主人は冷たい土の中に」(あるじはつめたいつちのなかに、原題:Massa's in De Cold Ground)は、1852年アメリカ合衆国作曲家スティーブン・フォスターが作詞・作曲した歌曲である。

初版の楽譜(1852年)

概要 編集

故郷の人々(スワニー河)」が発表された翌年の1852年に発表された。プランテーションの年老いた主人が亡くなり、そこの奴隷として働いていた黒人らが、優しく皆に慕われていた主人を偲んで嘆き悲しむという内容。フォスターが南部を旅行した際に書かれたプランテーション・ソングの1つであり、表題の"Massa"("Master"の訛り)をはじめフォスターの他のプランテーション・ソングと同様に黒人英語が歌詞に多用されている。

この楽曲の旋律は、ジョセフ・C・ラドゲイト(1864年 - 1947年)が新規に歌詞を付けて1898年に発表した賛美歌"A friend of Jesus!"(聖歌519/新聖歌426「世には良き友も」)に転用されている[1]

日本における紹介 編集

この楽曲は昭和初期に日本で紹介され、現在も広く歌われている。最初期のSPレコードは「お優しかった御主人様」の表題で[2]、後に直訳の「主人は冷たい土の中に」が広く用いられるようになったが、その他にも様々な訳題が存在する[3]

訳詞は武井君子による「静かに眠れ」の副題が付いたものが広く知られており、音楽教科書にも採用されている[4]他、勝承夫水田詩仙の訳詞も存在する。また、加藤義清作詞の「春風」はこの楽曲の旋律を転用しているが、歌詞は原曲と無関係なものになっている[5]。また、吉丸一昌作詞の「夕の鐘」[6]は、1953年に公開された映画、小津安二郎監督の『東京物語』の最後の方で挿入歌として使われている。小津安二郎のフォスター好きは有名であり、映画の公開当時は音楽の教科書にも載っていた。[7]

歌詞 編集

原曲は詞・曲とも著作権保護期間満了。

英語
1
Round de meadows am a ringing
De darkey's mournful song
While de mocking bird am singing
Happy as de day am long
Where de ivy am a creeping
O'er de grassy mound
Dare old massa am sleeping
Sleeping in de cold, cold graound
(chorus)
Down in de cornfield
Hear dat mournful sound
All de darkeys am a weeping
Massa's in de cold, cold gound
2
When de autumn leaves were falling
When de days were cold
Twas hard to hear old massa calling
Cayse he was so weak and old
Now do orange tree am blooming
On de sandy shore
Now de summer days am comming
Massa nebber calls no more
(chorus)
3
Massa made de darkeys love him
Cayse he was so kind
Now, dey sadly weep above him
Mournin cayse he leave dem behind
I can not work before tomorrow
Cayse de teardrop flow
I try to drive away my sorrow
Pickin' on de old banjo

脚注 編集