ポテイトーズPotooooooooまたはPot-8-Os1773年 - 1800年)は、18世紀イギリス競走馬種牡馬エクリプスの代表産駒で、現代に残るエクリプス系競走馬の大半の祖となった。

ポテイトーズ
S.ジルピン作
欧字表記 Potoooooooo
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 1773年
死没 1800年11月
エクリプス
スポーツミストレス
生国 イギリスの旗 イギリス
生産者 第4代アビンドン伯爵
馬主 第4代アビンドン伯爵
初代グローヴナー伯爵
競走成績
生涯成績 34勝(諸説あり)
獲得賞金 不明
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経歴 編集

ポテイトーズは1773年に第4代アビンドン伯爵ウィロービー・バーティー英語版の牧場で生産されたサラブレッドの一頭である。

馬名 編集

馬名の本来は「ポテト(potato、ジャガイモ)」である。命名の由来には諸説ある。

ある夜、馬丁は何か美味しいものを食べたが、それが何であるか知らなかった。その名を尋ねたところ、「ポテト(ポテイトー)」であると教えられた。馬丁はその正しい綴りを知らなかった[1]ため、Potの先の綴りが分からず、oを8個並べて「エイトオー(eight-o、原語発音はポテイトウに近く、pot+oooooooo(eight-o)=potatoとなる)」と読ませるようにして、これを厩舎に書きつけておいた。馬主のアビンドン伯爵がこの書きつけを見つけ、面白がって正式な馬名として採用[2]、実際にこの名前で競走馬としてデビューさせた、というもの。

異説では、栗毛の毛色から馬丁らにそう呼ばれていたとする説[3]。本馬の飼い葉桶にも「ポテト」と名前を書いてあった。

綴りの上では「Potoooooooo」であるが、読みは複数形で「ポテイトーズ(potatoes)」と読まれる。ジェネラルスタッドブックにおいてもこの表記が使われているが、現在では「Pot-8-Os」と略して表記される場合が多い[4]

競走馬として 編集

珍名馬としてもよく知られるが、競走馬・種牡馬としても優秀な成績を収めている。競走馬としてのデビューは4歳になった1777年で、その翌年1778年に1200ギニーのスウィープステークスを勝ったあと、アビンドン伯爵はポテイトーズをグローヴナー伯爵リチャード・グローヴナーから売却を持ちかけられ、1500ギニーおよびその後の競走で挙げた獲得賞金の一部を支払うという契約で譲渡された。以後も勝ちを重ね、4歳から10歳までの間に重ねた勝鞍はジョッキークラブプレートなど34勝(ただし資料によってばらつきがあり、28勝という説もある)に上った。これは当時の競走馬としては最強の馬であり、エクリプス産駒としても最良のものであった。

種牡馬として 編集

引退後はケンブリッジシャーのオックスクロフトファームに繋養され、20ギニーの種付け料を設定されて種牡馬となった。のちの1796年にニューマーケットのアッパーヘイルファームに移され、以後1800年11月に死亡するまでそこで過ごした。

種牡馬成績も優秀で、172頭が勝ちあがり[5]、合計で6万2000ポンドの賞金を挙げた(こちらも諸説あり、162頭/5万7595ポンドともされる)。産駒にワキシー(Waxy、1793年エプソムダービー)、チャンピオン(Champion、1800年エプソムダービー、セントレジャーステークス)など、ワキシーがホエールボーン (Whalebone) を出し、現在のサラブレッドの大半の父系祖先となった。なお、ヘロド系の基幹種牡馬となったウッドペッカーとは同期で、ライバル関係にあった。

ポテイトーズの主な末裔については、エクリプス系#ポテイトーズ傍系以下を参照。

主な産駒 編集

産駒は父の名前のせいか、野菜やナス科の名前を付けられてしまったものも多い。ナイトシェイドはイヌホオズキナス科)であるし、ラディッシュ(ダイコン)という名を持つものもいる。

血統表 編集

ポテイトーズ血統エクリプス系 / Godolphin Arabian4×4=12.50% Crab4×4=12.50%(母内)他) (血統表の出典)

Eclipse
1764 栗毛
父の父
Marske
1750 黒鹿毛
Squirt Bartlet's Childers
Snake Mare
Blacklegs Mare Hutton's Blacklegs
Bay Bolton Mare
父の母
Spilletta
1749 黒鹿毛
Regulus Godolphin Arabian
Grey Robinson
Mother Western Easby Snake
Old Montagu Mare

Sportsmistress
1765 栗毛
Sportsman
1753
Cade Godolphin Arabian
Roxana
Silvertail Heneages Whitenose
Rattle Mare
母の母
Golden Locks
1758
Oroonoko Crab
Miss Slamerkin
Crab Mare  Crab
Partner Mare F-No.38


脚注 編集

  1. ^ 当時のイギリスの識字率は50%も無かった。
  2. ^ 『名馬の血統』山野浩一著、明文社刊、1970初版、1977第二版p77
  3. ^ この逸話にはいくつかのパターンがあり、ポテトと名付けたのはアビンドン伯爵であるとするものもある。
  4. ^ 由来に従っている。また、「エイト(eight)」を8と置くこともままある。
  5. ^ 競走において1勝以上を挙げること。

外部リンク 編集