奥新川駅

宮城県仙台市青葉区新川にある東日本旅客鉄道の駅

奥新川駅(おくにっかわえき)は、宮城県仙台市青葉区新川岳山だけやまにある、東日本旅客鉄道(JR東日本)仙山線である[1]。鉄道駅としては、宮城県内で最西端に位置する。

奥新川駅
駅舎(2023年9月)
おくにっかわ
Oku-Nikkawa
作並 (5.1 km)
地図
所在地 仙台市青葉区新川岳山1
北緯38度19分33.43秒 東経140度35分39.57秒 / 北緯38.3259528度 東経140.5943250度 / 38.3259528; 140.5943250座標: 北緯38度19分33.43秒 東経140度35分39.57秒 / 北緯38.3259528度 東経140.5943250度 / 38.3259528; 140.5943250
所属事業者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
所属路線 仙山線
キロ程 33.8 km(仙台起点)
電報略号 オク
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線[1]
乗車人員
-統計年度-
16人/日(降車客含まず)
-2007年-
開業年月日 1937年11月10日[1]
備考
  1. ^ この間に面白山信号場有(当駅から7.7 km先)。
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歴史 編集

江戸時代に開山したと言われる銅鉱山の新川鉱山が[2]大正初期に秋保鉱山として開発され[2]、近接する当地には小学校・病院・飲食店も備えた、戸数200戸、人口600人の新川集落が形成された[3]

1936年に仙台営林署が生産事業所を設け、木材輸送のために当駅付近を起点とする新川森林鉄道を開通させた[4]。翌1937年に、仙台から延伸して来た仙山東線と、山形から延伸して来た仙山西線が接続され、仙山線として全通した。この際に開通した区間の宮城県側最西端の駅として、当駅は開設した。仙山線建設中は千数百人の工事作業員が働いていたため、当地は工事集落として賑わったものの、鉄道開通と共に作業員は減少した[3]

1960年に新川森林鉄道が廃止され[4]1961年には秋保鉱山が閉山した[2]。これらの影響で、1960年代末には主に国鉄職員が住む、人口約300人の鉄道関係者の集落に変化した[5]

一方で、1960年代初頭にはハイキングコースの「新川ライン」及び「奥新川ライン」を国鉄が整備して観光地化が進められ、ハイキング芋煮会[6]紅葉狩り等での駅利用者が増えた[3]。しかし、駅周辺人口は減少し続け、1985年に当駅は無人駅化された。駅から徒歩1分の場所にあり、年間1000人程が利用していた市営の奥新川キャンプ場(営業期間:4 - 11月[7])は、老朽化を理由に2016年11月に営業を終了した[新聞 1]。また「新川ライン」及び「奥新川ライン」も安全上の理由により、「奥新川ライン」の南沢A橋手前までを除いて2020年12月に廃止されている[8]

2017年時点における奥新川地区の住民は、3世帯3人であった[新聞 1]

年表 編集

駅構造 編集

相対式ホーム2面2線を有する地上駅である[1]。両ホームは羽前千歳方の構内踏切で連絡している。

仙台地区センター管理の無人駅[1]乗車駅証明書発行機が設置されている。JRの特定都区市内制度における「仙台市内」に含まれる。

のりば 編集

番線 路線 方向 行先
1 仙山線 上り 仙台方面
2 下り 山寺山形方面

(出典:JR東日本:駅構内図

  • 1番線は上下双方に場内・出発信号が設置されており、列車交換が無い場合に下り列車が使用する場合がある。

利用状況 編集

駅開業の頃から1950年代末まで、仙台営林署が木材を伐採して送り出した。2007年度の1日平均乗車人員は16人であった。なお冬季の利用者は、ほぼ0に近い。

乗車人員等推移[13]
年度 1日平均乗車人員 貨物発 貨物着
1957 190 6.7 2.9
1960 192 2.3 4.9
1970 78
1980 31
1999 26
2000 15
2001 15
2002 14
2003 21
2004 20
2005 19
2006 20
2007 16

駅周辺 編集

駅は奥羽山脈の山間に位置し、新川川に面する。駅周辺に集落は無い。上記の通り、奥新川キャンプ場は封鎖、ハイキングコースの奥新川・新川ラインは一部を除き廃止されている。

冬は積雪のため付近の道路通行が困難なので、駅周辺を担当する郵便配達員(現在は愛子郵便局。2007年までは作並郵便局)は鉄道を利用して郵便物の集配を行っている。

Suica運賃計算特例 編集

当駅はSuicaの利用は出来ないが、山寺駅もしくはかみのやま温泉駅-村山駅寒河江駅間の各駅からSuica改札機で入場し、仙台市内発の乗車券類と併用して仙台駅の新幹線乗換改札口の自動改札機を通過する場合のみ、前述の発駅から当駅までのIC運賃が自動的に差し引かれる。

隣の駅 編集

東日本旅客鉄道(JR東日本)
仙山線
快速
通過
普通(一部列車は当駅通過)
作並駅 - *八ツ森駅 - 奥新川駅 - (面白山信号場) - 面白山高原駅
*打消線廃駅

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g 『週刊 JR全駅・全車両基地』 23号 盛岡駅・平泉駅・山寺駅ほか74駅、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年1月20日、26頁。 
  2. ^ a b c 日曜地学の会「秋保鉱山」”. Sphinx Broadcasting Station (1996年9月29日). 2022年8月15日閲覧。
  3. ^ a b c みやぎ会 平成21年春号 (vol.13)”. 東北地域づくり協会. 2022年8月15日閲覧。
  4. ^ a b c d 『仙台市史 通史編8 現代1』 P.354 - P.357
  5. ^ 『宮城町誌』本編702-703頁、改訂版本編も同頁。
  6. ^ 私の広瀬川インタビューvol.16 東北大学加齢医学研究所教授 川島隆太さん「第2回 ハードでタフな芋煮会の思い出」”. 仙台市「広瀬川ホームページ」 (2010年7月29日). 2022年8月15日閲覧。
  7. ^ 奥新川キャンプ場 作並温泉近くの森林に囲まれたアウトドアエリア”. 公益社団法人 宮城県観光連盟. 2017年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。
  8. ^ a b 奥新川ライン・新川ラインの廃止について”. 仙台市ホームページ (2020年12月1日). 2022年8月15日閲覧。
  9. ^ “日本国有鉄道公示第135号”. 官報. (1971年3月30日) 
  10. ^ 「通報 ●仙山線陸前落合駅ほか3駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1971年3月30日、7面。
  11. ^ 「国鉄各線で営業近代化」『交通新聞』交通協力会、1971年1月31日、1面。
  12. ^ 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、475頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  13. ^ 1957年から1964年までは『宮城町誌』本編704頁。

報道発表資料 編集

  1. ^ a b 仙山線 奥新川駅および面白山高原駅における一部列車の通過について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道仙台支社、2021年12月15日。 オリジナルの2021年12月15日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20211215051408/https://www.jreast.co.jp/press/2021/sendai/20211215_s01.pdf2021年12月15日閲覧 
  2. ^ 冬期期間における仙山線の一部列車通過について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道東北本部、2022年11月15日。 オリジナルの2022年11月15日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20221115061040/https://www.jreast.co.jp/press/2022/sendai/20221115_s01.pdf2022年11月20日閲覧 
  3. ^ 2023年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道東北本部、2022年12月16日https://www.jreast.co.jp/press/2022/sendai/20221216_s01.pdf2022年12月27日閲覧 

新聞記事 編集

  1. ^ a b 仙山交流の拠点に 奥新川自然振興会発足”. 河北新報 (2017年3月30日). 2017年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。

参考文献 編集

  • 宮城町誌編纂委員会『宮城町誌』本編、宮城町役場、1969年。仙台市「宮城町誌」改訂版編纂委員会による改訂版は仙台市役所により1988年発行。

関連項目 編集

外部リンク 編集