中座 真(ちゅうざ まこと、1970年2月3日 - )は、将棋棋士佐瀬勇次名誉九段門下。棋士番号は219。北海道稚内市出身。妻は女流棋士中倉彰子

 中座真 八段
名前 中座真
生年月日 (1970-02-03) 1970年2月3日(54歳)
プロ入り年月日 1996年4月1日(26歳)
棋士番号 219
出身地 北海道稚内市
所属 日本将棋連盟(関東)
師匠 佐瀬勇次名誉九段
弟子 谷合廣紀
段位 八段
棋士DB 中座真
2024年4月4日現在
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棋歴 編集

稚内市立稚内南小学校時代に小学生将棋名人戦に出場し、4年時に3位、5・6年時にベスト8[1]。1981年に奨励会に入会。20歳で三段に昇段したが、四段に昇段できないまま5年が経ち、26歳の年齢制限が迫っていた。四段昇段できなければ退会する覚悟を決めて臨んだ第18回三段リーグ(1995年度下半期)は、最後の一局で敗れ12勝6敗で終了[注 1]。本人は諦めていたが、その後競争相手の3人[注 2]が全員敗れ、逆転で四段昇段が決まった[注 3][注 4]。その知らせを聞いた際、放心状態でその場に座り込んだ姿をとらえた写真が『週刊将棋』に掲載された[2]

プロ入り後 編集

横歩取りにおける後手の戦法「横歩取り8五飛」(「中座飛車」とも)を生み出す。1号局は1997年8月26日の対・松本佳介戦であった。8四ではなく8五に引かれた飛車を見た松本は、「間違えて置いた」と思ったという[3]。1998年度升田幸三賞受賞。

第11期竜王戦(1998年度)で6組昇級者決定戦を制し、5組へ昇級。

第10期(2002年度)銀河戦で、決勝トーナメントに初進出(ベスト16で敗退)。翌年度の第11期でも決勝トーナメントに勝ち進み、ベスト8まで進出。

第61期(2003年度)順位戦のC級2組で8勝2敗の成績を収め、3位でC級1組への昇級を果たした(同時昇級は渡辺明と窪田義行)。

NHK杯では第55回(2005年度)で初めての本戦進出。1回戦では屋敷伸之に勝利した(2回戦で羽生善治四冠に敗北)。

プロ入り後、五段昇段に5年、六段昇段に6年近くを要した。しかし、第19期(2006年度)の竜王戦で5組ランキング戦を優勝&4組へ昇級すると、翌年度の第20期でも昇級者決定戦を制し3組へ昇級したため、2007年には竜王戦連続2回昇級の昇段規定によって、六段昇段後わずか16局(半年弱)での七段昇段を果たした。

一方、順位戦では第65期(2006年度)C級1組と、第66期(2007年度)C級1組で2連続の降級点を喫し、C級2組へ降級となった。

第49期(2008年度)王位戦でリーグに進出。2勝3敗でリーグ陥落となったが、渡辺明丸山忠久から勝ち星を挙げた。

第23期(2010年度)竜王戦3組で準優勝し、自己最高の2組へ昇級。第24期(2011年度)竜王戦2組で初戦から連敗し3組に降級。第28期(2015年度)竜王戦3組でも初戦から連敗し4組へ降級した。 順位戦では第70期(2012年度)のC級2組で3勝7敗と苦戦し、1回目の降級点を喫した。

しかし、2016年度に入ると復調を見せ、第29期(2016年度)竜王戦4組ランキング戦の準決勝で井上慶太九段に勝ち、3組へ復帰。さらに決勝でも塚田泰明九段に勝ち、4組優勝者として本戦トーナメントへ出場。2回戦で6組優勝者の青嶋未来五段に敗れた。

2019年度は年度全体で大不振に陥る。年度の全成績では3勝20敗の大幅な負け越しとなり、第79期順位戦C級2組では1勝9敗で2回目の降級点を喫すると、第32期竜王戦でも連敗を喫し4組へ降級となった。

2020年度も不振が続き、第80期順位戦C級2組では第9局の時点で1勝8敗となり、順位の関係上、最終局を待たずして、降級点3でフリークラス編入となった。

フリークラス編入時点で竜王戦での4組在籍は、フリークラスの所属棋士としては森内俊之[注 5]に次ぐ、竜王戦上位クラスの在籍となる[注 6]

2023年3月1日から体調不良のため休場。当初は、同年5月31日までの休場を公表していたが、その後に休場期間が同年11月30日まで延長された[4][5]。この休場により、2023年創設の公式戦「第1回達人戦立川立飛杯」を含めた複数の棋戦を不戦敗・今期不参加となった。

棋風 編集

  • 勝敗よりも陣形や手筋の醜美にこだわる面がある。得意戦法の横歩取りについても「3つのG」と名付けた銀の位置を変えた陣形のパターンを用意している[6]
  • 実際に増田康宏四段との順位戦で、相手の居玉や悪形を咎める手筋を「わかっていたが、飛車の追い方がダサいと思い、指さなかった」と感想で述べている[7]
  • 叡王戦での豊島将之七段との対局でも、敵陣に飛車を打ち込む手を「ダサい手で指せない」として指さず、「俗手」「平凡手」「素人のような手」を嫌う傾向が強い[8]

人物 編集

  • 女流棋士の中井広恵とは同郷の出身で年齢も同学年、かつ同門(佐瀬門下)である。四段昇段が決まった当夜、中座の実家に吉報を伝えたのも中井だった。
  • 血液型はA。
  • 2003年11月に女流棋士中倉彰子と結婚した[9]。長女、次女、長男の3人の子供がいる[10]
  • 年齢では、いわゆる「羽生世代」と呼ばれる棋士達と同世代である。
  • 同世代の1人で、中座が四段昇段を果たした三段リーグを最後に年齢制限で退会した瀬川晶司とは、その後瀬川にとって節目となる状況で対局している。
    • 2000年3月10日:第26期棋王戦予選 - アマ名人として出場した瀬川の対プロ初戦。中座が勝利。
    • 2009年5月15日:第81期棋聖戦一次予選 - 瀬川のフリークラスから順位戦C級2組への昇級を賭けた一戦。瀬川が勝利し、フリークラスからC級2組への昇級を果たす。
  • 喜怒哀楽を全身で表わす棋士であり、前述の放心状態でその場に座り込むエピソードのほか、対局中に頭をかかえたり、気合をこめて駒を打つなど感情を表に出す将棋を見せる[11]
  • 2009年に稚内市観光大使に就任[12]。将棋年鑑の「対局中の出前が全国どこからでも取れるとしたら何を頼みますか」というアンケートで、稚内の海鮮丼と回答している[13]

弟子 編集

棋士となった弟子 編集

名前 四段昇段日 段位、主な活躍
谷合廣紀 2020年4月1日 四段

(2020年4月1日現在)

  • 谷合が自身と同じように年齢制限が迫る中で迎えた三段リーグ(2019年度後期)で1勝3敗スタートになった際、「君が上がれないわけない」とメールを送り、その後谷合は13連勝し四段昇段を果たした[2]

昇段履歴 編集

昇段規定は、将棋の段級 を参照。

  • 1981年11月00日: 6級 = 奨励会入会
  • 1988年12月00日: 初段
  • 1990年04月00日: 三段(第8回奨励会三段リーグ<1990年度後期>から三段リーグ入り)
  • 1996年04月01日: 四段(第18回奨励会三段リーグ成績2位) = プロ入り
  • 2001年08月17日: 五段(勝数規定/公式戦100勝、通算100勝79敗)
  • 2007年04月11日: 六段(勝数規定/五段昇段後公式戦120勝、通算220勝167敗)[14]
  • 2007年09月20日: 七段(竜王ランキング戦連続昇級、通算231勝172敗)[14]
  • 2024年04月01日: 八段(フリークラス規定、通算413勝424敗)[15][17]

主な成績 編集

在籍クラス 編集

順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦 (出典)竜王戦
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
1996 55 C251 10 6組 --
1997 56 C228 11 6組 --
1998 57 C230 12 5組 --
1999 58 C205 13 5組 --
2000 59 C208 14 5組 --
2001 60 C203 15 5組 --
2002 61 C206 16 5組 --
2003 62 C126 17 5組 --
2004 63 C116 18 5組 --
2005 64 C112 19 5組 --
2006 65 C120x 20 4組 --
2007 66 C130*x 21 3組 --
2008 67 C201 22 3組 --
2009 68 C215 23 3組 --
2010 69 C210 24 2組 --
2011 70 C223x 25 3組 --
2012 71 C237* 26 3組 --
2013 72 C222* 27 3組 --
2014 73 C224* 28 3組 --
2015 74 C208* 29 4組 --
2016 75 C220* 30 3組 --
2017 76 C232* 31 3組 --
2018 77 C232* 32 3組 --
2019 78 C239*x 33 4組 --
2020 79 C246**x 34 4組 --
2021 80 F編 35 4組 --
2022 81 F編 36 4組 --
2023 82 F編 37 4組 --
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

将棋大賞 編集

著書 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 勝った今泉健司は、12勝6敗で並んだが順位の差で涙を呑んだ
  2. ^ 野月浩貴、藤内忍(現・指導棋士)、木村一基
  3. ^ もう一人の四段昇段者は堀口一史座
  4. ^ その経緯は『将棋の子』(大崎善生・著)の冒頭に詳しく記されている
  5. ^ 森内俊之第75期順位戦でA級からの降級が決まりフリークラス宣言を行なった当時、竜王戦では2組在籍中だった。
  6. ^ その後、フリークラス編入者の川上猛が第36期竜王戦で4組に昇級している。

出典 編集

  1. ^ ある将棋ライターが選ぶ平成の名局十番
  2. ^ a b 【王手報知】伝説の写真…谷合廣紀三段の師匠・中座真七段はミラクル昇段
  3. ^ 将棋世界」2000年1月号付録
  4. ^
  5. ^ @AKIKOPDG (2023年3月1日). "中座の休場について(中倉彰子 いつつ)". X(旧Twitter)より2023年3月1日閲覧
  6. ^ 「中座の横歩取り」(株)マイナビ
  7. ^ [2015年6月19日 第74期順位戦 C級2組 1回戦 棋譜速報「週刊将棋」順位戦特集など]
  8. ^ [2015年6月26日 第1期叡王戦 七段予選 感想戦]
  9. ^ 中座真五段と中倉彰子女流初段が婚約
  10. ^ 中倉彰子さん 三者三様、成長したなあ
  11. ^ [2015年6月26日 第1期叡王戦 七段予選 ニコニコ生中継など]
  12. ^ 稚内市観光大使に中座真さん(将棋棋士)を委嘱
  13. ^ 全国どこからでも出前を取れるなら? 棋士が取りたい対局中の出前
  14. ^ a b 棋士の昇段など(日本将棋連盟からのお知らせ)」『日本将棋連盟』。2007年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  15. ^ 昇段・引退・休場棋士のお知らせ|将棋ニュース」『日本将棋連盟』2024年4月1日。
  16. ^ 通算成績|成績・ランキング」『日本将棋連盟』。2024年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  17. ^ 通算成績(2024年3月31日対局分まで)[16]

関連項目 編集

外部リンク 編集