ワルナスビ

ナス科の多年草

ワルナスビ(悪茄子、学名Solanum carolinense )はナス科多年草日本も含め世界的に帰化している外来種である。

ワルナスビ
ワルナスビ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナス目 Solanales
: ナス科 Solanaceae
: ナス属 Solanum
: ワルナスビ S. carolinense
学名
Solanum carolinense L.
和名
ワルナスビ(悪茄子)
英名
Carolina horsenettle
ワルナスビの果実

分布 編集

アメリカ合衆国南東部(カロライナ周辺)の原産。ヨーロッパアジアオセアニアに移入分布する。

特徴 編集

に鋭いとげが多い。種子が家畜の糞などに混じって広がり、垂直および水平に広がる地下茎を張ってよく繁茂する。耕耘機などですきこむと、切れた地下茎のひとつひとつから芽が出てかえって増殖する。除草剤も効きにくいため、一度生えると完全に駆除するのは難しい。

は白または淡青色で同科のナスジャガイモに似ており、からまで咲き続ける。果実は球形で黄色く熟しプチトマトに似るが、全草がソラニンを含み有毒であるため食用にはできず、家畜が食べると場合によっては中毒死することがある。また、美味しそうに見える果実でもあるため、子供などがトマトなどと勘違いして口にしてしまう危険性も高い。

和名は、これらのたちが悪い生態により付けられた[1]英語でも「Apple of Sodomソドムのリンゴ)」、「Devil's tomato悪魔のトマト)」などの悪名で呼ばれている。花言葉は「悪戯」である。

外来種問題 編集

日本では1906年明治39年)に千葉県成田市御料牧場牧野富太郎により発見及び命名され、以降は北海道から沖縄まで全国に広がっている[2]1980年代頃から有害雑草として認識されるようになった[2]。鋭い刺や毒を有するため、家畜に被害を与え、作物の品質を低下させる[3]

特にナス科であるため、畑に生えるとナス、トマト、ジャガイモなど同科の作物に2年の連作障害を与える。また、直接畑などに生えなくとも、付近の土地に生えただけで、ナス科作物の害虫であるニジュウヤホシテントウの温床ともなり[1]、付近の作物に飛び火する恐れのある厄介な害草である。同様の被害は同じナス科の雑草であるイヌホオズキなどでも起こるが、繁殖力の強さと駆除の困難さがあるので、本種の方がはるかに厄介である。

外来生物法により要注意外来生物に指定されている。

参考文献 編集

  1. ^ a b 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0  pp.278-279
  2. ^ a b 宮崎桂「多年草雑草ワルナスビの根系による栄養繁殖」(PDF)『根の研究』第14巻第3号、2005年、99-104頁、2011年9月6日閲覧 
  3. ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7  pp.326-327