マリウシュ・フィルステンベルク

マリウシュ・スタニスワフ・フィルステンベルクMariusz Stanisław Fyrstenberg, 1980年7月8日 - )は、ポーランドワルシャワ出身の男子プロテニス選手。ダブルスのスペシャリストとしてよく知られ、主に同じポーランドのマルチン・マトコフスキとのダブルスのみに活動を絞っていたが2014年末でコンビを解消している。ATPツアーでシングルスの優勝はないが、ダブルスで18勝を挙げた。自己最高ランキングはシングルス317位、ダブルス6位。身長190cm、体重80kg、左利きの選手。赤土のクレーコートを最も得意にした。

マリウシュ・フィルステンベルク
Mariusz Fyrstenberg
マリウシュ・フィルステンベルク
基本情報
フルネーム Mariusz Stanisław Fyrstenberg
愛称 Fryta (フリタ)
国籍 ポーランドの旗 ポーランド
出身地 同・ワルシャワ
生年月日 (1980-07-08) 1980年7月8日(43歳)
身長 190cm
体重 80kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2001年
引退年 2017年
ツアー通算 18勝
シングルス 0勝
ダブルス 18勝
生涯通算成績 396勝331敗
シングルス 5勝9敗
ダブルス 391勝322敗
生涯獲得賞金 $3,053,264
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 ベスト4(2006)
全仏 ベスト8(2010・13)
全英 2回戦(2004・05・07・10)
全米 準優勝(2011)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 317位(2002年8月12日)
ダブルス 6位(2012年8月6日)

来歴 編集

フィルステンベルクは7歳からテニスを始めたが、その2年後にポーランドの共産主義が崩壊した。1999年8月に初めてポーランド国内開催のチャレンジャー大会に参加し、最初期からダブルスの分野で才能を発揮し始める。2001年からプロテニス選手となり、直ちに男子テニス国別対抗戦・デビスカップポーランド代表選手に選ばれた。最初はいろいろな選手とのコンビネーションを試していたが、2002年夏ごろからほとんどの試合でマルチン・マトコフスキとペアを組むようになった。2003年7月の地元のオレンジ・ワルシャワ・オープンダブルスでマトコフスキと組んでツアー初優勝を果たす。2004年アテネ五輪のポーランド代表選手に選ばれたフィルステンベルクとマトコフスキは、男子ダブルス1回戦でスイスイブ・アレグロ/ロジャー・フェデラー組に3-6, 2-6で敗退した。

 
M・マトコフスキとM・フィルステンベルク

フィルステンベルクとマトコフスキは、2006年全豪オープンで初めての4大大会ベスト4に進出した。準決勝でマルティン・ダム/リーンダー・パエス組に2-6, 4-6のストレートで敗れた。これで勢いづいた2人は、年間最終ランキング上位8組しか出場資格を得られない、男子ツアー年間最終戦テニス・マスターズ・カップダブルスにも初めて出場資格を得た。ポーランド人どうしのペアとしては史上初の快挙となった年間最終戦の舞台で、2人は予選ラウンド・ロビン(出場8組を2つのグループに分け、各グループの4組が総当たり戦を行う)で3戦全敗に終わった。

2007年、フィルステンベルクとマトコフスキは男子ツアー大会のダブルスで年間2勝を挙げたが、テニス・マスターズ・カップには出場できなかった。2008年北京五輪で2度目のオリンピックに出場し、2年ぶり2度目のテニス・マスターズ・カップ出場資格も獲得して、予選ラウンド・ロビンで2勝を挙げた。こうして2人は初めてのマスターズ・カップ準決勝に進み、ブライアン兄弟に4-6, 4-6で敗れた。

2011年全米オープンで4大大会のダブルスで初めて決勝に進出した。決勝ではユルゲン・メルツァー/フィリップ・ペッシュナー組に2–6, 2–6で敗れ準優勝となった。最終戦のATPワールドツアー・ファイナルでも決勝に進出しマックス・ミルヌイ/ダニエル・ネスター組に5–7, 3–6で敗れた。

フィルステンベルクとマトコフスキのコンビは、デビスカップポーランド代表選手として同一ペアのダブルス勝利数歴代1位になった。

フィルステンベルクは普段からシングルスにはほとんど出場せず、4大大会の男子シングルスには1度も出場記録がない。ATPツアーでのシングルス通算成績は、わずか5勝9敗である。

フィルステンベルクは2017年2月のソフィア・オープンが最後の出場になり、9月に現役引退を発表した[1]

ATPツアー決勝進出結果 編集

ダブルス: 44回 (18勝26敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2003年7月28日   ワルシャワ クレー   マルチン・マトコフスキ   フランティシェク・チェルマク
  レオシュ・フリードル
6–4, 6–7(7–9), 6–3
優勝 2. 2004年2月23日   コスタ・ド・サイペ クレー   マルチン・マトコフスキ   トーマス・ベーレント
  レオシュ・フリードル
6–2, 6–2
優勝 3. 2005年8月1日   ワルシャワ クレー   マルチン・マトコフスキ   ルーカス・アーノルド・カー
  セバスティアン・プリエト
7–6(9–7), 6–4
準優勝 1. 2005年9月26日   パレルモ クレー   マルチン・マトコフスキ   マルティン・ガルシア
  マリアノ・フッド
2–6, 3–6
準優勝 2. 2006年2月20日   コスタ・ド・サイペ クレー   マルチン・マトコフスキ   ルーカス・ドロウヒー
  パベル・ビズネル
1–6, 6–4, [3–10]
準優勝 3. 2006年4月24日   バルセロナ クレー   マルチン・マトコフスキ   マーク・ノールズ
  ダニエル・ネスター
2–6, 7–6(7–4), [5–10]
準優勝 4. 2006年8月21日   ニューヘイブン ハード   マルチン・マトコフスキ   ジョナサン・エルリック
  アンディ・ラム
3–6, 3–6
優勝 4. 2006年9月17日   ブカレスト クレー   マルチン・マトコフスキ   マルティン・ガルシア
  ルイス・オルナ
6–7(5–7), 7–6(7–5), [10–8]
準優勝 5. 2006年10月1日   パレルモ クレー   マルチン・マトコフスキ   マルティン・ガルシア
  ルイス・オルナ
6–7(1–7), 6–7(2–7)
準優勝 6. 2006年10月24日   バーゼル カーペット (室内)   マルチン・マトコフスキ   マーク・ノールズ
  ダニエル・ネスター
6–4, 4–6, [8–10]
優勝 5. 2007年7月30日   ワルシャワ クレー   マルチン・マトコフスキ   マルティン・ガルシア
  セバスティアン・プリエト
6–1, 6–1
準優勝 7. 2007年8月19日   ニューヘイブン ハード   マルチン・マトコフスキ   マヘシュ・ブパシ
  ネナド・ジモニッチ
3–6, 3–6
準優勝 8. 2007年10月1日   メス ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   アルノー・クレマン
  ミカエル・ロドラ
1–6, 4–6
優勝 6. 2007年10月7日   ウィーン ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   クリストファー・カス
  トーマス・ベーレント
6–4, 6–2
準優勝 9. 2007年10月15日   マドリード ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   ボブ・ブライアン
  マイク・ブライアン
3–6, 6–7(4–7)
準優勝 10. 2008年4月28日   バルセロナ クレー   マルチン・マトコフスキ   ボブ・ブライアン
  マイク・ブライアン
3–6, 2–6
優勝 7. 2008年6月9日   ワルシャワ クレー   マルチン・マトコフスキ   ニコライ・ダビデンコ
  ユーリ・シュキン
6–0, 3–6, [10–4]
準優勝 11. 2008年9月8日   ブカレスト クレー   マルチン・マトコフスキ   ニコラ・ドビルデ
  ポール=アンリ・マチュー
6–7(4–7), 7–6(11–9), [20–22]
準優勝 12. 2008年9月29日   メス ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   アルノー・クレマン
  ミカエル・ロドラ
7–5, 3–6, [8–10]
優勝 8. 2008年10月12日   マドリード ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   マヘシュ・ブパシ
  マーク・ノールズ
6–4, 6–2
優勝 9. 2009年6月19日   イーストボーン   マルチン・マトコフスキ   トラビス・パロット
  トラビス・パロット
6–4, 6–4
準優勝 13. 2009年8月9日   ワシントンD.C. ハード   マルチン・マトコフスキ   マルティン・ダム
  ロベルト・リンドステット
5–7, 6–7(3–7)
優勝 10. 2009年9月28日   クアラルンプール ハード   マルチン・マトコフスキ   イーゴリ・クニツィン
  ヤロスラフ・レビンスキー
6–2, 6–1
準優勝 14. 2009年10月12日   上海 ハード   マルチン・マトコフスキ   ジュリアン・ベネトー
  ジョー=ウィルフリード・ツォンガ
2–6, 4–6
優勝 11. 2010年6月18日   イーストボーン   マルチン・マトコフスキ   コリン・フレミング
  ケン・スクプスキ
6–3, 5–7, [10–8]
準優勝 15. 2010年10月3日   クアラルンプール ハード   マルチン・マトコフスキ   フランティシェク・チェルマク
  ミハル・メルティナク
6–7(3–7), 6–7(5–7)
準優勝 16. 2010年10月10日   北京 ハード   マルチン・マトコフスキ   ボブ・ブライアン
  マイク・ブライアン
1–6, 6–7(5–7)
準優勝 17. 2010年10月17日   上海 ハード   マルチン・マトコフスキ   ユルゲン・メルツァー
  リーンダー・パエス
5–7, 6–4, [5–10]
準優勝 18. 2010年10月31日   ウィーン ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   ダニエル・ネスター
  ネナド・ジモニッチ
5–7, 6–3, [5–10]
準優勝 19. 2011年9月10日   全米オープン ハード   マルチン・マトコフスキ   ユルゲン・メルツァー
  フィリップ・ペッシュナー
2–6, 2–6
準優勝 20. 2011年11月27日   ロンドン ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   マックス・ミルヌイ
  ダニエル・ネスター
5–7, 3–6
準優勝 21. 2012年3月3日   ドバイ ハード   マルチン・マトコフスキ   マヘシュ・ブパシ
  ロハン・ボパンナ
4–6, 6–3, [5–10]
優勝 12. 2012年4月29日   バルセロナ クレー   マルチン・マトコフスキ   マルセル・グラノリェルス
  マルク・ロペス
2–6, 7–6(9–7), [10–8]
優勝 13. 2012年5月14日   マドリード クレー   マルチン・マトコフスキ   ロベルト・リンドステット
  ホリア・テカウ
6–3, 6–4
準優勝 22. 2013年3月30日   マイアミ ハード   マルチン・マトコフスキ   アイサム=ウル=ハク・クレシ
  ジャン=ジュリアン・ロイヤー
4–6, 1–6
優勝 14. 2013年7月21日   ハンブルク クレー   マルチン・マトコフスキ   アレクサンダー・ペヤ
  ブルーノ・ソアレス
3–6, 6–1, [10–8]
優勝 15. 2014年1月5日   ブリスベン ハード   ダニエル・ネスター   フアン・セバスティアン・カバル
  ロベルト・ファラ
6–7(4-7), 6–4, [10–7]
準優勝 23. 2014年4月27日   ブカレスト クレー   マルチン・マトコフスキ   ジャン=ジュリアン・ロイヤー
  ホリア・テカウ
4–6, 4–6
優勝 16. 2014年9月21日   メス ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   マリン・ドラガニャ
  ヘンリ・コンティネン
6–7(3), 6–3, [10–8]
優勝 17. 2014年2月23日   メンフィス ハード
(室内)
  サンティアゴ・ゴンサレス   アルテム・シタック
  ドナルド・ヤング
5–7, 7–6(1), [10–8]
準優勝 24. 2015年2月28日   アカプルコ ハード   サンティアゴ・ゴンサレス   イワン・ドディグ
  マルセロ・メロ
6–7(2), 7–5, [3–10]
準優勝 25. 2015年7月25日   ウマグ クレー   サンティアゴ・ゴンサレス   マキシモ・ゴンサレス
  アンドレ・サ
6–4, 3–6, [5–10]
優勝 18. 2016年2月14日   メンフィス ハード
(室内)
  サンティアゴ・ゴンサレス   スティーブ・ジョンソン
  サム・クエリー
6–4, 6–4
準優勝 26. 2016年10月1日   成都 ハード   パブロ・カレーニョ・ブスタ   レイベン・クラーセン
  ラジーブ・ラム
6–7(2), 5–7

脚注 編集

  1. ^ Fyrstenberg Announces Retirement”. atpworldtour.com. ATP Tour, Inc. (2017年9月18日). 2017年9月18日閲覧。

外部リンク 編集