,   アダム・スコット 1,224,000
10 2018年2月18日 ジェネシス・オープン (3) -12 (68-70-65-69=272) 2打差   トニー・フィナウ,   ケビン・ナ 1,296,000
11 2018年3月25日 WGCマッチプレー 7 & 6   ケビン・キスナー 1,700,000
12 2018年6月24日 トラベラーズ選手権 -17 3打差   ポール・ケーシー
  スチュワート・シンク
  J.B.ホームズ
  Beau Hossler


PGAツアーでのプレーオフ記録(5勝1敗)

No. トーナメント 相手選手 結果
1 2010年 トラベラーズ選手権   コーリー・ペイビン
  スコット・バープランク
ペイビンは1ホール目にパーで脱落。
2ホール目、ボギーを叩いたバープランクに対しパーで勝利。
2 2010年 全米プロゴルフ選手権   マルティン・カイマー 3ホール制プレーオフでの通算打数でカイマーに敗北。
カイマー 4-2-5=11 (E)、ワトソン 3-3-6=12 (+1)
3 2011年 チューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオリンズ   ウェブ・シンプソン 2ホール目、パーでまわったシンプソンに対しワトソンがバーディーで勝利。
4 2012年 マスターズ・トーナメント   ルイ・ウェストヘーゼン 2ホール目、ボギーを叩いたウェストヘーゼンに対しワトソンがパーをセーブして勝利。
5 2014年 HSBCチャンピオンズ   ティム・クラーク 1ホール目、パーでまわったクラークに対しワトソンがバーディで勝利。
6 2015年 トラベラーズ選手権   ポール・ケーシー 2ホール目、パーでまわったケーシーに対しワトソンがバーディで勝利。

その他の勝利(3勝) 編集

4大メジャートーナメントの成績 編集

トーナメント 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
マスターズ - - - - T20 42 - T38 1 T50 1 T38 T37 予選落 T5
全米オープン 予選落 - - T5 予選落 T18 - T63 予選落 T32 予選落 予選落 T51 予選落
全英オープン - - - - - 予選落 予選落 T30 T23 T32 予選落 予選落 T39 T27
全米プロゴルフ選手権 - - - 予選落 70 予選落 2 T26 T11 予選落 T64 T21 T60 予選落

- = 不出場
T = タイ
背景黄色 = 10位内入賞
背景緑色 = 優勝

全米代表歴 編集

プロ

脚注 編集

  1. ^ Bubba:「たくましいやつ、でかい人などのニックネーム。」引用元:”bubba”の検索結果 英辞郎 on the WEB”. スペースアルク. 2011年8月12日閲覧。
  2. ^ テレビ朝日第111回全米オープンゴルフ 注目選手”. テレビ朝日. 2011年8月12日閲覧。での表記は「ババ・ワトソン」
  3. ^ 出場選手一覧 TBSテレビ:2011マスターズ”. TBSテレビ (2011年4月22日). 2011年8月12日閲覧。での表記は「バッバ・ワトソン」
  4. ^ バッバ・ワトソンスイング分析”. ゴルフダイジェストオンライン. 2011年8月12日閲覧。
  5. ^ 2007 PGA Tour Driving Distance”. PGA Tour. 2012年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年7月15日閲覧。
  6. ^ Long Drive Contest”. 2011年7月15日閲覧。
  7. ^ http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=ajOLZrS0eyac
  8. ^ 飛ばし屋ババ・ワトソン(米)が涙の初優勝<トラベラーズ選手権>”. パーゴルフ (2010年6月28日). 2011年8月12日閲覧。
  9. ^ M.カイマー優勝の陰でD.ジョンソンを襲った悲劇とは? ”. NIKIGOLF ONLINE  (2010年8月16日). 2011年8月12日閲覧。
  10. ^ Bubba Watson holds off Phil Mickelson”. ESPN. Associated Press (2011年1月30日). 2011年2月1日閲覧。
  11. ^ Watson claims his third PGA Tour title in New Orleans”. Sky Sports (2011年5月2日). 2011年5月2日閲覧。
  12. ^ Homesick Bubba Watson set to turn his back on European Tour
  13. ^ Bubba Watson criticises French Open crowd control
  14. ^ マスターズ、ブバ・ワトソンがメジャー初制覇 読売新聞 2012年4月9日閲覧
  15. ^ Watch out Katherine, there's a Tiger on your tail: Woods caught ogling Welsh beauty at the Ryder Cup opening ceremony
  16. ^ “Bubba Watson's father dies after battling throat cancer”. PGA Tour. (2010年10月15日). http://www.pgatour.com/2010/r/10/15/watson-father/index.html/ 
  17. ^ Golf Boys - Oh Oh Oh (Official Video)” (2011年6月13日). 2011年6月17日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集