国際ペンクラブ(こくさいペンクラブ、PEN International[1])は、文学を通じて諸国民の相互理解を深め、表現の自由を擁護するための国際的な団体。日本では一般的に国際ペン、あるいは単にペンという俗称で呼ばれる事が多い。

PEN International
団体種類 NGO
設立 1921年10月
所在地 ロンドン
主要人物 ブルハン・ソンメズ英語版(会長)
ウェブサイト www.pen-international.org
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概要 編集

団体名のPENとは、Poets(詩人)、Playwrights(劇作家)、Essayists(随筆家評論家)、Editors(編集者)、Novelists(小説家)等の頭文字、つまり文学・文壇に関わる全ての人々(著述家)を表す。

本部はロンドンにあり、世界各国のペンセンター、作家団体などが地域支部となっている。ノーベル文学賞において、各地のペンクラブからの推薦者も候補者となる。

沿革 編集

第一次世界大戦終結直後の1921年10月、イギリスの女性小説家キャサリン・エイミー・ドーソン・スコット英語版の提唱によりロンドンで結成。前身は1917年からあった新人作家のためのクラブ「トゥモロー・クラブ」だったという。

悲惨な戦争が繰り返されないことを願い、作家・文筆家の表現の自由を確立し国境を超えた相互理解と連帯を図るという主旨の下に生まれた。初代会長はゴールズワージー。他にウェルズコンラッドショーらが黎明期に加わっている。

日本では満州事変以後、国際連盟も脱退して国際的に孤立する状況を憂えて、1935年3月頃に国際ペンから日本に、地域ペンの設立を求める要請が為された。これに応えて設立されたのが日本ペンクラブである(対米英開戦に伴い追放、1947年復帰)。1957年には川端康成が副会長を務め、大会を日本に招致し、9月に東京で開催した[2]

2003年、堀武昭日本人として初めて理事となり、2010年、非欧米人として初めて専務理事となった。

歴代会長 編集

出身国 会長 在任
1   イギリス ジョン・ゴールズワージー 1923–1933年
2   イギリス ハーバート・ジョージ・ウェルズ 1933–1936年
3   フランス ジュール・ロマン 1936–1941年
Wartime International Presidential Committee (“戦時国際会長委員会”、1941–1947年)
デニス・ソラ英語版、H・G・ウェルズ、Hermon Ouldフランソワ・モーリアック 1941–1946年
胡適ソーントン・ワイルダー 1941–1947年
E・M・フォースターイニャツィオ・シローネ 1946–1947年
4   ベルギー モーリス・メーテルリンク 1947–1949年
5   イタリア ベネデット・クローチェ 1949–1952年
6   イギリス チャールズ・モーガン 1953–1956年
7   フランス アンドレ・シャンソン 1956–1959年
8   イタリア アルベルト・モラヴィア 1959–1962年
9   オランダ ビクター・ファン・フリースランド英語版 1962–1965年
10   アメリカ合衆国 アーサー・ミラー 1965–1969年
11   フランス ピエール・エマニュエル英語版 1969–1971年
12   ドイツ ハインリヒ・ベル 1971–1974年
13   イギリス ビクター・プリチェット英語版 1974–1976年
14   ペルー マリオ・バルガス=リョサ 1976–1979年
15   スウェーデン ペール・ヴェストバリ 1979–1986年
16   イギリス フランシス・キング英語版 1986–1989年5月
17   フランス ルネ・タベルニエ英語版 1989年5月–11月
暫定   スウェーデン ペール・ヴェストバリ 1989年11月–1990年5月
18   ハンガリー ゲオルギュー・コンラッド英語版 1990–1993年
19   イギリス ロナルド・ハーウッド 1993–1997年
20   メキシコ ホメロ・アリディス英語版 1997–2003年
21   チェコ イジ・グルーサ英語版 2003–2009年
22   カナダ ジョン・ラルストン・ソウル 2009–2015年
23   メキシコ ジェニファー・クレメント 2015–2021年
24   トルコ ブルハン・ソンメズ英語版 2021年-

脚注 編集

  1. ^ 2010年にInternational PENから改称。Our History PEN International
  2. ^ 『川端康成・三島由紀夫往復書簡』新潮社、1997年、228頁。 

関連項目 編集

外部リンク 編集