ラクトコッカス属(ラクトコッカスぞく、Lactococcus)とはホモ乳酸菌の一群で、ストレプトコッカス科に属すグラム陽性菌の1属。狭義の乳酸球菌。球菌芽胞を形成せず、運動性を持たない。ヨーグルトチーズ等の乳酸発酵食品に多く含まれる。特に基準種であるLactococcus lactisが重要。pHや塩濃度の変動に強く、自然界に広く存在する。

ラクトコッカス属
Lactococcus lactisのグラム染色写真
分類
ドメイン : 真正細菌
Bacteria
: フィルミクテス門
Firmicutes
: バシラス綱
Bacilli
: ラクトバチルス目
Lacibacillales
: ストレプトコッカス科
Streptococcuaceae
: ラクトコッカス属
Lactococcus
学名
Lactococcus
Schleifer et al. 1986

#分類参照

ラクトコッカス属の基準種であるLactococcus lactis の発酵によってバクテリオシンであるナイシンが生じる[1]。ナイシンは、グラム陽性菌の成長を抑え、食品の寿命を延ばすためにプロセスチーズ飲料等の製造に用いられる。ナイシンは食中毒の原因の1つであるリステリア・モノサイトゲネスListeria monocytogenes)等を含む広い範囲の種に対して効果がある[2]

分類 編集

  • Lactococcus lactis(基準種)
    • Lactococcus lactis subsp. cremoris
    • Lactococcus lactis subsp. hordniae
    • Lactococcus lactis subsp. lactis(基亜種)
  • Lactococcus chungangensis
  • Lactococcus garvieae
  • Lactococcus piscium
  • Lactococcus plantarum
  • Lactococcus raffinolactis

ほか6種

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ 古田吉史, 丸岡生行, 中村彰宏 ほか、大麦焼酎粕由来発酵大麦エキス(FBE)からのナイシン生産」『日本醸造協会誌』 104巻 8号 2009年 p.579-586, doi:10.6013/jbrewsocjapan.104.579
  2. ^ 益田時光, 善藤威史, 園元謙二、「ナイシン―類稀な抗菌物質―」 『ミルクサイエンス』 59巻 1号 2010年 p.59-65, doi:10.11465/milk.59.59