フードポルノ

料理店などの料理や食事風景を魅力的に表現し、視聴者の感覚を刺激する絵・写真・動画など

フードポルノ (food porn) とは、料理店などで料理や食事風景を魅力的に写し、視聴者の感覚を刺激する写真動画などを指す。

つやつやと形を整えた肉詰めピーマン

概要 編集

欧米では、広告インフォマーシャル、調理実演、その他の視覚メディアでの、調理や食事における魅惑的で豪勢な視覚表現のことを指す[1]。料理は豊かな栄養カロリーがあるよう強調され[2]、その皿も食欲を掻き立てたりセックスの代用として食べ物を賛美するような異国風のものが使われる[3]。フードポルノはしばしばフードフォトグラフィーという形をとり、それはお色気写真 (glamour photography) やポルノ写真と同じようなやり方で食べ物を刺激的に提示する。

この用語はフェミニストの批評家ロザリンド・カワード (Rosalind Coward) の著書『女の欲望』(1984年)での造語のようであり、そこにはこうある。

料理してそれを美しく提示することは隷従の行いである。それは贈り物を通じて愛情を表現する一つの手段である。我々が完璧に仕上げられ提示された料理を作ろうと熱望するのは、他者への奉仕に快く楽しんで参加することの象徴である。フードポルノは、調理という点に関して、そうした意味をまさに含んでいる。そこで使われる画像はいつも料理の作成過程を隠している。それらは常に美しくライトを当てられ、しばしば手を加えられる。(p.103)

アメリカでは「食品業者が、高脂肪かつ動脈硬化のリスクが高いことを謳ったご馳走を売り込むことで低カロリーダイエット食への反発を強調する」場合にフードポルノという言葉は使われる[2]。この使い方を始めたのは公益科学センターであり、そこは1998年からその「栄養活動健康通信」において「正しい材料 vs フードポルノ」という連載コラムを掲載している[4][5]

イギリスでは、この用語は料理番組「Two Fat Ladies」によって1990年代に普及した。これは、出演者のペアが大量のバタークリームを使って「ポルノ的愉しみ」を飲食していると番組プロデューサーが評してからのことである[6]

関連文献 編集

脚注 編集

  1. ^ Probyn, Elspeth (1999). “Beyond Food/Sex: Eating and an Ethics of Existence”. Theory, Culture & Society 16 (2): 215–228. doi:10.1177/02632769922050485. 
  2. ^ a b Davis, Simon (2000年5月10日). “Unhealthy eating is new fad in US”. The Telegraph. オリジナルの2000年5月12日時点におけるアーカイブ。. http://www.greenspun.com/bboard/q-and-a-fetch-msg.tcl?msg_id=0038mb 2008年4月4日閲覧。 
  3. ^ Bourdain, Anthony (2001年11月4日). “Food Porn: Lust for the gastronomic – from Zola to cookbooks – is nothing new, but maybe it's time to shelve it”. San Francisco Chronicle. http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/chronicle/archive/2001/11/04/RV201066.DTL 2008年4月4日閲覧。 
  4. ^ 1998 Index”. Center for Science in the Public Interest. 2009年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月8日閲覧。
  5. ^ April '98 Right Stuff vs. Food Porn”. Center for Science in the Public Interest. 2008年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月8日閲覧。
  6. ^ Ben Viveur: Pornographic Joy”. Ben Viveur. 2014年8月8日閲覧。

関連項目 編集