ペリプルスラテン語Periplus, ペリプルス)とは、船舶による島・大陸・世界などを周る旅、およびそれを記録した本のこと[1]。つまり、周航記航海記。語源はギリシャ語περίπλους periplousπερί [peri, 周囲] + πλέω [pleō, 航海する] ) で、意味は「船で回る」。

ペリプルスは元々、港や沿岸の陸標を、おおよその距離とともに、リスト化した手書きの記録だった。ローマ時代の道程記(Itinerarium)と同じで、船の船長はそれを頼りに海岸沿いを航行した[2]。ギリシアの航海者たちはそこにさまざまな情報を付け加えた。もしその人が専門の地理学者であったならば(多くがそうだったが)、そこにはそれぞれの場所の地理の情報が書き加えられた。その意味では、ペリプルスは一種の航海日誌といえる。

ペリプルスのもっとも古いものは、ギリシアの歴史家ミレトスのヘカタイオスの本『Ges Periodos(地球を回る旅、世界概観)』で、ヘロドトストゥキディデスの著作も複数のペリプルスに基づいたように見える箇所を含んでいる[3]

現存するペリプルス 編集

海戦の戦術 編集

古代ギリシア海軍が用いた戦術にも「ペリプルス」という語が使われる。(三段櫂船を参照)

脚注 編集

  1. ^ Wiktionary(英語版)
  2. ^ Kish, George (1978). A Source Book in Geography. Cambridge: Harvard University Press. pp. page 21. ISBN 0674822706, ISBN 9780674822702 
  3. ^ Shahar, Yuval (2004). Josephus Geographicus: The Classical Context of Geography in Josephus. Mohr Siebeck. pp. page 40. ISBN 3161482565, ISBN 9783161482564