フセイン

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フセイン(アラビア語:حسين, ḤuseynもしくはḤusein)は、アラビア語の名詞・形容詞であり人名(男性名)としても用いられているフサインحسين, ḤusaynもしくはḤusain)の口語アラビア語発音。アラブ人に限らず各国イスラム教徒の男性名として用いられている。

預言者ムハンマドの孫でもある(アル=)フサイン・イブン・アリーの名前でもあることからイスラム共同体全体で好まれる人名となっているが、カルバラーの戦いにおける悲劇で死去したシーア派の第3代イマームということで特にシーア派信徒の間で割合が高い。

ラテン文字等による当て字はHuseyn、Husein、Hussein, Hüseyinなどがある。

概要 編集

意味 編集

「フサイン」(アラビア語:حُسَيْن, 文語アラビア語発音:ḥusaynないしはḥusain)とは、「佳い、善い」「美しい」「佳人、美男」を意味する「ハサン(アラビア語:حسن, ḥasan)」[1]縮小形にあたり、「小さな佳人、小さな美男」を意味[2]する。

文語アラビア語ではフサインと発音されるが、口語アラビア語発音はフセインが多くフセーン、フスィエンなどと発音されることもある。さらにこれが口語的な発音ないしては非アラビア語的な発音になったものがホセイン、ホセーンなどである。

アラブ世界では、しばしばハサンの弟がフサインと命名され、第四代正統カリフ・初代シーア派イマームアリーの息子たちも兄がハサン(アル=ハサン)、弟がフサイン(アル=フサイン)と名付けられた形となっている。

双数形 編集

この男性名に関連した双数形としてはハサナイン(アラビア語: حسنين, 文語アラビア語発音:ḤasanaynないしはḤasanain(ハサナイン), 口語アラビア語発音1:ḤasaneynないしはḤasanein(ハサネイン), 口語アラビア語発音2:Ḥasanen(ハサネーン))がある。これがハサン2人を表すこともあるが、基本的には似た2つの人名を片方でまとめるという双数形のタグリーブ(تَغْلِيب, taghlīb)用法により「ハサンとフサイン」を意図しているのが一般的[2]である。

具体的には第4代正統カリフで初代シーア派イマームアリーと預言者ムハンマドの娘ファーティマの間に生まれたシーア派第2代イマーム(アル=)ハサン・イブン・アリーと第3代イマーム(アル=)フサイン・イブン・アリーの外孫二兄弟(اَلسِّبْطَانِ, al-sibṭān, アッ=スィブターン[3])を指し、彼らに対する崇敬から男性名としてもしばしば用いられている。

アラビア語以外での発音 編集

現代ペルシア語では「ホセイン」hosein、トルコ語では「フュセイン」 Hüseyin などと発音される。

関連語 編集

これにニスバ語尾を付加して形容詞化・名詞化したものがフサイニー(アラビア語:حسينيّ, ḤusaynīもしくはḤusainī, 「フサインの、フサインに関連した(者)」の意)である。人名としては家名・名字に相当する出自表示を行うラストネーム部分に用いられ、主にシーア派の第3代イマーム(アル=)フサイン・イブン・アリーの末裔であることを示す。

口語アラビア語発音はフセイニー、フセーニー、ホセイニー、ホセーニーなど。ラテン文字表記で便宜上Husseini等を実際の発音と一致しない「ss」という当て字が多用されることから、フッセイニ、ホッセイニなどとカタカナ表記されることも少なくない。

名前 編集

ヨルダン国王以外のフセイン1世についてはフサイン1世を参照のこと。

父称、姓 編集

その他 編集

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ المعاني : معاني الأسماء - حسن”. 2024年3月31日閲覧。
  2. ^ a b المعاني : معاني الأسماء - حسين”. 2024年3月31日閲覧。
  3. ^ الحسن والحسين سبطا رسول الله صلى الله عليه وسلم وريحانتاه” (アラビア語). www.islamweb.net. 2023年10月26日閲覧。
  4. ^ Saddam's Word - The Political Discourse in Iraq. Oxford University Press. (1998). p. 188