フェラーリ・812スーパーファスト

812スーパーファスト、(Ferrari 812 Superfast)は、イタリアの高級自動車メーカーフェラーリが製造、販売するV12エンジンFR二人乗りスポーツカーである。

812スーパーファスト
フロント
リア
インテリア
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
販売期間 2017年 - 2022年
デザイン フェラーリスタイリングセンター
ボディ
乗車定員 2
ボディタイプ クーペ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン V型12気筒DOHC自然吸気6,496cc
最高出力 588kW(800PS)/8,500rpm
最大トルク 718Nm(73.2kg-m)/7,000rpm
変速機 7速DCT
車両寸法
全長 4,657mm
全幅 1,971mm
全高 1,276mm
車両重量 1,525kg
系譜
先代 F12ベルリネッタ
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概要 編集

2017年3月に開催されたジュネーブショーで披露され、F12ベルリネッタF12tdfの後継にあたり、車名の812は、800PS V型12気筒を意味する。最高出力の800PSはフェラーリ史上もっともパワフルな公道走行用エンジンであり、スーパーファストは1964年の500スーパーファストのサブネームを復活させたものである[1]

スタイリング 編集

デザインはフェラーリスタイリングセンターが担当し、ロングノーズ&ハイテールのリアは往年の名車「365GTB/4」を想起させるデザインとなっている[2][3]。ヘッドライトはフルLED、テールランプはGTC4ルッソに続き、丸型4灯テールライトが採用された。

2017年はフェラーリ創業70周年を迎えることから、812スーパーファストには70周年を記念した特別色、Rosso Settanta anni(ロッソ・セッタンタ・アンニ)[4]、とMatte Warm Grey(マットウォームグレイ)が用意された。

メカニズム 編集

エンジンは6,496ccV型12気筒自然吸気エンジンをフロントに積み、トランスアクスル方式を採用し、7速デュアルクラッチを介しリアタイヤを駆動する。F12ベルリネッタの6,262ccよりも234cc拡大され、出力は800PS/8,500rpm、トルクは73.2kg-m/7,000rpmを発生する。これは780PSのF12TdFを凌ぐ。フェラーリ初の電動パワーステアリングを採用。

また、F12tdfに採用された四輪操舵システムをさらに進化させ、812スーパーファストにも採用。フェラーリはこれを「バーチャル・ショートホイールベース2.0システム」と称している。これらはフェラーリの挙動制御システムである、サイドスリップコントロールと連動させるものとみられる。

812GTS 編集

2019年9月、812スーパーファストのオープンモデルとなる「812GTS」が発表された。812GTSは1969年の「365 GTS4」以来、フェラーリとして50年ぶりのフロントV12レイアウトのスパイダー[5]であり、14秒でオープン/クローズ、最大で45km/hの速度でも開閉可能なリトラクタブルハードトップ仕様で、シート後方のロールフープはルーフを閉じるとトンネルバック形状になるようデザイン処理されている。最高出力は812スーパーファストと同じ800馬力で、0-100km/hの加速は3.0秒、0-200km/hの加速は8.3秒、最高速度は340km/h以上[6]と公表されている。

812 コンペティツィオーネ/コンペティツィオーネA 編集

フェラーリ・812コンペティツィオーネ
 
 
概要
製造国   イタリア
販売期間 2022年 -
ボディ
乗車定員 2
ボディタイプ クーペ / アペルタ
エンジン位置 フロントミッドシップ
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 6.5L 自然吸気V型12気筒
最高出力 830PS/9,250rpm
最大トルク 692Nm/7,000rpm
変速機 7速DCT
車両寸法
ホイールベース 2,720mm
全長 4,966mm
全幅 1,971mm
全高 1,276mm
車両重量 1,487kg
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812コンペティツィオーネFerrari 812 Competizione)は、2021年5月に発表された812スーパーファストの限定生産モデル。オープンモデルはコンペティツィオーネAと呼ばれ、Aはアペルタの略称。クーペモデルが999台、アペルタが599台限定で生産される。価格は、クーペが6813万円〜、アペルタが7898万円〜でどちらも既に完売している。

エンジンはベースとなった812スーパーファストと同じV12エンジンだが、専用チューンされており、最高出力が830PS、エンジン最高回転数は9,500rpmとフェラーリ史上最高の数値となった。このV12エンジンは、コンロッドやピストン、クランクシャフト、バルブトレインなど、エンジンの主要コンポーネントが細部まで再設計されている。たとえば、チタン製コンロッドはスチール製より40%軽量でありながら、機械抵抗は同じとした。一方、ピストンには、「ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)」コーティングを施し、摩擦係数を低減して、パフォーマンスや燃費の向上を追求する。クランクシャフトはバランス取りを行い、ベース車両よりも3%軽量化されている。[7]

エクステリアは、エアロダイナミクスの追求によって大きく変更されており、特にボルテックスジェネレーターを装着した新設計のアルミ製リアスクリーンは特許を取得している。[8]また、812コンペティツィオーネには、フェラーリ初となるカーボンホイールや同車専用設計のハイグリップタイヤ「ミシュラン・カップ2R」なども用意されている。[9]

オモロガータ 編集

 
フロントビュー
 
リアビュー

2020年9月25日に発表されたワンオフモデル。往年のGTレーシングカーをオマージュしたモデルであり、欧州の顧客のオーダーで製造された。ベースは812スーパーファスト。車名の「オモロガータ」は「ホモロゲーション取得済み」を意味する。ドアの後方では、力強い膨らみがすっきりと上方のリアスリークォーターパネルに溶け込んでおり、リアのクォーターウインドウを取り払ったことで、リア全体のボリュームが増している。ファストバックからせり上がるようなリアスポイラーは、ダウンフォースだけではなくアグレッシブ性も高めるものとなっている。また、シングルのテールランプは、狭くレイアウトされている。ボディカラーはこのモデル専用に開発された3層のロッソ・マグマが採用されている。内装はブラックが基調となっており、エレクトリックブルーのシートは、レザーと「Jeans Aunde」と呼ばれるファブリックを組み合わせたものが使用された。パワートレインはベースの812と同じ6.5L V12自然吸気エンジンを搭載する。[10]

SP51 編集

2022年9月28日に発表されたワンオフモデルで、台湾の顧客がオーダーして製造される。812GTSがベースで、GTSと同じオープンモデルだが、ルーフが存在していない。ボディやヘッドライトのほか、ホイールもオリジナルで、ボディカラーは新色の「ロッソ・パッショナーレ」。ボディ中央には1955年式410Sをオマージュした青と白のセンターラインが入っている。インテリアはボディと同じロッソ・パッショナーレに青と白のストライプが入っている。パワートレインは812GTSと同じV12自然吸気エンジンを搭載する。[11]

日本への導入 編集

2017年5月23日に日本で初公開された[12]

ギャラリー 編集

出典 編集

  1. ^ 500スーパーファスト
  2. ^ 【ジュネーブショー2017】フェラーリ、812スーパーファストを発表Web CG
  3. ^ ジュネーブショーでワールドプレミア 812スーパーファストFerrari.com
  4. ^ イタリア語でロッソは赤、セッタンタ・アンニは70周年の意。
  5. ^ サラウンド・サウンド”. magazine.ferrari.com. 2020年1月1日閲覧。
  6. ^ フェラーリ「812GTS」を発表!V12エンジンでリトラクタブルハードトップ採用の初のモデルに。”. Idea Web Tools | 自動車とテクノロジーのニュースブログ. 2020年1月1日閲覧。
  7. ^ https://response.jp/article/2022/06/23/358929.html
  8. ^ https://response.jp/article/2022/06/23/358929.html
  9. ^ https://www.webcg.net/articles/-/45427
  10. ^ https://response.jp/article/2020/09/28/338819.html
  11. ^ https://response.jp/article/2022/09/30/362355.html
  12. ^ 800psの「フェラーリ812スーパーファスト」が日本上陸web CG

関連項目 編集

外部リンク 編集