交響曲第3番テ・デウム作品271は、ダリウス・ミヨー1946年に作曲した交響曲

概要 編集

フランス放送からテ・デウム作曲の依頼を受けて書かれた。最初にリュリのテ・デウムとベルリオーズテ・デウムを調べたものの、彼らのものは参考にできないと判断したため、アンブロジオ賛歌をテキストに用いることに決めた[1]。初演は1947年にフランス放送により行われた。

楽器編成 編集

フルート2、ピッコロクラリネット2、オーボエ2、イングリッシュホルン小クラリネットクラリネット2、バスクラリネットファゴット2、コントラファゴットトランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニ打楽器ハープ弦五部混声四部合唱

楽曲構成 編集

声楽が入るのは第2、第4楽章楽章のみで、前者には歌詞がなく、声楽を楽器のように扱っている[2]

第1楽章 Fièrement (大胆に)

調性的な低弦による主題で開始され、第5小節で自由な変奏が行われる。39小節で冒頭の主題を変化させたものが現れた後、ホルンと木管による旋律を経て中間部に移行する。中間部では第4楽章の「テ・デウム」にどことなく似た主題が弦と木管により現れる。最後は全合奏で幕を閉じる[3]。演奏時間約5分[4]

第2楽章 Très recueilli (非常に内省的に)

弦と金管の上で、合唱が歌い出す。転調を経て[5]イングリッシュホルンの旋律にバスクラリネットとバスが答える[6]。この主題は弦の合奏で幕を閉じた後、ホルンを伴った合唱による主題が4回繰り返されて第一部が締めくくられる。第2部では冒頭の主題の変形が提示され、フルートによる旋律で曲を閉じる[6]。演奏時間は約10分35秒[4]

第3楽章 Pastolale (田園風に)

4小節の明快で短い主題で開始され、これにオーボエが答える。その後第1ヴァイオリンとフルートが冒頭の主題を少し変形させた旋律を奏でる。演奏時間は約3分45秒[4]

第4楽章 Hymnus Ambrosianus (アンブロジオ賛歌)

短い前奏の後、テノールが歌い出す[7]。演奏時間は約12分5秒。

出典 編集

  1. ^ 別宮 1979, p. 92.
  2. ^ 属 1981, p. 554.
  3. ^ 別宮 1979, p. 94.
  4. ^ a b c 別宮 1979, p. 93.
  5. ^ 別宮 1979, p. 95.
  6. ^ a b 別宮 1979, p. 96.
  7. ^ 別宮 1979, p. 98.

参考文献 編集

  • 別宮貞雄『最新名曲解説全集3 交響曲III』音楽之友社、1979年。ISBN 978-4-27-601003-1 
  • 属啓成『名曲事典』音楽之友社、1981年。