北川 貴理(きたがわ たかまさ、1996年9月5日 - )は、福井県出身の陸上競技選手。専門は短距離走400mの自己ベストは45秒48。2016年リオデジャネイロオリンピック男子4×400mリレー日本代表

北川 貴理 Portal:陸上競技
第74回国民体育大会にて(2019年)
選手情報
フルネーム きたがわ たかまさ
ラテン文字 Takamasa Kitagawa
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技 (短距離走)
種目 400m
所属 富士通陸上競技部
大学 順天堂大学
生年月日 (1996-09-05) 1996年9月5日(27歳)
出身地 福井県
身長 177cm
体重 70kg
成績
オリンピック 4x400mR : 予選1組7着 (2016年)
世界選手権 400m : 予選6組6着 (2017年)
4x400mR : 予選1組7着 (2015年)
地域大会決勝 アジア選手権
400m : 5位 (2015年)
4x400mR : 3位 (2015年)
国内大会決勝 日本選手権
400m : 優勝 (2017年)
自己ベスト
100m 10秒64 (2014年)
200m 21秒56 (2016年)
400m 45秒48 (2017年)
獲得メダル
陸上競技
日本の旗 日本
アジア選手権
2015 武漢 4x400mR
ユニバーシアード
2015 光州 4x400mR
世界ジュニア選手権
2014 ユージーン 4x400mR
編集 テンプレートのヘルプを表示する

経歴 編集

福井県出身。B型。敦賀市立粟野中学校、敦賀高等学校順天堂大学(スポーツ健康科学部スポーツ科学科)卒業。富士通陸上競技部在籍。

中学生時代まで 編集

小学生の時から足は速く、走るのは好きだった。しかし、当時の習い事は習字くらいで、スポーツはドッヂボールクラブに顔を出す程度だったという。中学に進学して陸上部に入るか迷っていたが、担任であり陸上部顧問の先生から「迷っているならとりあえず入ってみれば?」と言われ、陸上部に入部。3年時には全日本中学校選手権へ初出場を果たしている(結果は200mで予選敗退)。

高校生時代 編集

2012年 編集

敦賀高校に進学。当初は100mと200mをやるつもりで入ったが、高校では週に3回ほど400mを走る練習があり、初めて走った400mを52秒で走った。練習では先輩たちに勝てることがあり、少しは通用するのかなと思っていたが、気づいたら400mにエントリーされていたという。1年時には4×400mリレーのメンバーとしてインターハイ初出場を果たした(結果は予選敗退)。

2013年 編集

  • 7月、インターハイの400mに初出場を果たす。大会前の自己ベストは48秒05だったが、予選から決勝まで全て47秒台をマークし、2年生で唯一決勝に進出して7位入賞[1]
  • 10月、国民体育大会少年A400mでも2年生で唯一決勝に進出し、決勝では高2歴代9位の記録となる46秒98で2位に入った。

2014年 編集

  • 7月、世界ジュニア選手権4×400mリレー決勝で3走(ウォルシュ・ジュリアン、油井快晴、北川、加藤修也)を務め、3分04秒11のジュニアアジア記録(ジュニア世界歴代4位)を樹立して銀メダル獲得した[2]。世界ジュニア選手権から帰国してすぐに出場したインターハイでは、400m決勝を高校歴代10位タイ(当時)の記録となる46秒57で制し、自己ベストを0秒41更新して初優勝を成し遂げた[3]
  • 8-9月、国別対抗戦のデカネーション400mで初めてシニアの日本代表と国際大会を経験すると[4]、大陸別対抗戦のコンチネンタルカップ4×400mリレーにはアジア・太平洋代表(メンバーは日本学生選抜)として出場した。
  • 10月、日本ジュニア選手権400mを制し、国民体育大会少年A400mも高校歴代8位(当時)の記録となる46秒46で制して高校3冠を達成した。

2015年 編集

大学生時代 編集

2015年 編集

  • 4月、順天堂大学に進学。
  • 4-5月、織田記念国際400mで2位に入り、ワールドリレーズの4×400mリレー日本代表に選出[6]。ワールドリレーズではシニアの日の丸を背負い、初の世界大会を経験した。
  • 6月、アジア選手権の400mと4×400mリレーに出場し、400mは決勝で46秒33の自己ベストタイ(当時)をマークして5位入賞、4×400mリレーではアンカーを務めて銅メダルを獲得した。
  • 6月、初出場となった日本選手権の400mは予選で日本歴代9位(当時)の記録となる45秒52をマーク。2015年北京世界選手権の参加標準記録(45秒50)に肉薄し、それまでの自己ベスト(46秒33)を大幅に更新して決勝に進出したが、決勝は4位で表彰台を逃した。
  • 7月、ユニバーシアードの400mと4×400mリレーに出場し、400mは決勝でセカンドベストの46秒03をマークして7位入賞、4×400mリレーでは3走を務めて銀メダルを獲得した(当初は4位のゴールだったが、2カ国が失格になり2位に繰り上がった)[7]
  • 8月、北京世界選手権の4×400mリレー日本代表に選出[8]。迎えた世界選手権では予選でアンカー(田村朋也、金丸祐三小林直己、北川)を務めたが、3分02秒97の組7着(全体15位)で決勝進出はならなかった。
  • 9月、日本インカレの400mと4×400mリレーに出場し、400mは同じ北京世界選手権の4×400mリレー代表だった小林直己らを破り、昨年の加藤修也に続いて1年生優勝を成し遂げた。2走を務めた4×400mリレーでは第60回大会以来24年ぶりとなる順天堂大学の優勝に貢献し[9]、400mとの2冠を達成した。

2016年 編集

  • 6月25日、日本選手権の400m決勝で45秒93をマークして3位に入り、初の表彰台に上った。この結果を受け、リオデジャネイロオリンピックの4×400mリレー日本代表候補に選出された(日本が出場権を獲得すれば日本代表となる)[10]。出場権を獲得するには、有効期間内にマークした上位2レースの合計タイムで世界ランキング16位以内に入らなければならなかった。
  • 7月、日本はリレーのランキングを上げるため、3日に日中韓3カ国交流陸上、10日には大阪選手権に参加。北川は両レースで3走を務めたが、日中韓3カ国交流陸上は3分04秒62、ラストチャンスとなった大阪選手権は3分02秒11に終わり、ランキングは17位にとどまった。しかし、ランキングで16位以内のロシアがドーピング問題で出場できなくなったため、繰り上がりで日本が出場権を獲得した[11]
  • 8月19日、リオデジャネイロオリンピックの4×400mリレー予選でオリンピックデビューを果たすと、3走(ウォルシュ・ジュリアン、田村朋也、北川、加藤修也)を務め、日本チームの中で一番のラップタイム(45秒36)をマークした。日本は3分02秒95の組7着に終わり、決勝に進出することはできなかった[12]

2017年 編集

  • 昨シーズンの秋に左第5中足骨基部骨折した影響で長い距離の練習をできず、痛みを抱えたまま新シーズンを迎えた[13]
  • 6月23日、日本選手権の400m予選で日本歴代10位の45秒48をマークし、ロンドン世界選手権の参加標準記録(45秒50)を突破。翌日の決勝はタイムを落としたものの45秒76で初優勝を飾り、ロンドン世界選手権の日本代表に内定した[14]

社会人時代 編集

2019年4月、富士通に入社[15]

2022年10月、富士通退社。

人物・エピソード 編集

  • 父はバドミントン、母は陸上経験者。弟の温矩は走高跳の選手で、2015年インターハイで2位の実績を持つ。
  • 特技は習字。陸上以外で得意なスポーツはバスケットボール。
  • 2014年のインターハイは世界ジュニア選手権に出場したため、7月29日の17時に成田空港に到着、22時30分に甲府入り、翌日に400mを走るというハードスケジュールだった。しかし、疲労の影響がありながらも決勝では高校歴代10位タイ(当時)の記録となる46秒57をマークして優勝した。北川は「日本代表に選ばれ、ジュニアアジア新も銀メダルも手にして、それで負けたら日本代表として恥ずかしい」とレース後にコメントしている[3]

自己ベスト 編集

  • 記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。
種目 記録 年月日 場所 備考
100m 10秒64 (+0.8) 2014年6月1日   福井市
200m 21秒56 (-0.9) 2016年6月4日   印西市
400m 45秒48 2017年6月23日   大阪市 日本歴代10位

主な成績 編集

  • 主要大会を記載。備考欄の記録は当時のもの

国際大会 編集

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2014 (高3) 世界ジュニア選手権   ユージーン 4x400mR 2位 3分04秒11 (3走) ジュニアアジア記録
デカネーション   アンジェ 400m 4位 46秒86
コンチネンタルカップ (en   マラケシュ 4x400mR 4位 3分03秒77 (2走) アジア・太平洋代表
2015 (大1) ワールドリレーズ (en   ナッソー 4x400mR 予選 3分06秒38 (4走) 全体17位
アジア選手権   武漢 400m 5位 46秒33 自己ベストタイ
4x400mR 3位 3分03秒47 (4走)
ユニバーシアード (en   光州 400m 7位 46秒03
4x400mR 2位 3分07秒75 (3走) 4位から2位に繰り上がり
世界選手権   北京 4x400mR 予選 3分02秒97 (4走) 全体15位
2016 (大2) 日中韓3カ国交流陸上   金泉 4x400mR 優勝 3分04秒62 (3走)
オリンピック   リオデジャネイロ 4x400mR 予選 3分02秒95 (3走) 全体13位
2017 (大3) 世界選手権   ロンドン 400m 予選 47秒35 全体45位
ユニバーシアード (en   台北 400m 予選 47秒85 全体22位

日本選手権 編集

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2015 (大1) 第99回 新潟市 400m 4位 46秒67 予選45秒52:日本歴代9位
2016 (大2) 第100回 名古屋市 400m 3位 45秒93
横浜市 4x400mR 5位 3分10秒36 (1走)
2017 (大3) 第101回 大阪市 400m 優勝 45秒76 予選45秒48:日本歴代10位

その他 編集

  • タイムレースで総合8位以内に入れなかった場合は「決勝」と記載
大会 場所 種目 結果 記録 備考
2011 (中3) 全日本中学校選手権 奈良市 200m 予選 22秒88 (+1.1)
2012 (中3) 日本ジュニア室内大阪 大阪市 60m 予選 7秒49
2012 (高1) インターハイ 新潟市 4x400mR 予選 3分19秒26 (2走)
2013 (高2) インターハイ 大分市 400m 7位 47秒89
4x100mR 予選 41秒70 (3走)
4x400mR 予選 3分16秒63 (4走)
国民体育大会 調布市 400m 2位 46秒98 高2歴代9位
日本ユース選手権 名古屋市 200m 4位 21秒89 (+0.8)
400m 優勝 47秒94
2014 (高2) 日本ジュニア室内大阪 大阪市 60m 予選 7秒13
2014 (高3) インターハイ 甲府市 400m 優勝 46秒57 高校歴代10位タイ
4x400mR 準決勝 3分17秒48 (4走)
日本ジュニア選手権 名古屋市 100m 準決勝 10秒83 (0.0)
400m 優勝 47秒28
国民体育大会 諫早市 100m 準決勝 10秒67 (-0.2)
400m 優勝 46秒46 高校歴代8位
4x100mR 準決勝 40秒14 (4走)
2015 (大1) 織田記念 広島市 400m 2位 46秒52
関東インカレ (1部) 横浜市 400m 6位 47秒14 準決勝46秒33:自己ベスト
4x400mR 2位 3分06秒39 (4走)
日本インカレ 大阪市 400m 優勝 46秒34
4x400mR 優勝 3分06秒79 (2走)
2016 (大2) ゴールデングランプリ川崎 川崎市 400m 7位 46秒82
関東インカレ (1部) 横浜市 400m 6位 47秒47
4x400mR 3位 3分05秒82 (3走)
日本学生個人選手権 平塚市 400m 2位 46秒80
日本インカレ 熊谷市 400m 予選 47秒29
4x400mR 5位 3分06秒90 (2走)
国民体育大会 北上市 400m 優勝 47秒22
2017 (大3) 静岡国際 袋井市 400m 優勝 46秒55
関東インカレ (1部) 横浜市 400m 優勝 46秒17
4x400mR 2位 3分06秒47 (1走)
日本インカレ 福井市 400m 予選 48秒79
4x400mR 予選 3分09秒87 (4走)
2018 (大4) 静岡国際 袋井市 400m 決勝 49秒76
日本インカレ 川崎市 400m 準決勝 47秒25
4x400mR 予選 3分10秒04 (1走)

参考文献 編集

脚注 編集

  1. ^ 2014年世界ジュニア選手権 代表選手ガイドブック 選手紹介ページ (PDF, 2.4 MB) 日本陸上競技連盟 2015年8月15日閲覧
  2. ^ 「第15回世界ジュニア選手権」『月刊陸上競技』第48巻第10号、講談社、2014年9月号、34頁。 
  3. ^ a b 「山梨インターハイ デイリーハイライト」『月刊陸上競技』第48巻第10号、講談社、2014年9月号、64-65頁。 
  4. ^ 北川貴理が国別対抗陸上の代表に 男子最年少、シニア大会初挑戦”. 福井新聞 (2014年8月15日). 2015年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月15日閲覧。
  5. ^ 「日本陸連が「ダイヤモンドアスリート」を選出」『月刊陸上競技』第49巻第4号、講談社、2015年3月号、20-21頁。 
  6. ^ 陸上競技部 北川貴理選手(1年)『2015ワールドリレーズ』の日本代表選手に選出される!”. 順天堂大学 (2015年4月22日). 2015年8月15日閲覧。
  7. ^ 「第28回ユニバーシアード競技大会」『月刊陸上競技』第49巻第10号、講談社、2015年9月号、122-128頁。 
  8. ^ 世界選手権の男女1600リレー出場権獲得/陸上”. サンケイスポーツ (2015年8月13日). 2015年8月15日閲覧。
  9. ^ 「日本インカレリポート」『陸上競技マガジン』第65巻第18号、ベースボール・マガジン社、2015年11月号、77頁。 
  10. ^ 北川が五輪代表候補 1600リレー”. 中日新聞 (2016年6月28日). 2016年7月1日閲覧。
  11. ^ 日本、繰り上げ出場 陸上1600リレー”. 毎日新聞 (2016年7月25日). 2016年7月26日閲覧。
  12. ^ 第31回オリンピック男子4×400mリレー予選リザルト (PDF, 53.2 KB) リオデジャネイロオリンピック公式サイト 2016年09月27日閲覧
  13. ^ 「日本選手権」『月刊陸上競技』第51巻第9号、講談社、2017年8月号、20頁。 
  14. ^ 男子100初優勝 サニブラウン世界選手権代表内定”. 毎日新聞 (2017年6月24日). 2017年6月24日閲覧。
  15. ^ リオ五輪競歩銅の荒井が富士通入社、豪華7選手補強

外部リンク 編集

記録
先代
(3分05秒33)
  世界ジュニア選手権日本代表
太田和憲、野田浩之、鈴木哲平、佐々木雄大
2004年7月18日
男子4×400mリレー
ジュニアアジア記録保持者
(3分04秒11)

  世界ジュニア選手権日本代表
ウォルシュ・ジュリアン、油井快晴、北川貴理加藤修也

2014年7月27日 -
次代
未定