ローンチタイトルLaunch Title)とは、新しくゲーム機を発売する際、同時に発売されるゲームソフトのこと。ローンチソフト(Launch Soft)、同発タイトル・ソフトともいう。発音から「ローンチ」という表記が一般的だが、「ロンチ」「ラウンチ」とも表記される。

概要 編集

ゲーム機はゲームソフトなしでは成り立たないため、新型ゲーム機の発売時は良質なゲームソフトの多寡がゲーム機の売り上げを大きく左右する。また発売当初の勢いは非常に重要で、マスコミなど社会的にも注目される。新型ゲーム機の発売初期で売り上げにつまづくと、「ゲーム機の出荷台数が少ない→ゲームパブリッシャーが消極的になる→タイトルが揃わず、ゲーム機の出荷が伸びない」という売り上げ悪化の悪循環となりやすい[1]。そのためゲーム機メーカーは人気シリーズの続編などをローンチタイトルのラインナップとして注力し、場合によってはゲーム機の発売を前後させる時もある(『スーパーマリオワールド』や『スーパーマリオ64』などの事例が有名)。また顧客も、ローンチタイトルのラインナップと内容に大きく注目し、早期のゲーム機購入の判断材料とする。

また、新たなブランド構築としての意義がある。つまり、新型ゲーム機の登場による関心度の高さと、同時発売される他ゲームソフトが少ないなどで注目度は高いため、良いゲームソフトであればユーザーの心証に深く根付く。その結果シリーズ化されることがあるため、戦略的な投資としてゲームソフトが出される面もある。

開発の問題 編集

ゲーム機が発売される前のため、開発機材の数やライブラリなどの周辺ソフトウェアの整備状況が十分ではないことがある。そのため、ローンチソフトに関われるメーカーは決して多くはない。ローンチタイトルを作成するのはゲーム機メーカー自身による開発か、大手ゲームソフトメーカーや、ゲーム機メーカーの前世代ゲーム機においてゲームソフトの投入実績のあるメーカーが多い。またゲームソフトメーカーとしても、早期に開発機材を入手するためにゲーム機メーカーと信用関係を築いていなければ難しい。

麻雀、将棋の扱い 編集

ローンチタイトルには、必ずと言ってよいほど麻雀将棋を取り扱ったソフトが多く、特にここ10年では麻雀が含まれている。これらのゲームソフトはそれほど注目されることも無く、売り上げに直結するゲームソフトとは言いがたい。しかし、同じ題材を取り扱うことにより単純にグラフィックやコンピューターの思考能力を比較するのに有用なジャンルであると見る向きがあり、いわばこれらのゲームソフトは新型ゲーム機のマシンパワーを比べるための試金石ともいえる。

タイトル数と主なタイトル 編集

ファミリーコンピュータ以降の主なゲーム機[2]におけるローンチタイトル数と、主なローンチタイトルを下記に記する。

ゲーム機名 発売日 タイトル数 主なローンチタイトル
ファミリーコンピュータ 1983年7月15日 3 ドンキーコング任天堂
  ファミリーコンピュータ ディスクシステム 1986年2月21日 7 ゼルダの伝説(任天堂)
PCエンジン 1987年10月30日 2 ビックリマンワールドハドソン
  CD-ROM2 1988年12月4日 2 ファイティング・ストリート(ハドソン)
SUPER CD-ROM2 1991年12月13日 1[3] SUPER CD-ROM2 体験ソフト集(ハドソン)[4]
メガドライブ 1988年10月29日 2 スペースハリアーII(セガ)
  メガCD 1991年12月12日 2 ソル・フィースウルフ・チーム
ゲームボーイ 1989年4月21日 4 スーパーマリオランド(任天堂)
  ゲームボーイカラー 1998年10月21日 3[5] ワリオランド2 盗まれた財宝(任天堂)
ネオジオ 1990年4月26日 4 NAM-1975SNK
ゲームギア 1990年10月6日 3 コラムス(セガ)
スーパーファミコン 1990年11月21日 2 スーパーマリオワールド(任天堂)
3DO 1994年3月20日 6 ウルトラマンパワードバンダイ
セガサターン 1994年11月22日 5 バーチャファイター(セガ)
PlayStation 1994年12月3日 8 リッジレーサーナムコ
NINTENDO64 1996年6月23日 3 スーパーマリオ64(任天堂)
ドリームキャスト 1998年11月27日 4 バーチャファイター3tb(セガ)
ワンダースワン 1999年3月4日 4 GUNPEY(バンダイ)
PlayStation 2 2000年3月4日 10[6] リッジレーサーV(ナムコ)
ゲームボーイアドバンス 2001年3月21日 30 スーパーマリオアドバンス(任天堂)
ニンテンドーゲームキューブ 2001年9月14日 3 ルイージマンション(任天堂)
Xbox 2002年2月22日 12 デッド オア アライブ3テクモ
ニンテンドーDS 2004年12月2日 12 さわるメイドインワリオ(任天堂)
PlayStation Portable 2004年12月12日 6 リッジレーサーズ(ナムコ)
Xbox 360 2005年12月10日 6 リッジレーサー6(ナムコ)
PlayStation 3 2006年11月11日 5 リッジレーサー7(バンダイナムコゲームス)
Wii 2006年12月2日 16 ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス(任天堂)
ニンテンドー3DS 2011年2月26日 8 nintendogs + cats(任天堂)
PlayStation Vita 2011年12月17日 20 リッジレーサー(バンダイナムコゲームス)[7]
Wii U 2012年12月8日 11 New スーパーマリオブラザーズ U(任天堂)
PlayStation 4 2014年2月22日 12 KNACKソニー
Xbox One 2014年9月4日 18 Kinect スポーツ ライバルズ日本マイクロソフト
Nintendo Switch 2017年3月3日 8 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(任天堂)
Xbox Series X/S 2020年11月10日 1 Gears Tactics/ギアーズ タクティクス
(Gears of War Tactics)
(日本マイクロソフト)
PlayStation 5 2020年11月12日 7 Marvel's Spider-Man:Miles Morales(ソニー)

脚注 編集

  1. ^ 後藤弘茂のWeekly海外ニュース 2006年5月18日
  2. ^ 日本国内で100タイトル以上のゲームソフトが発売されたゲーム機を対象。
  3. ^ 最初の本体専用ソフトは本体発売前の1991年10月25日に発売された『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』『ポピュラス ザ・プロミストランド』(いずれもハドソン)『天使の詩』(日本テレネット)で、本体発売までに計5タイトルが発売された。
  4. ^ 実質的なローンチタイトル。本体発売時点で発売済みの『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』と未発売の『天外魔境II 卍MARU』の体験版を収録。
  5. ^ 最初の本体対応ソフトは本体発売前の1998年9月25日に発売された『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』(エニックス)で、最初の本体専用ソフトは本体発売後の1999年4月23日に発売された『トップギア・ポケット』(KEMCO)。
  6. ^ 日本におけるローンチタイトルは全てサードパーティーソフトであり、SCE初のソフト『ファンタビジョン』の日本版は本体発売から5日後の2000年3月9日に発売された。海外版『ファンタビジョン』はローンチタイトルである。
  7. ^ 『NAX Music Player』(アークシステムワークス)もローンチタイトルの予定だったが延期され、2012年12月5日に発売された。

関連項目 編集