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フィリピンの鉄道(フィリピンのてつどう)では、フィリピンにおける鉄道について記す。

概要 編集

 
2003年アロヨ元大統領が発表したSRTS計画に基づく路線図

フィリピンの鉄道は、19世紀終わりごろに英国資本によって首都マニラ近郊の路線が開業したのが始まりとされ、以後ルソン島ではマニラを中心に北はサンフェルナンドまで、南はレガスピまでの路線ができ、また支線もできたので約900kmの路線を有するまでになった。軌間は日本の在来線と同じ1067mmの狭軌が使われた。他にもネグロス島をはじめ、セブ島レイテ島パナイ島ミンドロ島ミンダナオ島に路線をもち、砂糖黍のための軽便鉄道の他、鉱山鉄道森林鉄道なども建設された。

しかし、太平洋戦争モータリーゼーションの発達によって鉄道は衰退、パナイ鉄道1983年に廃止されたことで中長距離の旅客輸送を行う鉄道はルソン島にある国鉄線のみとなった。

運行概況 編集

国鉄 編集

マニラからイロコス地方にのびる北方線と、マニラからビコール地方にのびる南方線があるが、1991年ピナトゥボ山噴火以降、北方線は全線運休となっている。現在、マニラ - ナガ間を結ぶ夜行列車のビコール・エクスプレスが1日1往復運行している他、マニラ近郊では通勤列車のメトロ・コミューターが1日18往復運行、ビコール地方では通勤列車のビコール・コミューターが運行している。

都市鉄道 編集

 
バクララン方面へ向かうLRT

首都マニラではODAで都市鉄道であるマニラ・ライトレール・トランジット・システムおよびマニラ・メトロレールが整備されるようになり、1984年に最初の路線が開業した。現在、LRT(Light Rail Transit・ライトレール)が1路線、MRT(Metro Rail Transit・ラピッド・トランジット)が2路線の3路線が運行している。いずれも設備としては近代的なもので、治安もマニラでは比較的良いという。こちらでは軌間は1435mmの標準軌が採用されており、また日本や韓国などで製造された新車が使われている。女性専用車もある。改札では簡単なセキュリティ・チェックがあり、構内での写真撮影は禁止されている。

建設中 編集

通勤鉄道 編集

南北通勤鉄道(NSCR)はルソン島を南北に縦断する148㎞の鉄道路線で[1][2][3]トゥトゥバンからマロロスの部分開業が2021年に見込まれており[4]、全線開通は2025年を予定している[5]

高速交通 編集

延伸 編集

 
Construction of Batasan station along Commonwealth Avenue, Quezon City as of August 2018.

新設 編集

計画 編集

高速交通 編集

自動案内軌条式旅客輸送(AGT)システム 編集

フィリピン科学技術省は国際設計・製造のAGTシステムの開発計画を開始している。 タギッグ市ビクタンのビクタンAGTシステムフィリピン大学ディリマン校のフィリピン大学ディリマン校AGTシステムなどが建設され研究・実証に利用された。

モノレール 編集

  • バギオモノレール[13][14]
  • Davao People Mover : ダバオ市は28kmのモノレール計画を運輸省(DOTr)とフィリピン国鉄(PNR)に対して承認している[15]
  • イロイロモノレール : 中国の比亜迪社がイロイロにモノレールを建設できるかどうかの2か月間の実現可能性調査を行っている。第1フェーズでは20㎞を考えており、2019年に事業に取り掛かることを目標としていた[16][17]
  • MRT-4号線英語版 : 2025年の事業開始を目指しているモノレール路線でマニラからリサール市までの間を結ぶ計画[18]

ライトレール 編集

  • LRT-6号線英語版[19] : カビテ市で提案されている高速都市鉄道で、LRT-1号線のバコールダスマリニャス英語版を結ぶ計画。ルートとなる予定のアギナルドハイウェイ沿いの建設スペースの問題から政府は無期限に先送りしているが、民間企業はバコール大通りとモリノ-パリパラン道路に沿うように線形を変更とマニラ首都圏南部の4つの支線を含む要求されてない検討案を提出している。
  • セブライトレール交通網英語版 : セブLRTはセブ都市圏統合型一貫輸送システムの一部であり、悪化するセブ都市圏の交通渋滞に対処する[20]。部分的な事業開始を2020年に見込んでおり、支線となるBRT(基幹バス輸送システム)を持つことを見込んでいる[21]カルカル英語版ダナオ英語版までの区間が考えられている[20]

ヘビーレール 編集

都市間鉄道 編集

  • PNR南部長距離計画 : 旧南方本線と支線のバタンガス市までの再建が考えられており、どちらも最初は標準軌で単線で無電化の運用を開始することを計画している。中国政府からの資金調達を考えており、2022年までに一部区間の事業開始を予定している[24]

貨物鉄道 編集

  • マニラ-ラグナ貨物輸送再開 : 運輸省はマニラ港湾地区からラグナ州までのコンテナ輸送の運用再開計画を発表した[27]。マニラ国際コンテナターミナルとマニラ北港からラグナ州カランバのラグナゲートウェイ内陸コンテナターミナルまでを鉄道で結ぶ路線を再生してコンテナ輸送を再開する[27]

註釈 編集

  1. ^ Project_Details - BUILD”. build.gov.ph. 2019年4月27日閲覧。
  2. ^ Project Details - Build”. Build.gov.ph (2018年6月1日). 2020年1月9日閲覧。
  3. ^ Project Details - Build”. Build.gov.ph (2018年6月1日). 2020年1月9日閲覧。
  4. ^ You are being redirected...”. www.ptvnews.ph. 2019年5月10日閲覧。
  5. ^ Bank, Asian Development (2019年7月10日). “Malolos–Clark Railway Project: North-South Commuter Railway, PNR Clark - Phase 2” (英語). Asian Development Bank. 2019年11月7日閲覧。
  6. ^ “DESPITE DELAYS: Tugade says LRT1 Cavite extension to be completed in 2021” (英語). GMA News Online. http://www.gmanetwork.com/news/money/companies/659246/tugade-says-lrt1-cavite-extension-to-be-completed-in-2021/story/ 2018年7月8日閲覧。 
  7. ^ Villafuerte, Din M.. “The ongoing infrastructure projects make Southern Metro investments ideal” (英語). business.inquirer.net. 2020年4月3日閲覧。
  8. ^ LRT-2 extension 77% complete”. www.bworldonline.com. 2020年4月3日閲覧。
  9. ^ News, ABS-CBN. “LOOK: Gov't to build 3 more LRT-2 stations” (英語). ABS-CBN News. 2020年4月3日閲覧。
  10. ^ LOOK: LRT2 to add more stations in Tutuban, Divisoria and Pier 4” (英語). GMA News Online. 2020年4月3日閲覧。
  11. ^ Camus, Miguel R.. “MRT 7 now over 50% complete” (英語). business.inquirer.net. 2020年4月3日閲覧。
  12. ^ http://www.investphilippines.info/arangkada/wp-content/uploads/2018/06/2-DOTR.pdf
  13. ^ “P1.4 billion to build Baguio-La Trinidad monorail”. Manila Standard Today. http://manilastandardtoday.com/news/-provinces/180524/p1-4-billion-to-build-baguio-la-trinidad-monorail.html 
  14. ^ Polonio, Jessa Mardy. “Monorail to ease traffic in Baguio City study”. Rappler. http://www.rappler.com/business/industries/208-infrastructure/96673-monorail-baguio-city-traffic 
  15. ^ Perez, Ace June Rell S. (2015年10月21日). “Davao City endorses monorail project”. Sun Star. http://www.sunstar.com.ph/davao/business/2015/10/21/davao-city-endorses-monorail-project-437144 2015年10月21日閲覧。 
  16. ^ “Buffett-Backed BYD Wins First Overseas Contract for Monorail” (英語). Bloomberg.com. https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-08-23/buffett-backed-byd-wins-first-overseas-contract-for-monorail 2018年6月22日閲覧。 
  17. ^ “Chinese firm conducts Iloilo monorail study” (英語). Manila Bulletin News. http://news.mb.com.ph/2017/08/23/chinese-firm-conducts-iloilo-monorail-study/ 2018年6月22日閲覧。 
  18. ^ MRT-4 project gets final approval” (英語). cnn. 2020年4月8日閲覧。
  19. ^ Modified Light Rail Transit (LRT)-6 Project (formerly LRT 6 Cavite Line A) | PPP CenterPPP Center” (英語). 2020年4月8日閲覧。
  20. ^ a b bw_mark. “Cebu LRT-BRT common stations priority to be up by 2020 | BusinessWorld” (英語). 2018年12月13日閲覧。
  21. ^ Osmeña, Rico. “Cebu MRT, BRT rolling 2020” (英語). Daily Tribune. 2018年12月13日閲覧。
  22. ^ a b c “IRC gets original proponent status for Makati subway”. Manila Standard. (2018年6月20日). http://www.thestandard.com.ph/business/transport-tourism/268540/irc-gets-original-proponent-status-for-makati-subway.html 2018年6月22日閲覧。 
  23. ^ IRC gains traction in $3.7-billion Makati rail project | Philstar.com”. philstar.com. 2018年6月22日閲覧。
  24. ^ Camus, Miguel R.. “Gov’t to award Bicol rail project in 4th quarter” (英語). business.inquirer.net. 2020年4月8日閲覧。
  25. ^ Build Build Build Presentation”. Build Build Build (2017年5月20日). 2017年7月14日閲覧。
  26. ^ Project_Details - BUILD”. www.build.gov.ph. 2020年4月8日閲覧。
  27. ^ a b “DOTr to revive Manila-Laguna cargo rail project” (英語). Manila Standard. http://manilastandard.net/business/transport-tourism/277153/dotr-to-revive-manila-laguna-cargo-rail-project.html 2018年10月12日閲覧。 

関連項目 編集