奇瑞汽車

中国の自動車メーカー・ブランド

奇瑞汽車(きずいきしゃ、チェリー自動車、Qirui Qiche、英語表記:Chery Automobile)は、中華人民共和国自動車メーカーである。正式名称は奇瑞汽车股份有限公司

Chery Automobile
奇瑞汽车
業種 輸送用機器
設立 1997
本社
主要人物
尹同躍
製品 自動車
ウェブサイト http://www.chery.cn/

第一汽車東風汽車上海汽車長安汽車と共に、中国自動車メーカー「ビッグ5」の内の1社である。

概要 編集

安徽省および同省蕪湖市政府の出資によって1997年に設立。会長兼社長は尹同耀(ユン・トンヤオ)。中国自動車工業協会(中国語表記:中国汽車工業協会)の統計では、2005年の自動車販売量は18.4万台。中国国内で第7位。自主ブランドメーカーとしては中国国内で最多の販売実績を持つ。

2006年3月28日、生産50万台目に当たる車両が完成し、2007年には中国でのシェアを第5位にまで上げ、前年シェア3位の現代-起亜自動車グループを上回った[1]

奇瑞の英語表記である Chery は英単語の「Cherry」に由来する。中国語で「奇」には「とりわけ」、「瑞」には「万事めでたく順調」の意味があり、「とりわけ万事めでたく順調」という意味になる。

また自主ブランドメーカーとして、最も早く製品の海外輸出を始めている。

歴史 編集

1997年3月18日設立。1999年からセアトトレドライセンス生産で自動車生産を開始。

設立当初、自動車生産のライセンスがなく、中国国内で自動車を販売することができなかった。そのため2001年に自社株の20 %を上海汽車(SAIC)に譲渡する。替わりにSAICから生産のライセンスを取得する予定だったが、SAICは2003年に奇瑞との関係を解消する。この背景にはSAICと合弁事業を展開するゼネラルモーターズとの間でのデザイン盗用問題があると考えられている。具体的には奇瑞が発売した「QQ」と「東方之子」のデザインがそれぞれGM大宇製のシボレー・スパークシボレー・エピカに酷似している点、及び、奇瑞の英語名のCheryがシボレーの愛称のChevyと一字しか違わない点が問題とされた。この問題で、2003年にGMは奇瑞を2度告発している。その後、株主が変わり2004年9月23日に生産ライセンスを取得することになる。同時に社名を上汽奇瑞汽車から奇瑞汽車有限公司に変更した。

2007年からマルコム・ブリックリンが設立したビジョナリー・ビークルズ社によって、奇瑞車の北米販売が計画されていたが、ディーラーが集まらなかった為、撤回された。なお、ブリックリンは1967年から1971年にかけてのスバル360の輸入、1970年代のスポーツカー、「Bricklin SV-1」の製造、1980年代ユーゴスラビア産の小型車「ユーゴ」の販売でも知られている。

2007年7月、アメリカクライスラーと米国向け小型車の供給で提携を結んだが、のちに破棄された。

2007年8月7日、イタリアフィアット合弁事業に関する覚書に調印したが、2009年3月現在凍結している。両社の合意によると、安徽の奇瑞工場で、2009年からアルファロメオとフィアットなどを年間17万5000台生産する予定である。

2007年12月、イスラエル持株会社であるイスラエル・コーポレーションとの自動車生産合弁事業を結び「Chery Quantum Automotive Corporation(CQAC)」を設立。2011年11月には「Qoros Auto Co., Ltd.」と改名した。

2010年代には、ブラジルに進出するためサンパウロ州にブラジル・チェリー社を設立。2014年、年間5万台の生産能力を有する自動車工場を建設して生産を開始したものの、ブラジル国内の景気減速局面に遭い生産台数が1万台に届かない状況となった。2017年にはブラジル・チェリー社の株式50%をブラジル国内で自動車生産を手掛けていたカオア社に売却している[1]

主な車種の一覧 編集

Tiggo(瑞虎) 編集

  • Tiggo 8
  • Tiggo 8 Plus
  • Tiggo 8 Kunpeng
  • Tiggo 7
  • Tiggo 7 Plus
  • Tiggo 5X
  • Tiggo 5X 超级英雄版
  • Tiggo 3
  • Tiggo 3X
  • Tiggo 3X Plus
  • Tiggo 3Xe
  • Tiggo e

arrizo(艾瑞泽) 編集

  • Arrizo 5 Pro
  • Arrizo 5 Plus
  • Arrizo GX
  • Arrizo e

eQ 編集

  • eQ5
  • eQ2
  • eQ1
  • eQ

合弁事業 編集

奇瑞はジャガーランドローバー、イスラエル・コーポレーションと自動車生産の合弁事業を展開している他、アメリカの自動車部品会社Arvin Meritor、ジョンソンコントロールズPPGインダストリーズとも合弁事業を展開している。

クオロス(Qoros Auto Co., Ltd.)
  • 奇瑞にとって初めての外国資本との自動車生産における合弁事業。2013年初めを目処に完全新開発のセダンの販売を始めるとされた。なお正式社名は2011年11月にQoros Auto Co., Ltd.と改名された。
奇瑞ジャガーランドローバー(Chery Jaguar Land Rover Automotive Company Ltd.)

脚注 編集

  1. ^ Caoaグループは中国自動車メーカーのブラジルChery社の50%株式取得 ブラジル日本商工会議所(2017年11月13日)2017年12月16日閲覧
  2. ^ 奇瑞ジャガー、月内に中国で量産開始”. 日本経済新聞. 2017年12月18日閲覧。

関連事項 編集

外部リンク 編集