ミルセン
構造式(丸めた形) 構造式(のばした形)
IUPAC名7-メチル-3-メチレンオクタ-1,6-ジエン
別名β-ミルセン
分子式C10H16
分子量136.23
CAS登録番号123-35-3
形状無色液体
密度0.7905 g/cm3, 液体
相対蒸気密度4.7(空気 = 1)
融点50 °C
沸点166–168 °C
SMILESC=C(CC/C=C(C)/C)C=C
出典参考文献[1]

ミルセン (myrcene) は天然に存在する有機化合物で、モノテルペンに属するオレフィンの一種である。α-ミルセンとβ-ミルセンの2種の異性体があるが、単にミルセンといった場合、後者のことを指すことが多い。α-ミルセンは天然には存在しない。IUPAC系統名では、α-ミルセンは2-メチル-6-メチレンオクタ-1,7-ジエン 2-methyl-6-methyleneocta-1,7-diene、β-ミルセンは7-メチル-3-メチレンオクタ-1,6-ジエン 7-methyl-3-methyleneocta-1,6-diene と呼ばれる。

β-ミルセンは芳香を持つ無色の液体で、室温では徐々に重合する。消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する[2]

存在 編集

ローリエ月桂樹の葉)やバーベナキャラウェイフェンネルタラゴンイノンドオウシュウヨモギセイヨウトウキなど、およびミルキア属 (Myrcia)、マツ属Amomum 属、ハッカ属アキギリ属カラハナソウ属アサ属の植物などに含まれる。

ミルセンはキクイムシフェロモンでもあり、ベルベノールと同じく誘引物質として作用する。キクイムシの忌避剤としてベルベノンが知られる。

利用 編集

ピネン熱分解によって製造され、香料工業において広く利用される。こころよい芳香を持つため、ミルセンそのものが添加されることもあるが、他の香料、例えばメントールシトラールシトロネロールシトロネラールゲラニオールネロールリナロールを製造する際の原料として使われる。樹脂の製造にも用いられる[1]

参考文献 編集

  1. ^ a b Eggersdorfer, M. (2003). "Terpenes" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Wiley: Weinheim, p. 657.
  2. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)