大いなる眠り』(おおいなるねむり、The Big Sleep)は、アメリカの作家レイモンド・チャンドラーハードボイルド小説1939年刊。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第1作目。

マーロウの視点からの一人称で描かれる。1935年に『ブラック・マスク』に発表された「キラー・イン・ザ・レイン英語版」が一部取り込まれ、ストーリーは分かり辛く矛盾も多いとされるが、ハードボイルド小説史上の古典として高く評価されている。

あらすじ 編集

フィリップ・マーロウは、スターンウッド将軍の娘が脅迫されている事件の依頼を受け、脅迫状の差出人の家を訪ねる。銃声を聞いてマーロウが部屋に飛び込むと、そこはヌード写真の撮影現場で、男の死体と裸身の将軍の娘を目にする。

日本語訳 編集

  • 「別冊宝石13号 世界探偵小説名作選4 R・チャンドラア P・ワイルド特集」1951年8月に『大いなる眠り』収録。
  • 「別冊宝石43号 世界探偵小説全集10 チャンドラー篇」1954年12月に、『大いなる眠り』収録。[日本語訳 1]
  • 本作品は、かつては東京創元社、現在は早川書房の日本語版翻訳権独占作品となっている。
出版年 タイトル 出版社 文庫名等 訳者 巻末 ページ数 ISBNコード カバーデザイン 備考
1956年 大いなる眠り 東京創元社 世界推理小説全集 26 双葉十三郎 196
1961年2月 大いなる眠り
かわいい女
郵便配達は二度ベルを鳴らす
東京創元社 世界名作推理小説大系 19 双葉十三郎 解説 中島河太郎 527 『大いなる眠り』、
『かわいい女』(清水俊二=訳)、
ジェイムズ・M・ケイン郵便配達は二度ベルを鳴らす
(田中西二郎=訳)収録
1959年8月1日 大いなる眠り 東京創元社 創元推理文庫131-1 双葉十三郎 解説 中島河太郎 279 4488131018 カバー撮影:板橋利男、
カバーデザイン:小倉敏夫
ほか[日本語訳 2]
2012年12月1日 大いなる眠り 早川書房 (単行本) 村上春樹 328 978-4152093424 坂川栄治+坂川朱音
(坂川事務所)
2014年7月24日 大いなる眠り 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫HM 7-14 村上春樹 「警察にできなくて、フィリップ・マーロウにできること」
ー訳者あとがき
386 978-4150704643 坂川栄治+坂川朱音
(坂川事務所)

映画化 編集

注釈 編集

  1. ^ 『さらば愛しき女よ』、『スマート=アレック・キル』、『大いなる眠り』収録。
  2. ^ 若菜等など他のカバーデザインの版がある。

関連項目 編集