大東町 (静岡県)

日本の静岡県小笠郡にあった町

大東町(だいとうちょう、英語: Daitō Town)は、日本にかつて存在したである。静岡県小笠郡に属した。

だいとうちょう
大東町
高天神城址の遠景
高天神城址の遠景
大東町旗
大東町章
大東町章
大東町旗 大東町章
1973年昭和48年)10月25日制定
廃止日 2005年4月1日
廃止理由 新設合併
掛川市大須賀町大東町→掛川市
現在の自治体 掛川市
廃止時点のデータ
日本の旗 日本
地方 中部地方東海地方
都道府県 静岡県
小笠郡
市町村コード 22447
面積 46.13 km2.
総人口 20,937
(2004年4月1日)
隣接自治体 掛川市菊川市御前崎市袋井市小笠郡大須賀町
町の木 マツ
町の花 スイセン
大東町役場
所在地 437-1491
静岡県小笠郡大東町三俣620
座標 北緯34度39分56秒 東経138度03分17秒 / 北緯34.66558度 東経138.05469度 / 34.66558; 138.05469 (大東町)座標: 北緯34度39分56秒 東経138度03分17秒 / 北緯34.66558度 東経138.05469度 / 34.66558; 138.05469 (大東町)
大東町の県内位置
合併時点における位置図。緑色部分が大東町
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概要 編集

1973年(昭和48年)4月1日に静岡県小笠郡にて大浜町城東村が合併し、大東町が設置された。平成の大合併にともない、2005年(平成17年)4月1日に従来の掛川市や小笠郡大須賀町と合併し、新制掛川市が設置された。

地理 編集

地勢 編集

 
大浜海岸の航空写真(2009年8月4日撮影)

静岡県の西に位置していた。かつての令制国で言えば遠江国の中部にあたる。行政上の区分は静岡県西部地方に組み込まれることが多い。

北に小笠山や佐束山が、西には高天神山が位置している。佐束川小貫川、下小笠川、牛淵川など、菊川とその支川が北から南に流れている。南は太平洋に臨んでおり、菊川が注いでいる。海岸は国安海岸千浜海岸など大浜海岸と総称される砂浜となっており、御前崎市浜岡砂丘などとともに南遠大砂丘の一角を構成している。町域のうち、千浜海岸と国安海岸が「御前崎遠州灘海岸地区」として[1]大浜公園が「大浜公園地区」として[1]、高天神山が「高天神地区」として[1]、それぞれ御前崎遠州灘県立自然公園としての指定を受け環境が保護されているなど[1]、豊かな自然に恵まれている。また、竹下内閣の「自ら考え自ら行う地域づくり事業」の交付金をもとに温泉を掘削したところ、ナトリウム・塩化物温泉(高張性弱アルカリ性低温泉)の源泉を掘り当てていることから[2]、温泉地としての側面もあった。

全域が現在の掛川市に含まれており、掛川市の南東部にあたる。

隣接していた自治体 編集

歴史 編集

沿革 編集

1973年(昭和48年)4月1日、静岡県小笠郡にて大浜町および城東村が合併し、大東町が発足した。町名の「大東」とは「大浜」の「大」と「城東」の「東」とを合わせた合成地名である。2005年(平成17年)4月1日、従来の掛川市や大須賀町と大東町が合併した。なお、掛川市、大東町、大須賀町の合併は新設合併のため、新たに同名の掛川市が設置された。それにともない、大東町は廃止された。

年表 編集

行政 編集

歴代町長 編集

大東町 町長
氏名 就任日 退任日 備考
1 大倉重作 1973年 1977年  
2 1977年 1981年  
3 1981年 1982年  
4 神谷庄平 1982年 1986年  
5 1986年 1990年  
6 1990年 1994年  
7 杉浦徳雄 1994年 1998年  
8 1998年 2002年  
9 大倉重信 2002年 2005年  

姉妹都市・提携都市 編集

姉妹都市 編集

大東サミット 編集

経済 編集

産業 編集

 
土井酒造場が醸造する「開運」

第一次産業としては農業が盛んであり、茶、米、メロン、苺などが栽培されていた。茶は主産品として重要視されており、大東町立佐束小学校の校章にはチャノキの花と葉があしらわれるほどであった。

第二次産業としては製造業が盛んであった。もともと大東町は第一次産業中心の農村や漁村であったが、初代町長大倉重作が第二次産業の振興を図り、企業の誘致活動を積極的に展開した。その結果、大東町に35社を誘致することに成功した[8]。大東町の第二次産業は東海工業地域の中でも有数の製品出荷額を占めるまでに成長した。また、土井酒造場たこ満山下工業研究所菊川照明などといった著名な企業の創業の地としても知られている。日本酒の「開運」を醸造する土井酒造場や、ソケットレンチで高いシェアを占める山下工業研究所は、かつての大東町の町域に現在でも本社を設置している。たこ満もかつての大東町の町域に登記簿上の本店を設置している。

菊川照明は1989年に三菱電機照明に社名を変更し、本社所在地も神奈川県鎌倉市に移ったものの、かつての大東町の町域にて現在も工場を操業している。

主な企業 編集

教育 編集

 
東京女子医科大学大東キャンパスの航空写真(2020年6月16日撮影)

神社仏閣 編集

 
旧大東町に鎮座する高天神社の鳥居(2018年2月下旬撮影)
 
高天神社例大祭の神楽奉納(2018年3月25日撮影)
 
旧大東町に鎮座する矢柄神社の鳥居(2016年7月31日撮影)
 
旧大東町に鎮座する比奈多乃神社の航空写真(2020年6月16日撮影)

町内には多数の神社が鎮座しており、人々の信仰を集めていた。かつての郷社としては、高天神社が鎮座していた[9]。高天神社は高天神城を守護する神社として知られている。そのほかにも、かつての郷社として矢柄神社なども鎮座していた。かつての村社としては、春日神社[10][11]二宮神社[10][11]、八幡神社[11]小笠神社[11]、素我神社[11]比奈多乃神社[11]、津島神社[11]、小谷神社[11]、八坂神社[11]、八幡神社[11]、神明神社[11]、赤山神社[11]、津島神社[11]、が鎮座していた。かつての無格社としては、白山神社[10][12]猿田彦神社[10][12]、山王神社[12]、などが知られている。なお、小笠神社は1919年(大正8年)に郷社に昇格し[13]、1945年(昭和20年)には県社に昇格した[13]。小笠神社は大須賀町に鎮座する三熊野神社や御前崎市に鎮座する高松神社とともに文武天皇の命により熊野三山から勧請されたため「遠州の熊野三山」と称される。

なお、大東町の中でも旧中村に鎮座する神社のほとんどは、村に満勝寺が創建された後に建てられた[14]。また、高天神城の戦いの直後に創建や再興されたものが多いが[14]、これは戦乱により避難を余儀なくされていた住民が帰村し祭祀を再興したためとみられる[14]。具体的には、1086年に素我神社が創建され[14]、同年(旧暦応徳2年)に天王社が勧請された[14]。1447年には八幡社が[14]、1491年には神明社が[14]、それぞれ創建された[14]。1586年には赤山神社が創建され[14]、1587年には八坂社・八幡社が修築されるとともに[14]、同年には諏訪神社も創建された[14]。1649年には白山神社が創建された[14]

一方、町内には多数の寺院や堂宇も創建され、人々の信仰を集めていた。貞永寺は、遠江国の安国寺となっている。八相寺[10]、宗禅寺[10]、意正院[10][15]、弘法堂[10]浮島堂[10]、地蔵堂[10]、などが知られている。

交通 編集

鉄道 編集

鉄道は通っていない。かつては静岡鉄道駿遠線(開業当時は中遠鉄道)が敷設されており、1925年(大正14年)から1967年(昭和42年)8月まで走っていた。千浜駅、西千浜駅、新三俣駅南大坂駅、谷口駅などが設置されていた。

道路 編集

 
静岡県道376号浜松御前崎自転車道線潮騒橋(2007年1月13日撮影)

一般国道 編集

都道府県道 編集

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事 編集

 
大東健康ふれあい館の後身にあたる掛川市健康ふれあい館(2011年9月9日撮影)
 
大浜公園(2017年4月上旬撮影)

著名な祭事としては、小笠神社の矢矧祭、高天神社の例大祭、八坂神社の祇園祭などが挙げられる。

1086年(旧暦応徳2年)に始まった八坂神社の祇園祭は[16]、1984年(昭和59年)に「大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事」[17][† 1]として静岡県指定無形民俗文化財に指定されている[16]

出身の人物 編集

 
旧大東町に所在する吉岡彌生記念館(2018年6月下旬撮影)
 
旧大東町に所在する吉岡彌生移築生家(2018年6月下旬撮影)

脚注 編集

註釈 編集

  1. ^ 静岡県小笠郡大東町は、旧掛川市、大須賀町と合併し、2005年に新制掛川市が設置されたが、静岡県指定無形民俗文化財としての名称は「大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事」のままであり改称されていない[17]

出典 編集

  1. ^ a b c d 静岡県くらし・環境部環境局自然保護課『御前崎遠州灘県立自然公園区域及び公園計画図』2010年4月13日。
  2. ^ 「天然温泉」『温水プールと天然温泉日帰り入浴 大東温泉シートピア【公式】-静岡県掛川市大東温泉シートピア
  3. ^ 「西部地域施設概要:小笠池」『西部地域施設概要:小笠池|静岡県公式ホームページ静岡県庁、2023年1月13日。
  4. ^ 「西部地域施設概要:仏沢池」『西部地域施設概要:仏沢池|静岡県公式ホームページ静岡県庁、2023年1月13日。
  5. ^ 「西部地域施設概要:田ケ池」『西部地域施設概要:田ケ池|静岡県公式ホームページ静岡県庁、2023年1月13日。
  6. ^ a b 「姉妹都市」『大東町 姉妹都市と大東サミット』大東町。
  7. ^ a b c d 「大東サミット」『大東町 姉妹都市と大東サミット』大東町。
  8. ^ 掛川市・大東町・大須賀町合併シンポジウム「1市2町の融和と発展に向けて」掛川会場議事録』2003年7月26日、26頁。
  9. ^ a b 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、151頁。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 篠田雀編輯『新撰鄕土史体系』國民通信社調査部、1934年、62頁。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、154頁。
  12. ^ a b c d e f 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、159頁。
  13. ^ a b 掛川市『掛川市歴史的風致維持向上計画』2018年1月、138頁。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l 「天王祭とは」『天王祭とは - 観光サイト掛川市観光交流課文化・スポーツ振興課、2021年8月3日。
  15. ^ a b 島田良彥編纂・著述『淨圡宗寺院名鑑』浄土敎報社、1902年、61頁。(「淨圡宗」「浄土敎報社」の表記は原文ママ。)
  16. ^ a b c 「八坂神社祇園祭の紹介」『八坂神社祇園祭の紹介 - 観光サイト掛川市観光交流課文化・スポーツ振興課、2021年4月1日。
  17. ^ a b 「しずおか文化財ナビ――大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事」『しずおか文化財ナビ 大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事|静岡県公式ホームページ静岡県、2013年1月19日。

関連項目 編集

外部リンク 編集