呼格(こかく、: vocative [case]: [casus] vocativus)は、名詞形容詞の一つで、呼びかけに使われる。チェコ語では5格と呼ばれる場合がある。

ラテン語の例を以下に示す。

  • Et tu, Brute! お前もか、ブルートゥス!(主格はBrutus)
  • Quo vadis, domine? 主よ、いずこへ行き給う(主格はdominus)

呼格は早くから主格に吸収されていった。古典ギリシア語では、呼格が独立の格形を保持しているのは単数のみで、それも第一変化男性、第二変化男性・女性、第三変化男性・女性の一部のみである。ラテン語ではさらに減り、第二変化男性(まれに女性)単数のみとなる。

現代ではルーマニア語、ギリシア語、リトアニア語スラヴ語派ケルト語派などが呼格を保持しているが、堅い表現でない場合は呼格の代わりに主格で呼びかけるケースも多くなってきている。また、アラビア語グルジア語朝鮮語などの非インド・ヨーロッパ語族にも呼格がみられる。

呼格は文中の他の要素と直接関連をもたないため、これを格と認めることに懐疑的な意見もある。