小浜島

日本の沖縄県八重山諸島にある島

小浜島(こはまじま)は、八重山列島である。行政区分としては、沖縄県八重山郡竹富町に属する。

小浜島

小浜島の空中写真。
2019年1月31日撮影の22枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
所在地 日本の旗 日本 沖縄県八重山郡竹富町
所在海域 東シナ海
所属諸島 八重山諸島
座標 北緯24度20分28秒 東経123度58分51秒 / 北緯24.34111度 東経123.98083度 / 24.34111; 123.98083座標: 北緯24度20分28秒 東経123度58分51秒 / 北緯24.34111度 東経123.98083度 / 24.34111; 123.98083
面積 7.86 km²
海岸線長 16.6 km
最高標高 99.8 m
小浜島の位置(八重山列島内)
小浜島
小浜島
小浜島 (八重山列島)
小浜島の位置(沖縄県内)
小浜島
小浜島
小浜島 (沖縄県)
小浜島の位置(日本内)
小浜島
小浜島
小浜島 (日本)
プロジェクト 地形
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嘉弥真島から望む小浜島
沖縄本島と八重山列島の位置図
細崎から望むヨナラ水道

概要 編集

人口は726人[注 1](2021年3月末現在[1])、世帯数472世帯[注 1](2021年3月末現在[1])。

2001年度上半期に放送されたNHK連続テレビ小説ちゅらさん』の舞台になったことで全国的に知られるようになった。

地理 編集

八重山列島のほぼ中央に位置することから、「八重山のてんぶす」(「てんぶす」は「へそ」の意)とも呼ばれており、島の最高地点である標高99.8 mの大岳(うふだき)からは八重山列島の島々の大半を一望することができる。ヨナラ水道を挟んで西側の西表島と隣接しており、両島の距離は最狭部で約2 kmである。

産業 編集

観光業が中心で、島の面積の約5分の1を、ヤマハリゾートが開発したリゾート施設「はいむるぶし」(2007年に三井不動産リゾートへ事業譲渡)およびユニマットグループのユニマットプレシャスが開発した「ホテルニラカナイ小浜島」が占める。また、肉用牛の飼養などの畜産も行われている。

  • 年間入域観光客数 - 177,041人(2017年)、190,264人(2016年)[2]
  • 畜産業関連(2015年12月1日時点[3]
    • 飼養戸数 - 24戸
    • 肉用牛の飼育頭数 - 751頭

教育 編集

小中併置校。島内に高校はない。

交通 編集

空港はない。島外との交通は石垣島との間の定期航路が中心である。

航路 編集

 
小浜港(2011年4月29日撮影)
小浜港

地方港湾。石垣島との間を中心に、以下の定期旅客航路(高速船)及び貨客航路(フェリー)が運航されている。かつて2社間を相互に利用できる乗船券が発売されていたが、2020年9月30日をもって廃止された。[4]

道路 編集

架橋構想 編集

1989年(平成元年)に、竹富町役場の西表島移転に向けて西表島との間の架橋が構想された[8][9]農林省予算で農道橋として建設する計画であったが、ヨナラ水道がイトマキエイの回遊場所であったためダイビング業者等が反対したことや、十分な経済効果が見込めなかったことから、頓挫した。しかし、2023年になって、地元の建設業の団体により架橋構想が再提案されている[10][11]

島内の公共交通 編集

かつてはコハマ交通が一般路線バスを運行していたが、2007年3月31日に廃止された[12]


名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事 編集

 
大盛家住宅(2019年)
「ちゅらさん」で民宿「こはぐら荘」のロケ地として使用された。作中と同じ看板が掛けられている。
 
シュガーロード(2019年)

文化財に指定または登録された名所・旧跡 編集

  • 国の史跡
    • 大岳(うふだき) - 標高99 mで、この島の最高峰。先島諸島火番盛のひとつとして国の史跡に指定されるとともに、竹富町の名勝に指定されている[13][14]
  • 国の登録有形文化財
    • 大盛家住宅 主屋・ヒンプン・石垣・井戸 - 2006年8月24日登録[13]。1915年(大正4年)に建築された伝統的形式の民家。桁行5間半、梁間4間半の寄棟造平入の木造平屋で、屋根は琉球赤瓦で葺かれている。『ちゅらさん』では主人公の生家で民宿の「こはぐら荘」として使用された[15][16][17]
  • 竹富町指定史跡
    • 海垣 - 1972年8月30日指定[13]。潮の干満を利用して、干潮時に石垣内に残った魚を獲る石干見の一種である。海岸から沖合約50 - 100 mまで、石を高さ60 cm - 1 mまで末広がり型に積み、その長さは約1,200 mに及ぶ。方言で(スマンダーカキィ)と呼ばれる。小浜島出身で琉球王国第17代尚?王に侍女として仕え、大阿母の神職位を得て島に戻った南川田於那利のために造られたと伝えられる[18]
    • カンドウラ石(雷石、霊石) - 1972年8月30日指定[13]。結願祭が行なわれる嘉保根御嶽(カブニワン)内にある2つの石。大岳からこの石を転がし、雷の音を真似て、雨乞祈願をした[15]
    • 節定め石 - 1972年8月30日指定[13]。方角を示す十二支の穴が掘られており、この穴と群り星(スバル)との位置関係によって農作業の時期等を定めた[15]
    • ウティスク山遺跡 - 2004年9月17日指定[13]。13-17世紀の遺跡で、丘上の狭い平地を囲むように石積みが巡らされており、防御的機能を有したと考えられている[18]
    • 小浜家のヤーマヤスキィー - 2005年10月6日指定[13]。現在の小浜島の集落の位置を定めたと伝えられる小浜目差加武多の晩年の住居敷跡と伝えられる。「ヤーマヤスキィ」は「小さな家」を意味する[15]
  • 竹富町指定天然記念物
    • コーキ原のガジュマル群落 - 1976年7月15日指定[13]。コーキ原に自生するガジュマル群落[19]

その他の名所・旧跡・観光スポット 編集

  • シュガーロード - 『ちゅらさん』で通学路のシーンに使われた[20][21][22]。両側がサトウキビ畑だったために「シュガーロード」と名付けられたが、その後サトウキビ畑が減少し牧草地が多くなっている[15]
  • 西大岳(にしうふだき) - 大岳の西側にあり、大岳に次ぐ標高の丘。頂上に展望台がある[22]
  • カトレ展望台 - 2013年に完成した展望台。島の西側に位置する[22]
  • 海人公園 - 島南西部の細崎(くばざき)にある公園。マンタの形の展望台がある[23]
  • トゥマールビーチ - 小浜港近くの海岸。トゥマールは小浜島の方言で「海」の意味。現地では「やらますビーチ」と呼ばれる[22][24]
  • 石長田海岸 - アカヤ崎の南側の海岸。マングローブ群落がある[22][25]
  • オヤケアカハチの森 - オヤケアカハチの乱で敗れたオヤケアカハチが逃げ込んだという伝承が残る森[22]
  • ちゅらさん展望台 - 小浜島西部にあり西表島を望む展望台。民間の牧場内に位置しており、口蹄疫の侵入防止のため2012年2月1日から閉鎖されている[26]

文化財に指定された祭事・催事 編集

  • 国の重要無形民俗文化財
    • 小浜島の盆、結願祭、種子取祭の芸能[27]
  • 竹富町指定無形民俗(舞踊・民謡)
    • ハビラ踊、カシカケ踊、天加那志(布サラシ)、小浜節、苧引き踊、アカマタ踊 - 1973年10月5日指定[13]
    • ダートゥダー、稲まぢん節 - 1991年9月11日指定[13]

その他の文化財 編集

  • 竹富町指定工芸品
    • 稲福筑登之正装 - 1972年8月30日指定[13]。18世紀中期から19世紀初期の人物とされる稲福筑登之(いなふく ちくどぅん)の衣装。個人蔵[15]
    • 南川田於那利の衣装及び茶器 - 1972年8月30日指定[13]。小浜島出身で琉球王国第17代尚灝王に侍女として仕え、大阿母の神職位を得て島に戻った南川田於那利の衣装及び茶器。個人蔵[15]

著名な出身者 編集

  • SHINOBU - 元DA PUMPメンバー(現在は島内にて本名の宮良忍として「民宿みやら荘」を経営)
  • 吉野高善 - 医師・政治家
  • 与世山澄子 - 沖縄を代表するジャズシンガー

小浜島を舞台とする作品 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b 嘉弥真島の人口及び世帯数を含めた値。

出典 編集

  1. ^ a b 竹富町地区別人口動態票(令和3年3月末)” (PDF). 竹富町. p. 1. 2021年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月30日閲覧。
  2. ^ 八重山観光統計”. 沖縄県八重山事務所 (2018年8月20日). 2018年9月15日閲覧。
  3. ^ 八重山要覧 平成28年度版” (PDF). 沖縄県八重山事務所 (2017年8月). 2018年9月15日閲覧。
  4. ^ 【重要】高速船共通乗船券廃止のお知らせ 安栄観光
  5. ^ 運航状況・時刻表・運賃 八重山観光フェリー
  6. ^ 時刻表・料金 安栄観光
  7. ^ 平成29年度八重山土木事務所管内図” (PDF). 沖縄県土木建築部八重山土木事務所 (2017年8月). 2018年9月15日閲覧。
  8. ^ “宮古郡民が官民一体で建設を進めてきた…”. 八重山毎日新聞. (2014年9月20日). オリジナルの2015年12月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151218011603/http://www.y-mainichi.co.jp/news/25844 
  9. ^ “昨年1月、お隣の宮古島市で、伊良部大橋が…”. 八重山毎日新聞. (2016年3月25日). オリジナルの2016年3月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160328121425/http://www.y-mainichi.co.jp/news/29552 
  10. ^ “小浜―西表架橋を提案 構想再浮上”. 八重山毎日新聞. (2023年5月30日). オリジナルの2023年5月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230530022024/https://www.y-mainichi.co.jp/news/39536/ 
  11. ^ “小浜-西表架橋構想提案へ 八重山建産連が竹富町に”. 八重山日報. (2023年5月27日). オリジナルの2023年5月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230526223514/https://yaeyama-nippo.co.jp/archives/20991 
  12. ^ “「貸切り」と競合、運営困難 小浜の路線バス廃止に”. 八重山毎日新聞. (2007年3月14日). https://www.y-mainichi.co.jp/news/7492 
  13. ^ a b c d e f g h i j k l 竹富町の文化財”. 竹富町. 2018年9月15日閲覧。
  14. ^ 小浜島で一番高い大岳(うふだき)から八重山諸島を見渡す。”. 八重山物語. 石垣市経済振興公社 (2005年). 2018年9月15日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g 小浜島 伝統文化”. 竹富町島じまの文化遺産の伝承・活用協議会. 2018年9月15日閲覧。
  16. ^ “大盛家住宅(NHKちゅらさんの古波蔵荘)国の登録文化財に”. 八重山毎日新聞. (2006年3月18日). オリジナルの2018-0-916時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180916022716/http://www.y-mainichi.co.jp/news/4221/ 
  17. ^ ちゅらさん、ヒロインの生家「こはぐら荘」”. 八重山物語. 石垣市経済振興公社 (2005年). 2018年9月15日閲覧。
  18. ^ a b 小浜島 暮らし”. 竹富町島じまの文化遺産の伝承・活用協議会. 2018年9月15日閲覧。
  19. ^ 小浜島 自然”. 竹富町島じまの文化遺産の伝承・活用協議会. 2018年9月15日閲覧。
  20. ^ 南風と共にさとうきび畑を抜ける一本道「シュガーロード」”. 八重山物語. 石垣市経済振興公社 (2005年). 2018年9月15日閲覧。
  21. ^ シュガーロード”. 竹富町観光協会. 2018年9月15日閲覧。
  22. ^ a b c d e f 小浜島のおすすめ観光スポット”. やいまタイム. 南山舎. 2018年9月15日閲覧。
  23. ^ 海人公園”. 竹富町観光協会. 2018年9月15日閲覧。
  24. ^ トゥマールビーチ”. 美ら島物語. 日本トランスオーシャン航空. 2018年9月12日閲覧。
  25. ^ 小浜島のマングローブ群落「石長田海岸」”. 八重山物語. 石垣市経済振興公社 (2005年). 2018年9月15日閲覧。
  26. ^ “ちゅらさん展望台 口蹄疫侵入防止で閉鎖”. 八重山毎日新聞. (2012年1月31日). http://www.y-mainichi.co.jp/news/19281 
  27. ^ 小浜島の盆、結願祭、種子取祭の芸能 - 文化遺産オンライン文化庁

関連項目 編集

外部リンク 編集